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言の葉に恋する証明



「お誕生日、おめでとーお」
お土産にと持ってきたケーキの箱を開けた溝口は、ぺちぱちぺちり、とどうにも腑抜けた拍手をくれた。祝・30歳!とカウントを絶妙に嫌な感じで間違えていたので、まだだ、じゃあお前はいくつなんだ、同い年だろう、と低く抵抗した。宙に目を彷徨わせた彼が、そういう細かいことはいいじゃないの、なんて誤魔化しながら手を振る。お前、年々雑になってるな。ついに自分の歳まで忘れたのか。
ピースのケーキが二つ。いちごが乗ったそれに蝋燭を刺されて、おっかなびっくり火をつけようとする溝口の手からライターを取った。火傷させたいわけでもなし、別に祝いたいつもりもないけど、仕方がないから自分でやる。急いで電気を消しに行った溝口が、早口でハッピーバースデーの歌を歌ってくれた。ふーして!と喜ばれて、吹き消す。子どもの頃にできなかったことに全て付き合うと決めたのは、もう数年前だ。独り立ちしようとしては失敗して、けれど諦めずになんとかまた一人で生きようとしては足を取られて、結局俺みたいなのといることしかできない彼は、今のところは酷く楽しそうに笑っていた。この歳にもなって、誕生日のお祝いでこんなに楽しまれると、逆に心配になる。躁鬱の躁の時期なんじゃなかろうか。明日には部屋の隅っこで丸くなってぶつぶつ言ってても俺は何も言わない。何度か経験したから鮮明に想像できるその様子に一人頷いていると、早く食べようよ!とフォークを突き出された。
「いただきます」
「んー、おいしー!ケーキおいしいねっ、小金井くん!」
「そうだな」
「お誕生日は良い日だねえ。俺も早くお誕生日が来たら良いのに」
「歳を取るのが楽しみなのか?」
「ケーキ食べられるじゃない。それに、何事もなく大人になっていくことは、しあわせなことだよ」
後半、重い。多分本人は何も考えていないだろうけれど。誕生日じゃなくてもケーキぐらい食べたら良いじゃないか、と進言すれば、そんな贅沢、と引いた顔をされた。こいつ、大好きなはずのドーナツも、何故かものすごく我慢して半年に一回一個とかしか食べないからな。そうしなければならないと思い込んでいるらしい。別に良いのに。ちなみに買ってやると普通に食う。ただし、破茶滅茶に喜んで、俺のことを崇め讃えて、にっこにこしながらお皿に乗ったドーナツをしばらく眺め倒してから、だけど。
「プレゼントは?」
「え?」
「プレゼント」
「……ケーキ買ってきた」
「俺のこといつになったら本気で養ってくれんの?」
「しっ、仕方ないでしょお、俺お金ないし、お仕事まともにできないんだから!」
「開き直るな」
「がんばってるんだからね!」
がんばってるのは知ってる。がんばればがんばるほど盛大に空回りして、周りから爪弾きにされていたく傷つくことも知ってる。爪弾きの引き金を引くのはいつだって俺だからだ。
出所してから、人目を避けるように田舎に引っ込んで細々と生活を営んでいたものの、村から追い出されてここに逃げてきた溝口は、しばらくここに居候していたけれど、バイト先を決めないといけない、いつまでも迷惑をかけるわけにも、と家を探し出した。別に大した迷惑でもなかったが、独り立ちをするにあたってここに住み続けることは有り得ないらしい溝口が、せっせと貸家を探すので、特にそれは止めなかった。人の目が怖いとまた交通の便が著しく悪い辺りをわざと探していた彼に、同じアパートの一階に、ずっと空いている部屋があることを伝え、田舎というよりはかなり都会に近いので人の目はある、しかし困ったことがあれば頼ってくれて構わないからと、半ば強引に契約を進めさせた。稼ぎや経歴の関係から、保証人として自分が立つ必要があったのも事実だ。それも、盾にとった。彼がその強引さをどう思っていたかは分からない。分かろうとも、しなかった。
