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はっぴーばけーしょん




「旅行に行こうか」
きっかけは、ただそれだけの一言だった。テレビを見ながら朔太郎がぽつりと呟いて、俺は、そうだな、いいかもなあ、なんて返したのだ。だって、久し振りだし。海も連れて旅行とか、なかなかない。東京に三人で行ったことはあったけど、次は温泉にでも行きたいねえ、なんてその時朔太郎は言ってたのだ。だから、きっと温泉街にでも行きたいんだろうと思ってた。こっちは、朔太郎はゆっくりしたいのかなあ、なんて思って、海が楽しめるようなところにも寄れたらいいか、くらいに考えてたわけで。
だから、朔太郎が持って帰ってきたパンフレットを見た絶句した俺は、悪くないと思うのだ。
「じゃん」
「……………」
「せっかくだし、どうです?南の方」
「……え?……いや、……え?」
「沖縄なんですけど」
「……………」
「え?どうやって行くかって?青森空港から飛行機乗って、羽田とか仙台とかの空港で乗り継ぎしてー」
「待って」
「ん?」
「遠い」
「そう?1日あればつくよ」
「そりゃ海外だってそうだろうよ!」
「海外行きたかったの?」
「海連れて海外なんか行けるか!」
「じゃあいいじゃん。沖縄、あったかいらしいよ?」
「……本気?」
「本気」
「すげえ金掛かりそうだけど?」
「いいんじゃない?今までそういうぱーっと旅行とかしたことなかったしさ」
「そうだけどさ……」
「航介沖縄行ったことある?」
「ない」
「俺もない。海もない。いいじゃん、楽しみじゃない?」
「……うん……」
「お金の心配はしない。なーに、こちとら公務員様だぞ、任せとけ」
どんどん、と胸を叩かれて、返す言葉は見当たらなかった。楽しみじゃないと言えば、嘘になる。楽しみではあるのだ。ただ、未知すぎて。遠すぎて。沖縄って。突然、沖縄って。俺が何も言わなかったことで俄然乗り気になったらしい朔太郎は、海も買収する作戦に出た。飛行機乗りたいかー!なんて朔太郎の言葉に、海も、おー!のりたーい!なんて能天気に返事をしている。乗りたいに決まってるだろ!乗ったことないんだから!
「じゃ、チケット取るね」
「……服どうしよう……」
「……行く気満々じゃん……」
だから、楽しみではあるんだってば。

飛行機の席は、無事取れた。泊まる場所も、朔太郎に任せて選んでもらった。あっちでの移動手段は、殆ど車を使わなければどうにもならないらしく、レンタカーを頼んだ。俺も朔太郎も運転できるから、逆に安心ではある。
そして、出発前日である。2泊3日の、沖縄旅行。海にも明日から旅行だと教えてあるので、自分から保育園で言いふらしまくってきたらしい。先生にも、楽しんできてくださいね!って言われたし。
「うみも、おかばんもってく」
「何入れるんだ?」
「うみのだいじ!」
うみのだいじ、内訳。好きな電車のおもちゃ。ちっちゃい自由画帳と八色クレヨンのセット。初詣で買ってやったお守り。パンダさんの小銭入れ。お気に入りの水色のパーカー、は海のリュックには入りきらなかったので、服のキャリーバッグの方に詰めてあげた。あと、自分から本日のおやつを半分我慢して取っておいた、動物のクッキーがちょびっと。クッキーについては、移動時間が長いのでお腹が空くと思ってこっちでも持ってはいるんだけど、一応黙っておいている。海的にも、その動物さんクッキーは「どうしてもおなかぺこぺこのときだけね」らしいから。
「うみね、りょこー、たのしみなの」
「そっか。こーちゃんもだよ」
「こーちゃんも?さくちゃんも?」
「うん」
「みんなたのしいねえ、はやおきがんばるね」
むにむに言いながら、海は意外にも、とっとと寝た。もっと興奮して眠れなくなるかと思ってたけど、いつもと同じかちょっと早いくらいには寝てしまった。安らかにすぴょすぴょ寝息を立ててる海から離れてリビングへ戻ると、朔太郎が何故か目を爛々とさせていた。
「航介!」
「うるさ」
「ぜんっぜん!眠くない!」
「……………」
「航介も眠くないでしょ!?」
「俺は寝る」
