藤堂平助 トリップ
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現実の世界では新撰組の歴史とかゲームとかやってたりやってなかったりする夢主です
鬼の力は基本的にない方向ですが、あったりする場合もあります
一応帰る方法とか、探っていますけどある程度親密度を上がったら話しているでしょう
新撰組の人たちは嘘ではないし疑ってもないのでしょうが想像できないって事でそんな感じです
あと家族関係の話になっちゃうので意図的に避けています
オリジナル設定はその都度説明を入れる形にして行きたいと思います
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『あっつ…』
熱い昼は休憩時間とはいえ、エアコンのない時代に暑さを耐えるのは至難の技である。
というより京都の夏は特殊な暑さで私は干からびたカエルのように横たわっていた。
朝の間になんとか干し終えた着物がなびくことなくむしろ焼かれている気がする。
しかし炎天下の真っ白な外に出る気もなくてこうやって日陰の部屋で倒れている。
『よぉっておいっ!?』
『名無し、綺麗な御御足がでてるぞ?』
『嬢ちゃんもうちょっと…そのだな自覚を…』
暑すぎて短パンみたいにめくり上げていたらだらしがないと三馬鹿に怒られた。
『だって熱いんだもん…熱中症になっちゃうよ…』
『ねっちゅうしょー?んなもんしらねーけど!やめろよな足出すの!曲がりなりにもお前女だろ!』
『なんのことだか、拙者は男でござるー』
男だからといってだらしなくしていいわけではないけど
女オンナ言われて厳しくされると虫が好かない。
『だいたい、藤堂さんたちはずるいです!みんな涼しそうな格好してずるい!』
『ずるくねーし!!!俺たちだって熱いんだからな!』
『まぁ確かに俺らの格好が100歩譲って涼しそうだとしても名無しがだらしなくするのとは関係ないだろ?』
『ぐぅ……』
原田さんに説教されたらかなわないので唸っておく。
『そうそう!!!』
原田さんの言葉にちゃっかり乗っかってくる平助を見ると少し腹がたつ
『まぁ平助は一番涼しそうな格好してるよなぁ。』
『でしょ!!!永倉さんわかってる!』
唯一の仲間?ができたのでそそくさ逃げる。
とりあえず説教されたので袴は元に戻した。
『んなことねーし!!!しんぱっつぁんの方が中着込んでないから熱くないだろ!』
そう言いつつ平助は着物の襟で風を起こす。
『永倉さんは立派な筋肉見せるから仕方ないの!』
『そうそう。この筋肉隠すのは勿体無いだろ,平助のはともかく』
『はぁ?!んな暑苦しいもん見せんなってか俺だって筋肉あるし!!!』
『何張り合ってんだ平助…』
いつものテンション高いやりとりに原田さんはため息を一つつく。
『と…とにかく!そういう格好は禁止!ダメだかんな!』
顔を真っ赤にして指さされて反対される
永倉さんの背中に避難して睨みつけてやる。
原田さんはもはや興味なくて壁にもたれて終わるのを待っている。
『まぁまぁ平助そこまで言わなくていいんじゃないか?』
『しんぱっつぁんは甘すぎ!!!こいつのためにおれはいってんの!』
『そりゃ俺も気持ちはわかるけどよ。名無しちゃんは京都初めての夏だし慣れてないんだと思うぜ』
『せやで!こんな熱いのなれてへん!』
『そっそうか…ってなんで関西弁!』
『そうだ平助、名無しつれて川にでもいこうか?』
心臓が小さく跳ねる。期待して平助を見つめて見る。
『おっ?みんなで水浴びしに行くのか?!いいなそれ!』
『俺ら用事があるからよ。二人で行ってこいって』
原田さんが壁からゆったりと離れてつげる。
『えっ?二人とも今日は暇だっていってたじゃん?』
『えっあ…さっき土方さんに頼まれたからよ。すまんな平助』
『んなこと急にいわれても…』
平助の視線が狼狽する。
みんなで行くと思ってたのに2人きりで行くのは確かに気まづい。私は視線を逸らしつつ発言する。
『2人の都合がまたいい時にでいいよ。気持ちだけで嬉しいし』
男性と2人きりとか気まづいし…
『いや、そういう意味じゃなくて…俺は別に…お前が嫌じゃないなら行ってもいいけど』
『いいの?藤堂さんがいいなら!』
『そうそう2人で河原の涼みしてこい。』
『はいいったいった』
原田さんと永倉さんに背中を押されてそのまま
2人きりで出かけることになった。
なんとなく歩く距離感も微妙に開いている
