このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

こわいものシリーズ


「おい、牧市」
「おっさん」
「てめえコラ」
「宣宏ぁ」

「お前の母ちゃん怖えよ」
「……そっすね」
「のぶひろ、の後ろに『あ』付くか?普通付かねえだろ?あいつヤンキーだったのか?」
「どっちかって言うとちゃんとしてる人だと思いますけど……」
「なんで和成はあんなべた惚れなんだ?ゴリラ女じゃねえか」
「知りませんよ」
「怖えよ……いちいち全てにドスが効いてんだよ……」
なんか言われたんすか、と一応聞いたら、訥々と傷ついたことを語られた。でも、おっさんの愚痴を聞いても、何も楽しくない。暇だから酒は進むけど。
確かに、うちの母親は怖い。口悪いし。あんま笑わないし。ていうか、顔とか俺とそっくりだし。牧市さんの言うことも分かる。父が母にすげえ怖い顔で叱られ倒してるのに、うへえ、美和子ちゃんごめん、と軽く受け流していた時なんか、ちょっと引いた。なんであの圧を食らってその程度でいられるんだ、鈍感かよ、と思った。
「やっぱおかしいよな?和成あいつ、麻痺してんのか?」
「知りませんて」
「それとも家ではいちゃいちゃしてんのか?」
「……………」
「おっ?そうなのか」
「……んなわきゃないでしょ……」
想像したらグロッキーになった。いちゃいちゃって。やめてくれ。

2/5ページ