海が寝る前に言った通り、早起きを頑張らなくちゃいけないのだ。日本列島の北の端に近いところから、南の端へと飛ぶのだから、そりゃあ時間はかかる。青森空港から飛行機乗り継いで沖縄に着くまで、5時間くらいはかかる。そもそもにして、うちから青森空港へ行くまでに、車で4時間はみておいたほうがいい。初日は移動で1日使うと思った方が楽なくらいだ。しかし朔太郎は「早く着いた方がいいかなって」とか宣って結構早めの飛行機の席を取ってしまったので、俺たちは8時とかに空港にいなければならない。その代わり、那覇空港には昼過ぎには着く。ちなみに、泊まる場所まで空港から車で1時間かかるらしい。詳しくは聞いていないけれど、海が途中でゲロ吐いたら朔太郎がどうにかしてほしい。
寝たようで寝ていない夜があっという間に過ぎ去り、出発時刻となった。もちろん辺りは真っ暗である。目が開いていない海を、もうパジャマのまま車に乗せ、同じく半分寝てる朔太郎も後部座席に叩き込んで、出発。俺が早起き慣れしてて良かったなってもっと感謝して欲しいくらいだ。
しかしながら、俺自身、車の運転は特に苦ではないので、文句はあまりない。朝日が昇り出した辺りで朔太郎が起きて、空港近くになって海を起こしてくれた。寝起きでふにゃふにゃぐずる海を着替えさせて、着てたパジャマは車に置いて行く。空港の駐車場にしばらく停めっぱなしにはなってしまうけれど、泊車料金がかかるくらいで、特に問題はない。うみのだいじリュックを背負って目が覚めたらしい海が、ぴょこぴょこしだす。きちんと車の鍵を閉めて、衣服類のキャリーバッグと、その他のリュック。うん、多分、忘れ物はないだろう。
「しゅっぱーつ!」
「おー!」
「おー」

「おなかすいた」
「まだちょっと時間あるな」
「なんか買う?飛行機の中で食べる?」
駅弁ならぬ、空弁というものがあるらしい。これでいっかー、とサンドイッチを手に取った朔太郎の下で、海が歓声を上げた。
「わー!うわーお!さーくちゃーん!」
「なに、どした」
「ひこーき!ひこーきのおべんとー!」
「え?」
「みてー!かーっこいーい!ひこーきー!」
「ほんとだ」
「うみたべるー!」
ということで、飛行機のお弁当箱に入ったお子様ランチ的なお弁当を買った。ハンバーグとかスパゲッティとか唐揚げとかちっちゃいおにぎりとか、これなら海も食べそうだし。目ぇきらっきらしちゃってるし。新幹線型のお弁当があるのは知ってたし、見たこともあったけど、同じような感じで飛行機もあるんだな。
「はやくたべよ」
「飛行機乗って、ちゃんと飛んでから食べようよ」
「……えー……」
「……………」
「……うみ、こーんなに、おなかぺこぺこなのに……」
「リュックにクッキー入ってるじゃん」
「だめなのー!」
朔太郎に向かって牙を剥いた海が、お腹を宥めているつもりなのか、わざとらしくしょんぼりしながら腹をさすり始めた。でも、今すぐ食べたいとか言われても、もうあと荷物預けて搭乗口に向かうだけだから、ちょっと時間ない。ちらっちらこっち見られても、飛行機は待ってはくれないのである。
大きい荷物を預けて、手荷物検査を受けて、搭乗口へ。金属探知機のゲート通る時、別に何も持ってないけど、ちょっとどきどきした。目の前の大きい窓の外には飛行機がいくつも止まっていて、お腹が減ってることをすぽんと忘れた海が諸手を挙げて駆け出したので、朔太郎が走って着いてった。海のやつ、最近一人で走り出すこと多いぞ。俺か朔太郎どっちかが必ず追いかけるからいいけど、迷子になっても知らないんだからな。特にこれから数日、土地勘とかないし。飛んでいく飛行機を見送った海が、うーん、と唸って、止まっている飛行機をぐるっと見回して、言った。
「うみのるのどれ?」
「どれかなー。どれがいい?」
「うみ、うみねー、えー、どれにしよかなー」
「さくちゃんはあのアロハなお姉さんが書いてあるハワイ行きっぽいやつがいい」
「えー?どれ?」
「あれ」
「わかんない」
とかなんとかごちゃごちゃやってる内に、搭乗時間になった。飛行機までの架け橋みたいなところの坂で海が思いっきりこけて鼻を強打したけれど、興奮で痛みの感覚が麻痺しているらしく、鼻真っ赤なのに泣きもせず鼻息荒くふんふんしていたので、まあいいか。前を歩いてた老夫婦には苦笑されていたけれど。
