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☆すてらびーた☆設定過多編



それから、数日。かみさまの場所。ソファーでだらだらしているかみさまは、新しく付与された外見設定の、長い白髪を持て余しているようで、今日は無理くりお団子にしていた。直してあげよう。
「やっほー」
「……櫛ありますか」
「あるよ。ん?髪の毛やってくれんの?ありがとー」
「カルディアさんは、どうして嫉妬に付け入られたんでしょうね」
「最後に自分で言ってたろ?自分以外の全てが憎たらしくて仕方なくなっちゃったのさ。カルディアは現し身じゃないけど、現し身としての立場を与えられていたのは確かだからね。彼女に憑いた嫉妬が、逆流して現し身本体を汚し尽くしたんだろうさ」
「レオナルドさん、ほんとに蠍座の星食べちゃったんですか」
「うん。種だけ返してもらった。また作ろうかな」
「……また?」
「言ったろ?君たちはかみさまの箱庭に存在してるわけだから、そりゃあ勿論作り直しもできるよ。ちょっと前のスピカみたいに、他の信仰に召し上げられたらちょっと手がかかるけど」
「……………」
「んー?何か言いたいことがあるのかね?あるくーん?」
「……かみさまは、カルディアさんたちに、罪悪感とかないんですか」
「お?悪いやり方を覚えたな、ある。だめだぞお、もっと可愛くおねだりしなさい」
「……………」
「なんだい?かみさまは、なんだって叶えてあげるぜ。あるがいいこちゃんならね」
「……カルディアさんと、アクラブさんに、また会いたいです。会わせてください」
「いいよー、オッケー」
シーズン2でも制作会社が変わると振り出しから話をやり直すことだってあるんだぜ?と、ちょっとよく分からないことを口走ったかみさまが、にやりと笑った。
その、数日後。
「あるさんっ」
「……スピカさん」
「ここ最近、いらっしゃらなかったようなので……え、あっ、えっ?ど、どうして涙目なんですか?あの、えっと、えぅ」
「……なんでもないです……スピカさんに、安心したんです……」
「……そうですか……?」
不思議そうな顔のスピカさんが、自分の星に遊びに来た。お菓子を作ったのでお裾分け、らしい。大きいクッキーと、ふかふかのマフィン。食べようとして、スピカさんのお菓子、と手を止めたじぶんに、今日は何にも入れてません、本当に、とスピカさんがちょっとばつが悪そうに笑った。自分の行いは分かっているらしい。
「あ、ピスケスちゃんが探してましたよ。怒ってました」
「うわあ……」
「レオさんも、ちょっと心配してました。ポールくんも、サジタリウスさんなんて探し回ってたんですから。あるさんがいないと、みんなちょっとそわそわしちゃうんです」
「……はい」
「わたしも、寂しかったです。……あら?」
「?」
きらきらと、光が舞い上がったのが遠くに見えた。スピカさんと顔を見合わせて、そっちに向かう。ポールさんと作った森を抜けた先には、見知らぬゲートがあって、じぶんにそっと隠れるスピカさんをなんとなく守りながら、ゆっくり近づく。にゅっと出て来たのは、赤い角と黒い髪。その後ろには、少し背の低い、凛とした背中。
「お?ここが、牡牛座の星かな?」
「……か、」
「はい。かみさまから、そう伺いました」
「あ!あそこに誰かいるよ、アクラブ!こんにちはっ!」
「こんにちは。カルディアさん、アクラブちゃん」
「えっ、なんで私たちのこと知ってるの?」
「……………」
「こらこら!こら!アクラブ!構えない!」
「知ってますよ。覚えてませんか?アクラブちゃん、学校で、先輩、って呼んでくれたじゃないですか」
「……先輩」
少し考えるように目を宙に彷徨わせたアクラブさんが、柔らかく笑った。それを見たカルディアさんが、かわいい!とアクラブさんをぎゅっとして、離れるとすぐに手をこっちに差し出してくる。貴方達とは会ったことがあるかもしれないけど覚えてないからもしも無礼があったらごめんね、とあっさり言い切ったカルディアさんが、にっこり笑った。
「私、蠍座のカルディア!この子はアクラブ、私の大事な人!これからよろしくねっ!」
「……はい。よろしく、……ずっと、ずっと先まで……」
「お、よ?泣いっ、あれえ!?私なんかしたかなあ!?」
「あるさん?」
「……ごめんなさい……助けられなくて、ごめんなさい……」
「うええ……?」
「……僕は許します。一番最初に、僕が、主人としてもっとしっかりしておけばよかった。カルディアさまを、悲しませたりしなければよかった」
穏やかな声に、顔を上げる。貴方にはこう言わなければいけない気がするんです、と目を伏せたアクラブさんが、どうしてかは分からないけれど、って笑った。涙まみれのじぶんの頰を、カルディアさんが両手で包む。困ったように笑って、ぎゅうっと抱きしめられた。
「もー、男の子でしょ!泣かないの!」
「……はいぃっ……」



「円満解決じゃね?かみさまの手腕、素晴らしくね?」
「しーたんさんはもうレオナルドさんにはならないんですよね?」
「なってほしくないね」
「……かみさまでも、そういう相手いるんですね……」
「七つの大罪は仲良しこよしじゃないから。基本的にギスギス険悪グループだから」
「そっちの話にじぶんたちはもう二度と巻き込まないでください」
「ぷいぷーい」
「見た目に合わせてかわいこぶらないでください」
「はわわ〜?ほよ〜?あるたん怒ってる〜?」
「かわいくないです」
「ちぇー。レオナルドがどうしてしーたんの見た目設定あんなにしたか知ってる?」
「いえ」
「あるに食われないようにするためだってさ」
「……………」
「流石にあのガキっぷりには反応しないかなって」
「……そんな目で見られていたことがショックなんですけど……」
「ちなみにかみさまがロリっ子を媒体に選んだ理由も、あるに迫られないようにだぜ」
「もうみんな嫌いです」
「あー、今思い出したけど、三つのお願いするの忘れちゃった。とりあえず今からアクア抱いてきて」
「その見た目でそういうこと言うのやめてくれます!?」
「かわいかろ?」
「……そういえば、どうしてそんなに露出が高いんですか。かみさまの趣味ですか?」
「ううん。この子のデフォルト。虐待って、別に、放置されてただけじゃないみたいだぜ?ほら、この年だと押さえつけて組み敷くのも楽だろ?」
「……最低ですね……」
「いやあ、あるの大好きな人間がやったことだぜ。愛してやれよ」
「無理です」
「次回何編にする?」
「決まってないなら次回はないです」
「考えとくな」
「それまでに真人間の精神を取り戻してください」
「やだぺんぺーん」


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