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執着と終着


個人的に取り決めていたルールは三つ。思いの先をはっきりさせない、むしろ自覚させないよう努めること。必要以上に放っておかないで、付かず離れずの距離を保ち続けること。側から見た異常を本人から見ても異常なのだと認識させないこと。一番簡単なのは二つ目だった。無自覚の依存を、自覚的な依存に切り替えれば良いだけだから。残りの二つは、相手にそれをそうと自覚させてはならないことばかりだったので、ほとんど綱渡りだった。鈍くて良かった。俺のことを信じてくれていて、良かった。そこに安心してしまったら最後だとも思うけれど。
幼馴染で腐れ縁、もしくは体のいい玩具、はたまた泥濘んだ欲の発散相手。ベストフレンド、なんちゃって、どっちかと言うとセックスフレンド、とかそんな感じ。後半は口に出してわざわざ言わなければ誰にも気づかれることは無いんだから、要するにベストフレンドってやつに値するわけだ。それを崩すつもりはなかった。崩されるつもりもなかった。コントロールできているつもりでいた。
江野浦航介が、俺の思い通りど真ん中であったことなんて、今まであった試しもないのに。


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