席は飛行機の羽根の真横あたりだった。窓側から、俺、海、朔太郎。海は窓の近くがいいってぐちぐち言ってたけど、シートベルト外せるようになったら移動してやればいい。出来るだけサンドしておきたい。何故なら興奮してテンションぶち上げの海はなにするか分からないからだ。早速椅子の上でばふばふし出した海が、お尻に刺さった金属に、ふぎゃああ!って声を上げた。うるさいぞ。
「しーとべうとあるねー」
「しっかり締めないと危ないからな」
「がちゃんしていい?」
「いいよ」
「がっちゃーん」
「ぶかぶかだな」
「ぶかぶかだー」
「さくちゃんがぎゅーしてあげよう。ぎゅー」
「おえー!」
「おえしない」
「もっかいして」
「ぎゅー」
「おえー!」
その後何回か、「ぎゅー」「おえー!」をやった海は、満足したらしく、朔太郎の「ぎゅー」に「もうおわり」と突然冷静に返していた。振れ幅が急激すぎていっそ朔太郎が可哀想だ。きちんと締まっていることを確認して、複雑そうな顔をしている。気持ちは分かる。
間も無く離陸致します、というアナウンスと、動き出す飛行機。海も、口を開けて外を見ている。朔太郎も同じく。結構な間抜け面になってるけど、いいのか?羽根が動いてるのが見えているのは、窓際の俺だけなのかもしれない。それこそ海も見たかっただろうな、と席順をちょっとだけ反省した。離陸に向けて稼働する飛行機のいろんな場所、それに合わせて音が大きくなっていく。ぽかんと見ていた海が、耳に響く轟音に少し眉を下げた。こわいよお、の時の顔だ。
「……こーちゃん、こわいぃ……」
大当たり。おひざのる、とシートベルトを外そうとする海の膝の上で手を繋いでやって、今は乗れないから後で、と伝えれば、両手で俺の手をぎゅっぎゅしてきた。大きな音に対する怖さと、動く窓の外を見たい好奇心の間で、ぐらぐらしているらしい。ひこうきとぶかなー、とわくわくしたような口調に合わない、すごく不安そうな顔。ちぐはぐだ。ちなみに朔太郎も手を握ってやりたいらしく、俺の手と繋がってる海の手の隙間に自分の指を侵入させようとして、剥がされると勘違いしている海に、無言で拒まれている。帰りにでも握ってやれ。
音が激しくなり、身体に重みがかかる。加速する外の景色に、海が身を乗り出してきた。地面から浮き上がって、あっという間に地上のものがみんなジオラマみたいになって、いつもは見上げる雲がどんどん近づいていく。綿菓子みたいな雲と横並びになったかと思ったら追い抜いて、雲すら眼下に広がるようになって。ぎゅうっと握られていた海の手は、いつのまにか緩んでいた。
シートベルト着用の表示が消えて、朔太郎がシートベルトを外してやった途端、海が俺の膝に乗り上げてきた。肘置きを踏むな。
「おそらとんでる」
「そうだな」
「?」
「どした」
「んー、おみみへん」
「耳抜き出来るかなあ。海、ごっくんしてごらん」
「ん」
「治った?」
「へん」
「どうしよっかなー」
「ふああ、ぁふ、あ!へんじゃない!」
欠伸したら治ったらしい。なによりだ。俺の膝の上でしばらく空の景色を眺めていた海は、飛行機が時々揺れるのに伴ってぐらぐらするのが怖かったらしく、うみはおいすにかえるね、といそいそ戻っていった。シートベルトを締め直してやろうとしたら、ぐうう、と腹の虫が鳴く音がした。結構しっかり聞こえた。
「うみ、おなかぺこぺこだった」
「お弁当食べるか」
「ひこーきおべんと!」
「俺も朝ご飯食べよっと」
「さくちゃんはだめー」
「あー、意地悪だ、海」
「だめでーす、うみだけたべれまーす」
「……………」
「こーちゃん、うみおなかすいてるの」
「……お腹空いてる前に何か言うことがあるんじゃないのか」
「……………」
「海」
「……いじわるゆってごめんなさい……」
「ふざけすぎない」
「……はいぃ……」
「俺の扱いと航介の扱い違いすぎない?」
それは朔太郎が海と共にふざけることが多いから同じ穴の狢だと思われているだけだと思う。俺が叱り役ってわけじゃなくて。しゅんとした海を、さくちゃん怒ってないぜー、と朔太郎が抱き締めて、仲直り。いただきます。
