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ハッピーサマータイム


「そろそろ帰りますかー」
「……あいつら寝てるしね……」
「さっきすごい白熱しながら帰ってきたもん、疲れたんだよ」
あいつら、と指しながら、転がっている瀧川くんと朔太郎くんと都築くんを見た灯ちゃんが、うーん、と伸びをした。真希ちゃんは日焼けして二の腕がもう既に痛いらしい。仲有たちもしばらく前に帰ってきた。釣果はあんまりだったちたいだけど。起きてる三人は三人で、ぐだぐだ喋っている。仲有が江野浦くんにびくびくしなくなるといいなあ。
「楽しかったねー」
「あれ?そういえばあんた、カメラは?」
「え?」
「カメラ。昨日の夜用意して」
「あー!」
きょとんとした顔の灯ちゃんに向かって大声で叫べば、そんなことだろうと思った、と真希ちゃんが溜息交じりに笑った。そうです、カメラです。今日のために準備したのに、三人で選びに行ったのに、忘れてた、今の今まですっかり忘れてた。ただのインスタントカメラだけど、印刷するまで分からないのもそれはそれで味だよね!とか言って買ったのに。インスタントカメラだけじゃ枚数が足りないと思って、予備としてデジカメも充電しておいたのに。一緒くたに忘れた。自分の部屋の机の上に置いてきた。そんな馬鹿な。
「……んん……」
「あ、起きる」
「やだー!もー!最悪ー!」
私の大声で、うとうと微睡んでいた朔太郎くんが目を開けた。どおしたのー、と砂だらけのまま言われて、もう説明する気力もない。これは第二回をやるしかありませんな、と半笑いで言えば、真希ちゃんからも灯ちゃんからも首を横に振られた。なんでさ!


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