リンクヴレインズにログインしたら、何故か犬になっていた<リボルバー編>
リンクヴレインズにログインしたら、何故かリボルバーは犬になっていた▼
『そのふざけた説明画面に弾丸を打ち込もうか……』
目の前に出されている説明画面に向けて低い声で唸りを上げたリボルバーは、鏡に映っている自身の姿を見て頭を痛めた。
黒の三角耳に茶色の毛並み。身体を動かしてみると四本足で動かしており、どう見ても姿は犬であった。
『犬種はシェットランドシープドッグか』
全身を見るようにくるりと回り、リボルバーは今自身がなっている犬種を理解し溜息をついた。
『ハノイの騎士たるものが、こんな罠にハマるなんて……』
ネットでのウイルス関連は最善の注意を払って対処してきた。だが、今回は何故かそのウイルスに気が付かないまま感染してしまった。
『こんな姿、プレイメーカーに……いや、闇のイグニスに見られたら確実にバカにされるな』
散々トラップにハマっていたプレイメーカーに向けて言っていた事が、まさかこのタイミングでブーメランされるとは思わなかったリボルバーは溜息をつく。
そして絶対にその事についてツッコミするのが闇のイグニスことAiだ。
笑いながら指差して『ハノイの騎士のリーダー様がこんなトラップにハマるなんてなw』と言うに違いないと考えただけでも、リボルバーは内心イラッときた。
『とりあえず、誰もいない所へ移動し、原因を突き止めるか』
すくっと立ち上がり移動しようとしたその時、ふわっと鼻先に香るいい匂いにリボルバーは足を止めた。
「犬?」
『プレイメーカー……!』
そのいい香りの主はプレイメーカーであった。
近づいて同じ視線になるようにしゃがみ込んだプレイメーカーに、リボルバーは少しだけ後ろへと下がり内心焦っていた。
『落ち着け、まだ私だとバレていない。犬のフリをしながらこの場から離れればいい』
「リボルバーか。どうしてそんな姿になってるんだ」
『バレただと!?』
何もしていないのに一発でバレてしまった事にリボルバーは驚いた。
いや、むしろこれだけで分かるとなると、流石我が運命の囚人と言いたくなったが、こんな姿ではどちらかと言えば見られたくなかったの方が強く出てしまう。
「意識は犬の状態なのか?」
両手を伸ばし、リボルバーの両頬を触れながら首を傾げているプレイメーカー。
その撫で方がリボルバーにとって心地よく、自然とおすわりしてもっと撫でろと顔をプレイメーカーの手へ擦り寄せる。
「人型でもこんなに素直だったらいいのにな」
少し寂しそうな表情をしながら撫で続けるプレイメーカーを見て、リボルバーはズキッと心が痛んだ。
お互い目指している道は違い、素直に己の心の内を伝えられないリボルバーにとってはもどかしかった。
それでも、父に託された願いを叶える道に進んでいるリボルバーは、その選択から変えるつもりはなかった。
『だが、今の私が犬ならば……これくらい許されるだろうか』
こんなにも顔が近くあるプレイメーカーに、慰めでもいいからと、一瞬だけでも犬っぽくするべきかと、鼻先をプレイメーカーの頬に当て少しだけ口を開き、舌先を頬へ舐めようとした。
その時であった。
『させるかー!』
『っ!』
叫び声と猛スピードで突っ込んできた豆柴に、リボルバーは咄嗟にプレイメーカーから離れると、彼の前にザッと立って唸りを上げていた。
『てめぇ、さり気なく犬のフリしてプレイメーカーを舐めようとしてんじゃねぇよ!このむっつりが!』
『その声は』
「落ち着け、ソウルバーナー。お前も撫でてほしかったんだな」
目の前に立っている豆柴ことソウルバーナーへ両手を伸ばしたプレイメーカーは、わしわしと頭や背中などを撫で始めた。
そしたらどういうことでしょうか。あんなに威嚇していたソウルバーナーの表情はとろけた表情へと変わっていくではないですか。
『あぁ、プレイメーカー、そんな撫でられたら……尻尾が止まらなくなる!』
『………………』
お腹を出して服従のポーズをとり、シッポを全開に振っているソウルバーナーの姿を眺めながらリボルバーは半目となって呆れた表情をしていた。
それプラス、あそこまでプレイメーカーに愛でられている事に苛立ちもし、少しだけ尻尾が強く振っていたのは本人は気づいていなかった。
ソウルバーナーを撫でながら、リボルバーの様子が少し変わった事に気がついたプレイメーカーは、撫でていた手を止めてリボルバーへ向けて両腕を広げる。
「リボルバー、来い」
『っ!』
プレイメーカーに声かけられたその瞬間、リボルバーは駆け出した。
犬の本能のままに、両腕を広げているプレイメーカーへダイブしようとジャンプし、飛び込もうとした、その時。
ボフンッ!