少し離れるくらい、程度に思っていた、あの田舎暮らしの僅かな時間で、俺はこいつが自分の手の内にない恐怖を味わってしまったのだ。昔はずっと、手に入らない、訳の分からない生命体だと思っていた。けれど、いざ庇護対象として手の内に入れて仕舞えば、外に出すことは狂おしいほどに惜しかった。自分の手の届く範囲外で生活を営んでもらいたくなかった。監視できない時間が長いと、身を裂かれるほど不安でたまらなくなった。また困った目に遭っているのではないかとか、面倒ごとに巻き込まれているのではないかとか、自分の身を切り売りしてなんでもないように笑っているのではないかとか。そんな想像に身を焦がすぐらいなら、保護観察だから、なんて名目で近くに置いておいた方が遥かに精神安定上良い。そんな生活を始めてから、思い通りに、想像通りに、溝口はバイトを始めて、あれやこれやと理由をつけてはうちに来るようになって、俺もくだらない理由で彼の家を訪れるようになった。こんなにたくさん遊べるなんて大学生の時みたいだね、と楽しそうに笑っていたけれど、大学生の時みたいにお前が訳の分からない生命体でいてくれたならば、俺はここまでお前が遠ざかる恐怖に怯えずに済んだだろうに。
「こがねいくん、おやすみー」
「おやすみ」
ぱたりと玄関を閉じた溝口が、ぼろい階段を降りていく音。耳をすませていれば、がたり、と下の階の自分の家の玄関を開けた音も聞こえてくる。その音を聞いて、どうしようもなく安心するのだ。
正気の沙汰じゃない、気が違えている、なんてこと、自分でもよく分かってた。一体、どこで間違えたんだろう。

「あちちー」
「……お前、エアコン買えよ」
「お金ない」
「暑いからってうちに来るな」
「いつでも来ていいって言ってくれたのにー」
ふいー、と気持ち良さそうな息を吐きながらエアコンの冷たい風に当たって満足気に目を細める溝口に、もういいかと諦める。バイト先、お菓子の工場でも割としっかり社会に溶け込んでいるようだし、今のところは世間一般にただ紛れ込んでいるだけなので、俺からもなにか動く必要はない。なにをしているか把握さえできていれば、別に外で彼がどう働こうと、どんな友人を作ろうと、構わないのだ。その友人、ないしは恋人に当たる人物が、彼の過去を知ってどう動くかは、俺が試せばいい話で。
「溝口、汗だくで寝そべるな」
「床が冷たい」
「シャワーを浴びてこい」
「昨日ちゃんと浴びたよ」
「汚い」
「きたないとか普通に言うー、きずつくー」
きたなくないもん、と尚も溶けている溝口に、シャワーを浴びて来たらアイスをやると一言告げれば、マッハでいなくなった。手形に汗の跡が残っているのがすごく嫌だ。うちのシャワーを使う気は流石にないらしく、どたどたと階段を駆け下りて自宅に帰っていく音がする。嵐のようだ。
「……携帯」
急ぎすぎて、置いて行ってるし。前に使ってたやつは水没させてしまったし、新しく用意したのもバイトのためだ。俺以外の連絡先がこの携帯には入っているのだろうか、と少し気になって、画面をつける。ロック、かけてるわけないか。下手をしたらそもそもパスコードをかけられることすら知らないかもしれない。そういうところが無防備なのは、大学時代、普通に混じってた頃も一緒だった。あの時の俺は今よりも溝口への執着が薄かっただろうから、携帯の中を見るだなんて、自分だったら最悪の気分になることをしようとは思わなかったけれど。身体を売っていることも、知っていたのに強く止められなかった。どうして、と理由を聞いて、相手側に「もうあいつとは会わないでくれ」と頼みに行っていた。大概の場合同情されて、もしくは関係ないだろうと激昂されて、はたまた気味悪がられた。けれど、後から思ってみれば、俺がいくらその時に知っていた範囲の繋がりを切ろうとしたところで、溝口はその時点であのクソみたいな神様とやらに身を捧げる誓いを立てていて、そのために俺の知らない誰かに、俺の知らないところで、甚振られては嬲られて、それを笑って受け入れていたのだ。それを思うと、吐き気がする。終わった話でも、本人がその事実を許していたとしても、俺は許せない。もっと早く、俺が大人になっていたなら。
