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執着と終着

「朔太郎と連絡取ってる?」
「……いや?」
「ふうん。航介でもそっかあ」
なにしてんだかなー、とカウンターに頬杖をついた都築は、軽い口調だけれど心配しているんだと思う。俺は、俺から連絡を取らなくなったら朔太郎からの連絡も途絶えてそれっきりになっているだけだけど、都築はもしかしたら自分からコンタクトを取っているのに返事がないのかもしれない。あいつ、なにしてんだ。
「なんかあったとか?」
「……何も聞いてねえけど」
「ふーん……」
「なんかあったのか?」
「……んー、荒れてるっぽくはあるんだよね」
秘密だよ、と眉を下げた都築は、こんなこと航介に言ったって何にもならないけど、と付け足してから話し出した。なんでも、朔太郎が遊び歩いてる、らしい。それだけならまあ変わりないけれど、以前よりも加速して、とのことだった。都築がどこからそれを知ったかっていうのは、特に教えてくれなかった。まあ、聞こうとも思わないけど。
「だから、航介ならなんか知ってるかなって。航介になら、何か相談してたりしないかなって思って」
「……そもそもしばらく会ってない」
「え!?」
「連絡もとってない。何してるのか、今聞いて知ったぐらいだし」
「……一番駄目なパターンじゃん?」
誰も知らないから、誰にも言わないで、どっか行っちゃったりしないかな。そう、都築に零されて、なにも言い返さなかった。言い返せなかったんじゃなくて、言い返さなかった。
そんなに、あいつは弱くない。

そんな話の一週間後。連絡を取って、朔太郎を呼び出してみた。返事はなかった。

また3日後。もう一回、呼び出してみた。相変わらずの無視。家に行ってやろうかと思ったけれど、さちえに迷惑がかかりそうだから、やめた。いらない心配はかけるべきじゃない。

そのまた2日後。今度は、返事を待つのをやめてみた。
「コーヒーぶちまけられた海っぺりで、七時に待ってる。」
それだけ、送ってみた。返事はなかった。


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