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執着と終着



「……そ、」
「知ってるだろ?コンドーム。使い方も知ってるよな?百戦錬磨だもん、うひゃひゃ」
彼女が指先で摘んだのは、薄っぺらくて小さい四角だった。これをどうやってつかうのか聞きたいかい、と笑顔で言われて、頷くより、首を横に降るより、早く、彼女は頸から自分の髪の毛を結っていたヘアピンを抜いた。
「ま、こうするのさ」
封を切ったコンドームに、ヘアピンを刺す。抜く、刺す、抜く、刺す。親の仇か何かかってくらい、力任せにどすどすと刺し穿った彼女は、よしよし、とぼろぼろになった薄い膜を持ち上げた。まあこれは可視化できるようにたくさん穴を開けてあげただけで、別にこんなに穴だらけじゃなくても漏れるもんは漏れる。そう、不釣り合いなほど笑顔で言われて、ぞっとした。
「顔も知らないモブキャラに立ち位置を取られるなんて、君の大事な人は可哀想だな?」


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