1人だけ舞い上がるのも恥ずかしくて揺れる髪が見えるくらい後ろを歩く。
『と…とりあえず鴨川まで行くか…』
『うん。』
沈黙が気まづいのに言葉が出てこない。
いや、むしろ沈黙してる方が楽なのかも知れない
他の人がいるときは流暢に喋れるのに2人きりになったとたん口が開かない。
『あっ見世物やってる。』
『そっそうだね。』
鴨川あたりはたくさんの茶屋と床机に紛れて見世物小屋がある。
皆涼みに来ているのだか人が増えて逆に熱い気もする。
人々の黄色い声が響く中を歩くと少し足がもつれそうになる。
自然と平助の着物の端を掴んで逸れないようにしていた。
『あのな、服乱れるだろ。手…』
『あっごめん』
さっと手を引っ込めるけど立ち止まってこっちを見ている。
身を縮こませながら平助の顔を見ていると手を差し出されていたことに気がつくまで時間がかかった。
『手を繋げばいいだろ。』
『あっ…うん』
平助のゴツゴツした手に添えると骨がぶつかるほど握り締められた。
自然と横に並ぶ形になる。
手を握ってるだけで顔がポカポカしてくる。
周りをよく見るとカップルばかりで心音が高鳴り出した。
そういや私は男装中だから周りから見たら変に思われるだろうか。
(あぁこんな時に限って手汗ってかいちゃってるかな)
川の近くになったのか風の流れを感じる。
『なんか食べるか?』
『ううん。別に何もいらないよ。』
首を振って答える。それでも平助は手頃な茶屋を探しているようだ。
『もっと人気が少ないところにいきたい』
『えっ…おっおう。』
こんなに人がいるところではそうそう涼しむことはできないし、周りの人に勘違いされても困るので川沿いを2人で歩く形になった。
連なってた茶屋もぶつ切りになり、
だんだん人気は無くなり熱気も減ったけど手は繋いだままだ。
『あっあそこ木の陰になって良さそう』
空いた手で木を指差す。
『そうだな。あそこしよう。』
やっと涼めると思いつつ、物足りない木の陰に入って平助の横にお尻を置く
座る時自然と手が解かれて涼しげな空気にふれた
川が連れてくる風は涼しい。
屯所は下手したら風が吹かない日の方が多くとてもしんどいのだ。
天然のエアコンは本当に便利な生活から離れた身の上では自然と感謝の気持ちになる。
『ありがとう 藤堂さん 涼しいね』
『いや別に、大したことじゃねぇし。俺も涼しみたかったし』
手の置き場所を迷ってるのか頭を書いたり組んだりしている様子の平助に私はお尻が落ち着かない。
(流れできてしまったものの何をすればいいのか…)
話す内容を探すにも辺りはいつもの京都で代わり映えがない。
川の先を見ると子供達がはしゃいで水浸しになっていた。
(いいなぁー私も水浴びしたい)
じっと子供達を見つめていると平助が立ち上がって
『水浴びするか?』
と手を差し出された。
心の声が漏れたのかとびっくりしたけど一つ遅れて返事をし、手を取る。
川の側まで駆け寄ると私たちは足袋を脱いだ。
『って袴まで脱ぐのか?!』
『だって濡れちゃうじゃん?』
『そっ…そうかぁ…いやダメだってたくし上げるだけにしとけ。どうせ乾くから。』
『たくし上げてもいいの?』
『そりゃまぁ水浴びするんだしってか脱がれるよりマシだかんな…』
私は腰紐に布を噛ませて膝が見えるくらいたくし上げた。
『冷たい。気持ちいいなこれ』
すでに川の中に入ってる平助に転ばないようにと手を取りつつ川に入る。
流れは緩いけどそれなりに冷たい。足首の少し上まで浸かり、川底の石が足ツボを刺激して少し痛い。
『冷たいな』
『うん』
ざぶざぶと音を立てつつ川の水で遊んでみる。
久しぶりにたくさんの水に触れた気がした。
『あまり深いとこに行くなよ』
『うん』
着物があまり濡れないためにも浅瀬であることを足先で確かめながら平助の周りを歩く。
『うひゃあ!?』
突然水をかけられて髪の端が濡れてしまった。
平助はくすくすと笑って腕を休めることなく水をかけてくる。
足裏が痛くてあんまり動けない。
もうこれは反撃するしかないと手で精一杯水をかけかえす。
2人とも服が肌に吸い付くまで濡れてしまった。
突然平助が消えだと思ったら苔を踏んでしまったのか腰が水につかってしまっている。
『大丈夫?平助』
私は急いで近寄り、しゃがんで平助の手や膝に傷がないか探し出す。
『大丈夫だって!どこも怪我してないから!』
とすぐに立ち上がって元気な様子を見せつけられた。
それでも私は派手に転んだ平助が心配で眉を寄せてしまう。