「……………」
そんなことを考えながらだったから、視界に入ってきた文面の意味が分からなかった。きっと考え事をしていたから意味が分からないんだと思って、一度目を閉じて、頭をリセットする。うん。大丈夫。多分、読み間違いだ。
「……………?」
年齢問いません、二時間いくら、希望があれば追加料金、お金くれれば何でもします。最後の一文に、プロフィール欄にくっついた顔が見えない写真でも、発信者が特定できてしまった。この携帯の持ち主以外に有り得ない。
無防備というより馬鹿だ。メールフォルダとかラインとか、そういう代表的なものは一通り目を通して特に何もなかったから、最後に目に留まった、手紙のマークにハートがついてるアイコンを触った。可愛らしい言い方をすれば、マッチングアプリ、と言えばいいのか。それのどぎつい版。アプリの中で相手を探して、条件が合えば現実で会って、そういう行為をする。お金をくれれば何でもします、と本人がプロフィールに書いてある通り、過去の履歴を辿ると、結構いろんな人と繋がりを持っているようだった。ありがとう、またよろしく、というお礼の言葉に、目の前が真っ白になる。まともに働いてるんじゃなかったのか。いや、でも、工場ではまともに働いているはずだ。殺人を犯した犯罪者、というレッテルからして、溝口が任意観察対象であることには変わりないわけで、勤務態度や出勤日数と時間については、何の問題もない。むしろ、勤勉であると評価されてもいいくらいだ。だから、要するに、これは副職。小金稼ぎがしたいがために、自分のことは蔑ろ、が骨の髄まで染み付いた溝口が選んだ、もう一つのバイト。そりゃあ給料はいいだろうよ、これだけ引っ張りだこにされてれば。どたどたと階段を上がってきた音に、携帯を置いて、玄関のチェーンを閉めた。俺が溝口の家の鍵を持っているのと同じようにうちの鍵は渡してあるので、当然のようにそれを使って入ってこようとした溝口が、チェーンに阻まれて変な悲鳴をあげた。
「こがねいっ、ふぎゃあ!?なんっ、なに、なんで扉開かないの!」
「俺が閉めた」
「どうして!いじわる!アイスは!?」
「お前、また体売ってんの?」
「……へ」
「いつから?」
「え、しばらく前から……」
「……………」
「?」
もう少し、バレたことに対して、ショックを受けるのかと思った。きょとんと俺を見て、暑いよお、とむずがるような声をあげた溝口に、チェーンを外す。外に聞かせるような話じゃないわけだし。
「アイスは?」
「座れ」
「アイス……怒ってる?」
「座れって」
「こが」
「溝口」
「……ごめん」
その「ごめん」は、なにに対しての謝罪なんだろう。俺が怒っているから、とりあえずのご機嫌とり?それとも、俺に隠していたことに?前者だとしたらそれはもう今更、後者だとしたら別に謝る必要がそもそもない。座れ、と指した場所は床だったのに、従順にぺたりと座り込んだ溝口が、不安そうに眉を下げたまま口を開いた。
「ごめんね、やだった?あの、俺、でも、ちゃんと体とか綺麗にしてからここに来てたし、痛いことはしてないし」
「そうじゃなくて」
「……小金井くんに、言わないで、お金稼ぐのがだめだった……?」
「違う」
「……じゃあわかんないよ……」