リボルバーの周りに煙がたった。
何が起きたのか一瞬だけプレイメーカーも分からず、慌ててリボルバーの元へと駆け寄ろうとした瞬間、ズシッと全身に何か重たいものがのしかかり、プレイメーカーはバランスを崩してそのまま地面へと倒れ込んだ。
「いっ!」
「くっ……私は一体何を……っ!」
一瞬だけ意識が完璧に犬になっていた。と、リボルバーは内心舌打ち軽く頭を振りながら自身の手を見ると、犬の手ではなく人の手になっている事に気がつく。
「戻ったのか……?」
「戻ったなら、退いてくれないか……」
下から聞こえる声に、リボルバーは視線を下へ向けると、地面に押し倒されているプレイメーカーの顔がドアップにあった。
「っ!す、すまない!怪我は「プレイメーカー!大丈夫か!怪我とかしてないか!?」
同じく人間へと戻っていたソウルバーナーがリボルバーを突き飛ばし、プレイメーカーの様子を伺うと少しずつ顔が赤く染っていく。
「…………っ!」
「あっ、プレイメーカー!」
そのまま黙ってログアウトしていき、残されたソウルバーナーとリボルバーはしーんと静まり返ったこの空気をどうするべきかと悩んだ。
「リボルバー、とりあえず……ちょっとツラ貸せや。プレイメーカーを押し倒した事について、デュエルで殴り飛ばす!」
「いいだろう。今回は付き合おう」
そう言ってマスターデュエルのスタンバイし合い、二人は全力で殴りあったのであった。
「はぁ……」
そんな状況だと知らない遊作は大きく息を吐きながら手で顔を覆っていた。
あの時のリボルバーの顔がアップであった時の事を思い出し、さらに前にソウルバーナーに押し倒された時のことを思い出していたのだ。
『おかえり〜遊作!どうだった?リボルバー様の犬バージョンは』
デュエルディスクからぴょこっと顔を出したAiはニヤニヤと目で笑いながら問い掛け、それを聞いた遊作は覆っていた手を離してAiを見つめる。
「Ai、お前の仕業だったのか」
『まぁね!ソウルバーナーとリボルバーがこう簡単に犬化プログラムに引っ掛かるとは思わなかったけどね♪』
何故こんな事をしたのか、遊作はAiに詰め寄ろうとした同時にAiは人差し指を遊作に向けた。
『んで、次はプレイメーカー様にもなってもらいたいんだ!』
「なんだと」
そう言った同時に光り出すデュエルディスク。
遊作は勝手にログインモードへと切り替え始めている事に立ち上がり、急いでそれを止める操作をしながらAiを睨んだ。
「お前!まさか勝手に!」
『大丈夫だよ遊作。たまには遊作も犬の様に自然体で心置き無く本心をさらけ出しちゃえ☆』
Aiの言葉を聞いた後に視界が真っ暗闇へと変わっていく。
ゆっくりと落ちていく意識。プレイメーカーへと変わった遊作は、手を伸ばしながら重たくなっていく瞼。
もし、本当に俺がそうなった時は
全力でAiを噛み砕いてやる
微かに残っている意識でプレイメーカーはそう心に決め、そのまま意識を手放していったのであった。
プレイメーカー編へつづく!