足袋を置いてる所まで行き、丁寧に服を絞る。乾いた石が大量の水を吸ってはすぐに乾き始めた。
平助の方は髪まで絞っている。私たちの持っていた手ぬぐいも濡れてしまった。
『少し乾いたら帰るか』
私は素直に返事をする。
器用に立ちながら足袋を履くと木陰まで日向から逃げる。
平助も後から付いてくる。木陰の方が風が気持ちいいのだ。
『水浴び気持ちよかった。』
『川の水、丁度よく冷えててよかったよな』
平助は白い歯を見せて笑う。
『うん、ありがとう』
私は袴に空気を入れつつ言った。
『川くらいまた、暇があったら連れてきてやるよ』
『やった!今度は2人も一緒に来ようね』
『2人…?あっ…!そうだな…でも、まぁ2人は勝手に来られるし。気にすんな』
『あっそうだったね。でもみんなと一緒だと楽しいから』
『…俺とじゃ不満?』
顔色がうかがえない。心臓がずきりと痛む。
『そうじゃないよ!私、藤堂さんと一緒にいるの好きだし!今日もとってもとっても楽しかったよ!!!』
手を振って一生懸命アピールをする。
『そっそっかぁ!ならいいんだ。うん。』
平助は笑った。少し眩しいくらいに。
陽が傾きかける頃には2人とも服が大体乾き、なんとなく手を繋いで歩く。
皆私たちの様子を気にせず流れるように歩いて行く。
『私たち側から見たら兄弟みたいなのかな?』
『こんなちんちくりんな弟やだよ俺は。』
あっ人を馬鹿にしてる時の顔だ。
『ちんちくりん言うな!なんで平助の方が兄なの』
『日頃お世話になってんだから名無しが弟に決まってんだろ』
『んーそれもそうか。平助みたいなお兄ちゃんかーやっぱ想像できない』
『なんでだよ!容易に想像できるだろ!』
『んー頑張れば可能性があるかもしれない』
『はぁ!?ありまくりだから!可能性ありまくりだからな』
『でも平助みたいなお兄ちゃんがいたら 、弟は幸せだろうね』
『そうだろ!幸せに決まってんだろ!………』
心なしか手に力が篭ったような気がしたけど思考していて気づかなかった。
『でもやっぱお兄ちゃんって感じするのは原田さんかな』
それを聞いた途端平助はいきなりむすっとした顔になる。
『どうしたの?』
『それならなんでも佐之さんにしてもらえばいいじゃん。』
『ええ?!?!』
原田さんと比べたらすぐに拗ねられて、やはり兄ぽくないと自分で頷いたけれど早く慰めないとややこしいことになる。
『ごめんって!藤堂さんと比べたわけじゃないからえとその藤堂さんはいつもお世話になってるしいつも頼りにしてるから!』
『ふーーーん』
平助は口を尖らせてまだ瞳の奥を覗いてくる。
『わかった!お兄ちゃんは藤堂さんがいい!うんお兄ちゃんは藤堂さんしかいないなー!』
ここまで大げさにすると逆に胡散臭しかない。
『もういいよ。わかったから』
少し心の距離を置かれたようで焦る。
『なっ!本当だって!よくお話しにきてくれるし!困ってたらすぐに手を貸してくれるし!失敗しても慰めてくれるし。お土産もよくくれるし。本当に心強いっていうかお兄ちゃんだよ!!!』
指折り数えながら豪快に説明して行く。
『まじでもういいから…』
平助の顔がニヤついてきたけれど不安だからともうひと押しと舌が回る
『そっそれにわからない本とか教えてくれるし、文字も習って書けるようになったし、ええっとそれからよく皆に私のこと気にかけるように言ってくれるし、お風呂の時は見張ってくれるし』
『ちょっとまて最後の知ってたのか?!?!』
『うん、だれかなって思って山崎さんに聞いたら藤堂さんだって』
『うわあぁあぁあ!?ぜってぇ疚しい気持ちこれっぽっちもねぇからな!俺はお前の為を思ってだな!そう言うためだけに守ってるだけであって決して覗いたことないからな』
『うん?別に覗かれても平気だよ?』
『ダメだから!!!じゃなくてしないから!!!ぜってぇしないから!』
『そうだよね。平助にも好みがあるもんね』
『そう言うわけじゃなくて!むしろ興味あるけど!!!見ちゃダメだろ!!!普通に考えて!!!』
『興味あるの?』
『ああああああああああちがああああう』
叫びまくって手を離されて全力疾走で逃げられた。
『平助ーまってよ!』
この遅い足では突然の走りに対応できない。
仕方なく景色を覚えてる道を歩いて行ったら私だけ先に帰ってしまった形になった。
平助はというとせっかく涼みに行ったのに夕食後に汗だくになって帰ってきた。
そこらへん叫びながら走り回ってたらしくて、山南さんにお叱りを受けたとさ。
end