そうだな。本当に、心底、分からないんだろうよ。そういうことを誰とでもしちゃいけない理由。お金を貰えばいいって問題じゃない理由。綺麗汚いの話じゃなくて、もっと根本的な、理由。だって俺は女の子じゃないし、相手の人も大人だったし、ちゃんと約束守ってくれて、取引したんだよ、契約だよ、お金貰うための、と俺にぽろぽろ零す溝口に、全部違うよ、と返した。そういうことを言ってるんじゃない。目線を合わせてしゃがみこむと、ぱたりと濡れた髪から雫が落ちた。その見捨てられた顔をやめてほしい。最初から、世間様の掌の上になんて、お前も俺もいないんだよ。とっくに溢れて、ふりをしているだけだ。
「……どうして、こんなことするんだ」
「おかね、ほしくて……小金井くん、お誕生日のプレゼント、買ってあげられなかったから、おれ」
「本当に?」
「……嘘、つかないよ……?」
「分かんないだろ」
知ってると思って高を括って、囲った気になって、現状に胡座をかいてた。今のこいつは、神様にも刑務所にも縛られていないこいつは、自由なのに。知らないことなんて、いくらでもあったじゃないか。俺のためと言えば誤魔化せると思っているのかもしれない。本当は、ずっと昔に自立しきったこいつが、誰かと暮らしていくための、邪魔な見張りの俺を追い払う資金かもしれない。工場の賃金だけじゃあ生活していくだけでなんとかいっぱいいっぱいだなんて、知ってる。エアコン買う金も捻出できるかどうか、というところなのだ。遊び呆けられるわけがない。ぱかりと口を開けて俺を見た溝口は、信じられていない、ということを脳に浸透させたらしく、かっと顔を赤くした。
「なんでっ、信じてくんないの!」
「黙ってこそこそこういうことに手を出すから信用できないんだろ」
「だって、秘密にしたかったんだもん!びっくりさせたかった、どこがいけないの!」
「こんなことされるぐらいならプレゼントなんかいらない」
「こんなことってなに!」
「お前は知らないかもしれないけど、普通は体なんか売らないんだよ」
「でもみんなありがとうって言ってくれた!」
「、っだから!」
出来るだけ落ち着いていようと、押さえていた声が、荒くなる。勢い余って肩を掴んでしまって、びくりと溝口が跳ね上がった。痛かったかもしれない。力が強すぎたのかも。でももう、そんなことに構っている余裕はなくて。怯えたような目に、何故だかどうしようもなく腹が立って、思ったままに吐き散らした。
「ありがとうって言われたからってお前はなんでもやるのかよ!?おかしいだろ、おかしいんだよ、それ!みんなのために死ねって言われて死ぬのは、間違ってるんだよ!俺の知らない奴に何させたんだよ、何処触られて何処に、なんでいつもそうなるんだよ!」
「こ、こが、ねいく」
「うるっさい!お前のこと一個も分かんねえ、なんなんだよ、ふざけんなよ、社会不適合者!こっちは必死で、なんとかしてお前が、お前のこと、どうにかしたかったのに、なんで自分から、自分のこと一番下に扱うんだよ、何されてもいいわけねえだろ、ふざけんな、っ……」
「いっ、いたい、小金井くん、ごめ、ごめんなさい」
がくがくと、揺さぶっていた。気づいたら、溝口の服の肩はくしゃくしゃで、着古したTシャツは伸びてしまっていて、彼は震えていた。頭の芯が、一瞬で冷え切って凍る音が聞こえた気がして。ぱっと離した手に、尻もちをついた溝口が、俺を見上げる。さっきまでの怯えた目と違って、きちんとこっちを見ていることにどうしようもなく安心して、その安心がただの甘えでしかないことに狂いそうだった。此の期に及んで、見てほしい、ここにいて欲しい、独り占めしたい、だって?馬鹿馬鹿しい。いっそ、お前が俺から逃げてくれたら、手の届かない何処か遠くへ行ってしまったなら、心置きなく頭を壊せるのに。
「……悪い。ごめん、痛かったろ」
「ううん、小金井くん、ちがうの、俺、また間違えてた?」
