複数
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定夢主はトリップしてます
現実の世界では新撰組の歴史とかゲームとかやってたりやってなかったりする夢主です
鬼の力は基本的にない方向ですが、あったりする場合もあります
一応帰る方法とか、探っていますけどある程度親密度を上がったら話しているでしょう
新撰組の人たちは嘘ではないし疑ってもないのでしょうが想像できないって事でそんな感じです
あと家族関係の話になっちゃうので意図的に避けています
オリジナル設定はその都度説明を入れる形にして行きたいと思います
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『あっ!おーい名無し』
柱の陰から見えた名無しに向かって声をかけたけど、飛び跳ねると消えていってしまった。
『あれ?俺間違えた?』
『いや、あれは嬢ちゃんだろ?』
『何かあったんじゃねーか?』
『俺、様子見てくる!!!』
肩をがっしり掴まれて引き戻された。
『バカか平助、名無しが逃げたということは会いたくないってことだろ?』
会いたくないと思われるだけで気持ちが萎れてくる。
『えっおれ、何か悪いことしてねぇよ?!』
『平助は、どこでも騒ぎ起こすからなぁ。恨みの一つや二つ買ってんだろ』
『はあ?しんぱっつぁんには絶対言われたくない。』
『なんだと平助、もういっぺん行ってみろ』
犬が牙を向いていがみ合っているのを原田さんは苦笑いして見ていた。
砂利を踏む音が聞こえる。
『斎藤か。……どうしたんだ?』
斎藤さんは顔を左右に振りながら何かを探している様子だった。
『名字を見なかったか……?』
『名無しならあっちに行ったが……なにかあったのか?』
『あっいや……何事もナカッタ。大丈夫だ』
(なんかあったんじゃねーか)
斎藤ならなにか理由があるから黙ってるんだろうとそれ以上聞く気にならなかった。
だけど俺たちは斎藤の後を追ってしまうのだった
『名字どこにいる?』
『はい……』
蚊の鳴くような声が襖越しに聞こえる。
『すまない、慣れない事だったのでその……』
『いえ、斎藤さんに任せた私も悪かったので……』
といいつつも声は低いので、落ち込んでいるのは丸わかりだ。
斎藤さんはこめかみに一筋の冷や汗をかきつつ、ないながらもご機嫌の取り方を探った。
『俺はそんなに酷くないと思う。その、市松人形みたいで愛らしい姿をしている。』
返事が聞こえない、褒めるのではダメらしい。
『誰だ』
ばらばらな足音が聞こえる。
盗み聞きをしていたからか皆腰が引いていた。
『一くん名無しになんかしたの?』
と小声で平助が耳元で問う
『いや、なにかしたといえばしたが……その……』
『一がなんかするとは思えねぇけど……市松人形はまずかったな……』
『えっ、まずいのか?』
新八さんは目を大きくしていた。
『新八は黙っとけ』
『名無しー大丈夫か?』
斎藤さんが止める暇もなく襖は開いていく。
が畳の上には名無しはいなかった。
『え?名無しー?名無し?イテッ』
『平助おめぇ、一がなんで開けなかったかわかってねぇだろ』
『あっ、って二度殴るこたぁねぇだろ』
目に涙を溜めて原田さんを睨む平助
原田さんはお灸を据えただけだと拳を見せた。
『とにかくだ。なにがあったんだ。一』
『……そのだな……えっと……』
木の擦れる音がするとと物置の襖が開いた
座敷わらしのような感じで隙間から覗いてくる名無しがいた
『名無し?!どうした!』
只ならぬ様子に平助が身を乗り出したけれど
『大丈夫だからほっといてほしいです……』
間髪入れずに返答されて身構えてしまう。
『名無し、話してみろ。どうにかしてみるからよ』
『いくら原田さんでも無理です……お気持ちだけで……』
『みんなでなに楽しそうにしてるの?』
一瞬にして北の風が吹いた
『なんでもねぇ!なんでもねぇって』
新八さんが取り繕うのは無理そうだ。
3人が作った壁を乗り越えて、襖を開け放った。
『やめっやめてくだ!!!』
雪崩が起きた一番下にいる平助が叫ぶと沖田さんは腹を抱えて笑っていた。
おでこがよく見える可愛らしい前髪になっていたからだ。
斎藤さん以外は笑ってしまい、名無しは前髪にウサギのような手を乗せて涙を溜めていた。
『うっ……うぅ……』
物置の奥に身を潜めてしまい呻き声が聞こえる。
