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ハッピーサマータイム


「楽しかった?」
「うんっ、お姉さんたち、優しかった」
車に乗り込んですぐ、あのね、それでね、と息急き切って話し出す友梨音に、そうなの、と頷きながら、朔太郎にありがとうを言わなくちゃいけないなあ、とぼんやり思う。本当にただの思いつきだったけれど、引っ込み思案な友梨音に、憧れが出来たようで。素敵なお姉さんたちだったの、お兄ちゃんのお友だち、と目を輝かせながら言う友梨音は、すごく嬉しそうで、こっちまで釣られて笑顔になるくらい。
「また遊ぼうねって言ってくれて、今度はかわいい水着を着ておいでって」
「じゃあ、家族で行く時までに水着を新しくしましょうか。そしたら、友梨音の水着をお姉さんたちにも見てもらえるように、お兄ちゃんにもお話しして」
「うん、ゆり、楽しみになってきた」
それは良かった。それは、本当に良かった。お姉さんたちみたいになりたい、あんな水着がゆりも欲しい、とにこにこしている友梨音は、どちらかと言うと閉じている世界で、限られた大人としか関わってこなかったから、お姉さんたちと仲良くなったことは、新鮮でたまらないのだろう。お母さんも、嬉しいです。
「爪、かわいかった」
「そっか。ゆり、来て良かったね」
「うん!」

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