「……違うよ。怒鳴り返して、悪かった。こういうことは、良くないことで」
「そ、そのいいかた、やだ。怒ってるなら、ちゃんと怒ってよ。怒りたいのに、怒鳴りたいのに無理やり優しくされても、俺、子ども扱いされてるみたいで、やだ」
「……じゃあどうしろって言うんだ」
「……俺のこと、なんでもかんでも、許さないでよ……」
縋るような声だった。震えた語尾に、ごめん、とだけ口から溢れる。何に謝っているんだか。俺がお前を許しているのは、お前に俺が嫌われないためだけだっていうのに。
窓を貫通して響く蝉の鳴き声に、何か言いかけてはやめる微かな声は、掻き消された。外を走る車。夏休みらしい小学生が連れ立ってはしゃぐ声。同じアパートのどこかの部屋では、水を使っている。走り抜ける自転車のベル。自動販売機に硬貨を入れる音。薄い壁の外には世界が広がっているのに、この部屋の中はどうしようもなく閉じていた。どこにも行けない。お前だけでも外に出られたらいいのに、俺はそれを許せない。自らの手に余るほどに肥大化した醜い感情は、どこにも行かずにここにいてくれ、と叫ぶ喉すら潰していた。目の前の相手の顔も見れない俺に、あの、と何度も言いかけてはやめた溝口が、やっとその言葉の先を声にした。
「お金をもらってセックスするのは、しちゃいけないこと?」
「……しちゃいけない、……というか。して、ほしくないこと」
「みんなに?」
「……推奨されるべきじゃない」
「わかんない」
「俺はどっちでもいい。けど、みんながそんなことしてたら頭がおかしい」
「じゃあ、小金井くんが、俺に、してほしくないってこと?」
「……それは、」
それは、そう。そうなのだけれど、それをそうと、認めたことはなかった。俺は全人類にそれを求めているわけではなく、目の前のこの人間に対して、「してほしくない」と思っている。他人なんかどうでもいい。隣人が明日の朝自殺しても、俺はそれにどうこう思うことはできない。それは、ずっと昔からそうだ。他人に対して感情を動かすのがどうしても苦手で、なのに溝口に対しては、「してほしくない」「こうしたい」「そうあってほしい」と思う。思える。思ってしまう。思いたくなくても、望んでしまう。声を詰まらせたっきり無言になってしまった俺に、ずっと不安そうに濁っていた溝口の目が、ふいと下を向いた。嫌だ。諦める顔をしないでくれ。大切にしたいはずのものを取り落すことを、当然としないでくれ。ただ笑っていてほしいだけなのに。太陽の下で、世界に許されて、しがらみに囚われずに、生きて欲しいだけなのに。
「溝口」
「ぁ、いいの、ごめんね、こまらせて。俺、ほら、変だから、これからは小金井くんに、ちゃんと相談するから」
「違う。溝口、」
「なに、ん、!?」
1秒。多分、そのぐらい。じとりと湿っている後頭部をわし掴むような乱暴さで引き寄せて、眦が下がっている溝口が目を見開いて丸くしたのが、見えた。本当にびっくりするとそんな顔になるのか。唇は誰でもやわらかいんだな、とありきたりな感想が浮かんで、そりゃ皮膚が薄いから、と訳の分からない結論を出すくらいの余裕があった。ぱ、と離して、まばたきもしない溝口に、当たり前のことを教えるつもりで。
「そういうことは、こういう、ことをする、好きな相手と、……」
「……小金井くん?」
「……………」
「小金井くん?こういうことってなに?今のなに?好きってどういうこと?小金井くんって赤くなれたの?ねえ?小金井くん?」
「うるっさい!うるさいうるさい!セックスはキスの後なんだよ!金払えばいいってもんじゃねえんだよ分かれ!うるさい!」
「いたい!こがね、っ待っ、どこいくの!?」



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