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はっぴーばけーしょん




2回目の飛行機、ともなればそろそろ飽きも大概になってくる頃で、朔太郎はうとうとだし、俺の膝で窓の外を見ていた海も、嫌に静かだなあと思って覗いたら、寝てた。ぴすー、と鼻を鳴らしながら寝る海を起こすのも可哀想で、昼寝と思えばまあいいか、いいことにしよう。どうせ今日は移動で疲れるんだし。でもこれで、夜寝なくなったら嫌だなあ。
寝ている海を膝から下ろし、席に座らせて、前の座席の下に入れてたリュックを開ける。ううん、と寝返りを打った海が肘掛けに頭をぶつけかけたので、片手は枕代わりに貸してやることにした。もう片手は、目当てのものを引っ張り出す。長距離移動に欠かせない、暇潰しアイテム。小説本である。
ゆっくり本を読むのも久しぶりだ。海がもっとちびだった頃は、寝付いたもののベッドに下ろすと泣いてたような時に、片手で本読んでた。ちょうど今みたいな感じだ。海が喋れるようになって、動けるようになって、本読んでる暇なんか無くなっちゃったけど。一応ちらちらと海を見遣りつつ、ぼんやりと文字を追う。当たり前だが、読んだことのある話だ。本を読むことはもちろんとして、映画を見たりゲームをしたり、新しい何かをやるようなことは、めっきり減った。それは朔太郎も同じで、まあ、だからどうこうという話じゃない。
「……航介」
「ん」
「なんかいる?」
「……んー。コーヒー」
「はいよ」
機内販売が回ってきてることには気づいてたけど、朔太郎が起きてることには、気づかなかった。朔太郎の手にも湯気を立てるカップがあるので、頼んだらしい。コーヒーを手渡された時に、懐かしいね、ってのんびり言われた。なにがだろう、と思ったけど、俺が本を読んでいることが、だろうな。自分でもそう思う。
しばらくして、海が目を覚ました。朔太郎も起きてて俺も本を読んでたので、置いていかれたと思ったらしく、ちょっと拗ねた。俺の手の甲を地味に抓ってくるので、痛い。
「うみねてるあいだ、たのしいことした」
「してないよ……マイナス思考だなあ……」
「おいしいのたべた」
「コーヒーだよ。苦いから海嫌いだろ」
「うそ、あまくておいしいのたべた」
夢の中で食べたんだろうか。ぷん、とぶすくれていた海が、機内販売のお姉さんがキッズサービスでくれたチョコレートに一瞬で機嫌を良くして、自慢気に見せびらかしてきた。ナイスタイミングである。
「うみの!」
「そうだね」
「さくちゃんのない、こーちゃんのない」
「海が食べなよ、一つしかないんだから」
「たべたい?」
「いいよ、海のだから」
「あけて」
「はい」
「むふー、おいひい、ちょこすき」
「お。揺れた」
「!」
がたがたした機内に、海が焦ってシートベルトを探している。気流が不安定なため揺れる恐れがあります、なんてアナウンスを訳知り顔でふむふむ聞いた海が、なんて?と首を傾げた。通路挟んで隣の女の子が、それを聞いて若干笑いながらこっちを見た。声でかいからなあ。
揺れたり大きい音がしたりする度に海はびくびくしていたけれど、まあ何事もなく飛行機は飛ぶわけで。今度は三人で、ミニオンの映画を見た。ヘッドホンはそんなにたくさん刺せないので、音無し状態だったけど。映画の途中で着陸アナウンスが入って、シートベルトを締める。こわくないんだからね、といらない意地を張った海が、朔太郎に向かって手を出した。
「さくちゃん、こわかったら、おててつないだげても、いいよっ」
「えー、俺怖くないよ」
「こわいでしょ!おててかしたげるよ!」
「どうしようかなー」
「こーちゃん!おてて、うみとつないだげてもいいよ!」
