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ハッピーサマータイム


「野郎の水着はどうだっていいんだ」
「はあ」
「水際で戯れてる女子たちを見ろよ」
「航介がパラソル立ててるから手伝ってあげた方がいいんじゃないかと思う」
「そんなことより」
「仲有がクーラーボックスの中身を整理してくれてるからそれも手伝った方がいいと思う」
「そんなことより!」
「はい」
「女子の水着だ……俺、今日のためにきっと高校入試頑張ったんだ……」
「大して頑張ってないでしょ」
「うん、まあ頑張ってないんだけど」
「でしょうよ」
「いいんだよそんなことは!」
「瀧川はその水着どこで買ったの」
「通販だよ!俺の水着のこともどうだっていいんだよ!」
「はー、瀧川と二人きりとか息苦しいわー、辛いわー」
「あっち見て」
「痛い」
「見た?」
「首がねじれてる」
「見えた?」
「うん」
「女子の水着よ……」
「……いろんな方向に矢印が飛んでるこのメンバーで来てる時に一番突っ込みづらいところに触れていくよね……」
「あ?」
「なんでもない」
「まず高井」
「品評会?」
「いやー、可愛いものが好きな女子は可愛いよな」
「まあそうね」
「ピンクと白?もう王道すぎるでしょ。彼氏とのデートの時に着るやつでしょ、あれ。ひらひらしてるし」
「彼氏とのデートに巻き込まれてるみたいなもんだからね……」
「え?なに?」
「いえ」
「高校生にしちゃ可愛すぎる気もするけど、高井だからまあアリな気もするよな」
「どこ目線なの?」
「次、本橋」
「はい」
「……いやあ……」
「瀧川でも言い淀むんだ」
「……えろい……」
「こら!」
「あだっ、だって!本人が全然それを気にしてないところもまた!」
「そういう目で見ない!」
「だって何あれ……スケスケじゃん……ビキニでいいじゃん、もう……あの上から着てる網みたいなののせいで余計にえろいわ……」
「そうやって言ってやれさ」
「殺されるわ」
「殺されてしまえ」
「最後、羽柴」
「うん」
「あれタンキニって言うんでしょ?知ってる、俺は詳しいんだ」
「女子の水着に詳しい男友達、嫌すぎるんだけど」
「羽柴のイメージじゃないし意外だったけど、意外がまた良し」
「へえ」
「あとはすごく私服っぽいから、羽柴が薄着してるみたいで、俺は嬉しい」
「なにその評価……」
「水着と薄着は違うだろ!?高井と本橋はどこからどう見ても水着だから快哉を上げるけど!羽柴のそれは違うんだよ!」
「うるせ」
「よく見ろ!」
「だから首もげるってえ」
「もげろ!俺は朝からずっとお前が上からパーカー羽織ってananの表紙に出演してそうな顔してんのが気に食わねえんだよ!」
「なにそれえ」
「……なにしてんの」
「航介え、瀧川に首ねじ切られる」
「今日という今日は都築を亡き者にして俺がちやほやされてやる!」
「こんなとこまで来て喧嘩すんなよ」
「あ、あれ?あれ朔太郎じゃない?」
「ん」
「ほんとだ」
「俺迎えに行ってくるー」
「おー」
「あっ!亡き者にするチャンスが!」
「瀧川、仲有がクーラーボックスから冷たい飲み物出してくれてんだけど」
「俺コーラ飲みたい」
「切り替え早……」

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