『総司のせいで悪化してんじゃねーか……』
『だってあんな珍妙な前髪見て笑わない方が無理じゃない』
『『総司!!』』
お手上げのポーズをとる反省のかけらもない沖田をにらめど鳴き声は止まない
『よし……俺も覚悟を決めた。』
というと一は正座をしている小刀を取ると刀身を抜いた。
『ってまって一くん、なにしてんの?!』
『斯くなる上はこの身をもって』
目は真剣そのものだ。
『いやいやいや、ダメだって!!!』
一さんの手をもって静止する平助。
『そうだな……男ならスパッと腹を切って詫びりゃあいい』
原田さんは腹の傷を叩いた。
『この人たち頭おかしいの?やりたいなら止めないけど』
面白そうなものを見る目の沖田さん
目元をさらに腫らして名無しがミノムシのように出てきた。
『斎藤さんそんなことしなくていいですからね……』
やめてくれと真剣に頼む場面なのに皆が笑いを堪えていた。
斎藤さんはなんとか目をそらしているのが見える。
とりあえず斎藤さんの刀身を元に戻して話を再開した。
『まぁ、そのなんだその前髪も可愛いぜ名無し』
原田さんの大きな手で顔を包まれてキリッとした目で見つめられて、心の隅に大丈夫かもしれないと思い始めたが
その後ろでまだ笑い隠せてない人がいて失敗に終わった。
『わっ笑うなぁ……』
名無しは両手で前髪を覆って丸まった。
原田さんはまだ笑ってる人たちに拳骨が飛ばした。
『名無し……これで気の済むようにしろ』
斎藤さんが名無しに小刀を差し出したが、名無しも押し返す。
『やっやですよ!!!何しろっていうんですか?!』
真剣そのものの目で見られると背筋が冷える。
『これでお前も俺の前髪を切れば良い。』
『お断りします。』
相変わらずまっすぐで対処がややこしい人だ。
『なにそれ、僕が代わりにしようかな』
『お前には言っておらん』
沖田さんはさっきから茶化すような事ばかりで手を焼く始末。
名無しのこうべは垂れるばかりで話は前に進まない。
『ようは前髪をどうにかすりゃいいんだろ?何か隠すもんがあればいいんだが……』
『そうそう手ぬぐいで頭巾を作ればいいでしょ?』
『総司って余計なことする癖に妙に賢いよな』
『平助にはないもんね』
『はぁ?!ありまくりだし総司には言われたくねぇよ!』
『いや俺みたいにハチマキ巻くのもいいと思うぜ』
『お前とお揃いとか名無しがかわいそうだろ』
『んなことねぇよ!名無しちゃんそんなことねぇよな』
あははと笑って調子を合わせてみた。
『でも私、予備の手ぬぐいやハチマキ持ってないです。』
斎藤さんはスカーフをするりと除けると丁寧な手つきで私の頭に巻いて頭巾にした。
『わぁ、斎藤のいいんですか?!』
『俺に責任がある。急ごしらえですまんが今はこれで我慢してくれるとありがたい』
頭に幕には余るが気持ちが嬉しいので断れない。
『ありがとうございます。』
にっこりと笑うと斎藤さんの唇が弧を描いた。
『なに二人でいい雰囲気になってんの』
顔にシワが寄っている総司。
『そうだよ一くん、てか近すぎ!』
二人を引き剥がそうと間にはいる平助
『頭巾も似合うけどやっぱハチマキでも……』
永倉さんはまだ諦めてないようだ
『可愛いぜ、名無し似合ってる』
とまた頭を撫でて来ようとする原田さん
『でも襟巻きがない一くんとか久しぶりに見るかも』
皆一様にみるが斎藤さんは動じない様子だ。
『そう言われるとなんか気持ち悪いな……なんか巻いとけよ斎藤』
『大丈夫だ、部屋に予備がある。そもそもそんなに珍しくもないだろう』
『スミマセん……』
名無しは両手を組んで頭を低くする
『気にするな名無し。責任を取らねばならないのは俺の方だからな』
『よかったな名無し!』
そっぽ向かれて平助は目を天にした,
『え?!怒ってる?』
『斎藤さんいきましょう』
両手で片手を引っ張られて斎藤と名無しは部屋を出ようとしていた。
『あっあぁ』
抵抗するのも忘れてついていく斎藤を見て平助は頬を膨らませる。
『あー……俺ら笑っちゃったもんな……』
原田さんは眉間にしわを寄せている。
『え?仕方ないでしょあれは笑いますって』
悪びれた様子もない沖田は逆に精々しい。
『……俺謝ってくる!』
『ちょっと待て平助、こういう時は和菓子を用意して』
『そうだな早めに、謝っとかないと意外と根深いからな……』
3人揃ってまた名無しを追いかけていく
ひと騒動終わる頃には沖田はあくびをしてその場を去った。
end