素直に怖いから手を繋いでくれと言えばいいのに。隣の女の子二人組は、もう真っ赤になって笑いを我慢している。面白がられている。しっかり繋いだけど。
窓の外の景色は、ジオラマみたいに細々してたのが、少しずつ現実味を持った大きさに近づいていく。海が手をぎゅうっとするくらいの揺れと、耳に刺さる音と、ちょっとだけの高揚。シートベルトのサインが消えた時には、周りの人たちはがたがたと降りる支度をしていた。気が急くのは分かる、が、この人混みの中で海を連れて荷物を持って自由に動ける自信は全くもって皆無なので、大人しく待つことにした。ちょっともこわくなかった、とまだ意地を張っている海に、お隣の女の子たちが手を振って先に降りていった。
「ばいばーい」
「仲良しになったね」
「うん。しらないひと」
「だろうよ」
「みんないっちゃう」
「俺たちもそろそろ行こうか」
「海、リュック背負って」
「ん」
飛行機から空港までの渡り廊下。さっきも、あったかいなあ、とは思ったけど、レベルが違った。暑い。むしむしする。夏みたいだ、とは行かなくても、普通に春先くらいの体感気温はある。沖縄に住んでる人が、しっかりしたコートは着ませんよ、なんて笑いながら言ってたのをテレビで見たことはあったけど、その言葉に間違いは無かったことがはっきり分かった。2月でこれだけ空気がぬるければ、コートなんかいらない。北の端から来てるからそう思う、ってわけでもなさそうで、続々と上着を脱ぎ手に持つ人が増えていく。キャリーバッグを待ってる間、あちい、って朔太郎も上着を脱いでた。
「明日は涼しいとか天気予報で言ってたけど、この気温に慣れてる人の涼しいってどんなもんなんだろうね」
「俺たちで言うところの涼しいではないことは確実だけどな……」
「おにもつまだー?」
「もう来るよ」
「この後どうするんだ?」
「レンタカー予約してあるから、先に荷物ホテルに置きにいくかなーって思ってはいたけど」
キャリーバッグを受け取って、じゃあとりあえずレンタカー乗り場まで、と移動する。キャリーバッグに乗っかった海が、物珍しそうにきょろきょろして、突然でかい声を上げた。
「あー!みてー!うみ、あれのる!」
海が元気いっぱい指差したのは、モノレールだった。調べた時に書いてあった、確かこっちじゃ車移動が基本で、電車での交通網はあんまり広くないんだとか。車に乗らない人は地下鉄かモノレール、もしくはタクシー、みたいなことが観光案内には書いてあった。モノレールなんて、見ることすらないから、宙を走る線路と車体に、海が釘付けになっている。朔太郎曰く、モノレールでホテルまでは行けないらしい。そういえば、ホテルの場所も名前も知らないんだよな。聞いた気がするけど、はぐらかされた気もする。ボロ屋だったらどうしよう。
「ねー、のりたい、のりたーい、うふーん」
「くねくねしない」
「のりたい!かっこいくするからー!」
「……どうする?」
「ロッカーに荷物預けて、あれ乗って観光してみてもいいけど。お昼食べがてら」
「ああ、そんな時間か……」
「夜までにホテルに着ければいいわけだし、予定も無かったんだから、いいんじゃない?」
「ねー!うみ、あれのりたいのー!」
「分かった分かった」
「はやく!」
「お荷物置いてからね」
「やだー!」
「じゃあ乗らない」
「いやー!のる!」
中くらいのロッカーじゃ入らなかったので、一番大きいロッカーに荷物を入れた。海は余裕で入るぐらいの大きさだ。ていうか、海入るんじゃない?って朔太郎が言ったら、海が嬉々として侵入して、思ったよりも暗くて狭かったので泣いた。おいおい。
持ち物、リュック。中身もちょっと整理して、上着は置いていくことにした。券売機の前で、どこまで行く?と話して、せっかくだから首里城まで行ってみようか、なんて。せっかくって言っても、20分くらいだし。
「ぴってやるんだって」
「ぴー」
「切符なのにカード式なんだね」
切符入れがあるってことは、持って帰ってもいいのかもしれない。記念に一枚、持って帰ろうかな。
間隔は一定のようで、ちょっと待ったらすぐ、駅にモノレールが到着した。沖縄民謡感ばりばりの電子音に、朔太郎が宙を見上げる。知らない土地、って改めてはっきり自覚したタイミングが正に今ってのは、お互い同じだと思う。せっかくだから一番前に、と運転席の後ろの座席に座る。同じことを考えていたらしい乗客が、海と同じくらいの子どもを連れていたので、椅子は子ども、大人は立ち、となんとなく譲りあった。流暢な英語でお礼を言われて、頭を下げる。空港にいた時から思ってたけど、外人さんが結構多い。英語喋ってる人もいれば、中国語とか韓国語喋ってる人もいる。案内の掲示も、至る所に数カ国語、ってのが基本みたいだし。海と並ぶ子どもは、何言ってるのかは俺たちには分からないけれど、楽しそうに親に話しかけている。多分あっちから見たら海も、何言ってるか分かんないけど楽しそうだなあ、と受け取られているんだろう。
「くるまいっぱーい」
「そうだな」
「道混むのかなあ。車社会だって聞いたけど」
「夕方から夜にかけてとか、渋滞するかもな」
「んー、まあ、しょうがないか。今日は俺運転するし」
「ふうん。頼むな」
「朝やってもらったからねー」
というか、目的地であるホテルの場所を俺は未だ知らないので、運転のしようがない。はぐらかされたけれど。
首里駅に着いた頃には、乗客は減っていた。隣の家族連れも、一足先に降りて行った。アナウンスを聞いて知ったことだけど、かの有名な国際通りは首里城よりも空港寄りにあるらしく、結構な人数がそこで降りていったのだ。あと、その隙間に、免税店の大きいショッピングモールもあるらしい。ブランドのロゴがたくさん見えた。外国から旅行に来た人は、そこが目当てだったりもするのかも。運転手さんに手を振った海が、俺と朔太郎の手を繋いで、真ん中を歩く。
「ばいばいした」
「楽しかったね」
「うん!」
「ちょっと歩きそうだな」
「いいんじゃない?この後も車乗るだけなんだし」
「あー、あいす」
「……飯食うか、どっかで」
「あいすたべるー」
「食べない。ご飯食べよう、海」
「や、あいす」
「美味しいご飯屋さんあるかなー」
「ねええ!あいす!」
自家製アイスクリーム!なんて幟を見てしまった海が、字を読むというよりは、目敏くアイスの絵を発見して、ぶーたれはじめた。あるけない、つかれた、あいすないとやだ、諸々。そうねー、うんうん、と等閑な返事をしていた朔太郎が、道のあっち側を指差す。海がぶつくさ言ってるだけの間、しばらく歩いてたけど、ちょうどいい飯屋が見つからなかったのだ。
「あそこ、お店あるよ。沖縄そばって書いてある」
「ほんとだ。海、蕎麦食べるか」
「あいす……」
「デザートにアイスもあるかもしれない」
「たべる!おそば!」
「海ちゃんはちょろっちょろだなあ」
「沖縄そばってどんなんだ?」
「お肉乗ってるやつじゃなかったっけ。俺も食べたことないんだけど、テレビで見た」
「おにく!」
横断歩道を渡って、お店に入る。古民家風の、静かなお店だった。小さな音でラジオが流れていて、入り口で着物のような浴衣のような服を着たお姉さんが、案内してくれる。沖縄の、古くからある民族衣装なんだろうか。詳しくなくて申し訳ない。
朔太郎の言う通り、肉が乗った沖縄そばがメニューにはでかでかと書いてあって、それを頼んだ。ソーキそばと沖縄そば、違いはなんだろうか、と調べてみたら、乗ってる肉の種類の違いらしい。トッピングによって名前が変わるってことか。朔太郎も同じの、海のはキッズメニューから同じようなお蕎麦を頼んだ。らーめんだねー、と海は喜んでいたので、ちょっと勘違いしている気もする。
匂いがしてくると、お腹は減るもんで。海の腹の虫がものすごい音を立て始めた頃、お姉さんが小さい器を持ってきてくれた。ふわふわと湯気を立てるそれに、海が涎を垂らしそうな顔をして、取り分けてやったらすぐに齧り付いて、あついー、とめそめそした。そりゃそうだ。啜るのが相変わらず上手くはないので、テーブルにぺしぺし汁が飛んでくるけれど、これでもマシになった方なので、許容範囲内。肉も美味しかったし、大きい豆腐が入ってて、それも美味しかった。結構食べ応えあって、お腹空いてて良かったな、って感じ。
「おいしかったね」
「おにくのおそばだったねー」
「沖縄そばって言うんだって」
「おきなーそば」
「ごちそうさまでした」
「ごちそーさまでした!」
お肉が結構しっかり乗ってたので、海はお腹いっぱいになったらしく、デザートのことはすっかり忘れた。お会計の時に、ちっちゃい黒糖をお姉さんがくれたので、割って海の口に入れてやった。飴みたいなもんだ。
「あまい」
「お砂糖なんだよ」
「おさとうしろいんだよ、このあめくろい」
「黒いお砂糖なの」
「?」
あんまり分かってなさそうだ。顔にはてなマークが書いてある。そおなんだー、と言ってはいるけれど。
しばらく歩いて、首里城公園というところに着いた。この中に首里城があるらしい。他に歩いている人がいないので、本当に合ってるのか不安になりかけていたけれど、公園に着くと人がたくさんいたので、多分正解なんだろう。みんな車で来てるんだな。口の中で黒糖を転がしていた海が、飽きたのかぽりぽりと噛み砕いて口を開いた。結構舐めてたから相当ちっちゃいはずだけど。
「なにするのー」
「昔の王様が住んでたお城があるんだよ」
「おじいちゃん?」
「ううん、もういない人」
「入れるのか」
「見て回れるって書いてあったよ」
「へえ」
どこからか、三線の音がする。少し遠くには、赤い塀が見える。それっぽい。すごくそれっぽい。なにがだと聞かれると上手く説明はできないけど、とにかくそれっぽい。
公園の中を歩いて行くと、券売機と受付があった。大人二枚と子ども一枚買って、こどもいちまーい、と海が受付に自分で入場券を出した。手が届かなかったので抱えたけれど。入り口から、基本的には赤系の門をくぐって進む。石畳の道はがたがたで、海の歩き方が危なっかしかったので、朔太郎と俺とで両手を繋いだ。急に人が増えたのは、バスツアーのコースに入ってるっていうのもあるらしい。旗持った添乗員さんが先陣切ってる列がいくつかある。
「広いな」
「シーサーだ」
「海、ほら、シーサー」
「しーさ?」
「お家を守るためにいるんだって」
「こわいかお」
「悪いやつをがぶーするために怖い顔なんじゃない」
門の両柱に、石造りのシーサーがいる。記念撮影をしてる人もたくさんいたので、一応海とシーサーで写真を撮った。海がシーサーの真似をするので、全然可愛くもなんともない、むしろ変な顔になってしまった。さちえが見たら残念がりそうだ。
朔太郎が言った通り、お城の中にも入れるらしい。順路、と矢印が書いてあるのに従って、靴を脱ぐ。儀式で使われてたとかいう漆器とか、王宮で日常的に使われてたらしい道具とかが展示してあるのだけれど、俺らはまだしも、海はそういうのに全く興味がないので、ずんずん進む。あの、多少は見たいんですけど。
「待って海」
「む!」
「待って」
結構豪華な日本庭園が見える辺りに差し掛かって、流石に朔太郎が海を引っ掴んで止めた。手を繋いでようが御構い無しに先走るので、海には悪いが、確かに捕まえるしかない。俺には侘び寂びとかそういうの分からないけど、鯉が泳ぐ池の静かな水面とか、そこに掛かる橋とか、立派な松とか、小さな花とか、そういうのがいいものなんだろうなってのは、察する。多分。朔太郎が、あのねえ、と海の脇に手を差し入れたまま話す。
「海ちゃん、先に行かないで」
「うみ、はやい」
「早いのはすごいけど、迷子さんになっちゃうから」
「えー!いや!」
「でしょ?さくちゃんもやだよ。こーちゃんもやだって」
「いっしょにいこ」
「もうちょっとゆっくり歩いてくれれば」
「どのくらい?」
「カメくらい」
「ん」
ミリ単位でしか進まなかったので、カメはやめた。いくつか試した結果「ひよこぐらい」がちょうどいいらしかった。ひよこって。最初はよちよちわざと歩いていたけれど、疲れたのか普通に歩くようになった。ちなみに最初の猛スピードは「チーター」だったそうで。そりゃ早いわけだ。突然チーターにならないでくれ。
もうしばらく行くと、また室内に戻った。その昔、琉球の王様がここに座っていたという立派な椅子とか、ここから民草を見下ろしたという豪華な窓とか、主に来客を迎えたという茶室とか。うみもすわりたいねえ、ときらきらの椅子を見た海が言うので、王様になったら座ろう、と約束した。なれるかねえ。
「おしろおわり?」
「そうだね」
「戻るか、いい時間だし」
「もっかいモノレール乗れるよ、海」
「あいす!」
「……………」
「……………」
思わず二人で顔を見合わせてしまった。アイスな、うん、もう分かったよ、一回食べたらいいじゃん。
どうやら、沖縄でのチェーン店らしい。そういえば、いろんなところで同じロゴを見た気がする。ブルーシール、と書かれた看板に、色とりどりのアイスクリーム。沖縄育ち、アメリカ生まれ、だって。紅芋とマンゴーとバニラの三段ミックスとかあって、ちょっと気になって見てたら、じゃあ航介はそれね、と朔太郎が注文した。海は、パイナップルの果肉が入った、ソーダとバニラの混ざったようなやつが食べたかったらしく、朔太郎と半分つするみたいだ。多分俺のも食べるし、海のも食べさせてくれるんだろうけど。
「うみあおい」
「美味しそうだね」
「いただきまー!」
「いただきます」
「おいひー!さくひゃん、ふぁい!」
「あーん」
「……美味い」
「こーちゃんの、むらさき」
「食べるか」
「あー」
「あーん」
三人で交換しながら分けっこした。海の口の周りは青くべたべたになったが、お店のおばちゃんが気を利かせて、ウエットティッシュをくれた。アイスアイスと見かける度に騒いでいた海も満足したらしく、リュックをがしゃがしゃしながら御満悦の表情である。アイスのおかげなのか、帰り道も元気だったし。
空港までモノレールで戻って、荷物をロッカーから出す。レンタカー乗り場で手続きして、鍵を受け取って、荷物を積み込んで、出発。朔太郎が運転するから、楽だ。
「ナビもしなくていいよ、寝てれば」
「……ほんとに寝るぞ」
「寝なよ。航介が他人の車眠くなることなん知ってるっての」
「ねー、うみー、うみのひこーきおべんと、あしたもたべたい」
「明日は水族館行こうよ」
「くじらさんいるかな」
「大きいジンベイザメがいるよ」
「さめすきー」
「あと、どこ行こうかね」
「うみ、くっきっきたべていい?」
「いいけど、夜ご飯もちゃんと食べるんだよ」
「うん。ぞうさん」
「お腹ぺこぺこの時だけじゃなかったの?」
「ぺこぺこなの、いま」
「意思弱いなあ……」
「さくちゃん、うさぎさんあげるー」
「ありがと」


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