「おににり、しゃけ」
「海、サンドイッチおいしいよ。さくちゃんの一口食べる?」
「ん!」
「これも食べるか」
「うん!からーげ!」
「大きい口して」
「あー、む、む!こーひゃん、うみのも、あげう」
「なにくれるんだ」
「……………」
「……………」
「……あーん!」
「あー」
ちっちゃいブロッコリーの上でフォークを迷わせた海が、自分の嫌いなものをあげるとこーちゃんは怒る、という理由で逡巡したらしく、ポテトをくれた。ブロッコリーでも別に良かったけど、海が自分で食べるのなら、それはそれでいいか。朔太郎が、食べてあげようか、とブロッコリーを指したので、海が目を輝かせた。間が悪い。
空っぽになったお弁当箱は、海の前で捨てるのは忍びなくて、なくなったら怒りそうだし、荷物の中に入れた。洗ってあげればおもちゃ代わりにはなるかな。しばらくして、うつらうつらしだした朔太郎を見た海が、だいじリュックの中から自分の電車を出して、膝の上で静かに遊び始めた。ふんふん、小さな鼻歌が聞こえるので、静かでも楽しいらしい。珍しい。ブロックとブロックをぶつけてどがしゃーん!ぐわー!みたいな時に楽しそうにしてるから、騒ぐ方が好きなのかと。
「……こーちゃん」
「ん?」
「うみ、おといれ」
「ああ。おいで」
海を抱えて朔太郎を跨ぐ。ゔーん、って呻いた朔太郎に、ぷすすー、って海が笑った。新幹線でも朔太郎は寝てたような気がする。車は平気だけど、それ以外の乗り物は眠くなるたちだったっけ。俺は他人が運転する車がだめだけど。
揺れる中でもなんとかトイレを済ませた海が、席に戻るとまた電車を膝の上で走らせて、しばらくしたら暇そうになった。足をぶらぶらさせて、前の座席にごんごんするので、座席前のポケットを覗く。パンフレットが入ってる中に、確か、そうだなあ。
「海。どれがいい?」
「……んー?」
「耳にこれ付けて。一緒につけるか」
「うん、あ、ぴかちゅー!」
「見ようか」
ぴかちゅー、のおかげで海が暇じゃなくなったので、静かになった。海でも分かりやすい、ポケモンばっかりいっぱい出てくる、ポケモン同士で過ごすやつ。口の端をむにむに上げて、目を輝かせている。乗り物に乗ってる時間が長いから、暇つぶしして、午前中ぐらいは起きててもらわないとな。
「海、もうすぐ着くから、シートベルト」
「がちゃーん」
「さくちゃん起こしてやれ。着くぞって」
「さくちゃーん!がちゃーん!」
「……ふあ」
「しーとべうとするんだよ!」
「はい……」
「ひこーきたのしかったね!」
「……はい」
寝ぼけてんなよ、と声をかければ、普段とあまりに違う環境に頭がついて来ていないのか、ふぁい、と腑抜けた声が帰ってきた。しばらくほっとけば再起動するだろ。ふんふん鼻息も荒く海は元気いっぱいだけれど、着陸態勢に入って音が大きくなり飛行機が揺れ出したら、またべそりはじめた。今度は朔太郎の手をぎゅーしながら、はやくしてよー、とか言ってる。目覚めた朔太郎は、笑いを堪えているけれど。
ぞろぞろと列を成して飛行機から出て行く乗客に紛れて、海の手を引いて歩く。飛行機から一歩出て、タラップを行くわけだけど、もう既に違った。あったかい。中継地点のここでこんなんなら、沖縄は上着なんていらないのではないかと思う。そもそも雪なんてないし。
「おきなーついた?」
「ついてない。もっかい飛行機乗る」
「……もううみいい……」
「ここで旅行を終わりにすることはできないんだぞ、海ちゃん」
「こんどはしんかんせんのる」
「残念、次も飛行機だよ」
「ががーん」
もううみいい、のテンションからするとかなり疲れてるのかと思ったけど、普通にふざけてるので、そうでもなさそうだ。お弁当が入ってた飛行機を片手に握りしめて、るんるんである。飛行機乗り継ぎする人なんかいないんじゃないかと思ったけど、乗り継ぎはこちら、と書かれた入口の方に結構人はいるみたいだ。またしても大きな窓から飛行機が見えて、海は釘付けだった。
「あのひこーきのってきた?」
「どれかなあ。降りちゃうと分かんないね」
「さくちゃんねてたねー」
「……俺、飛行機は眠くなるみたい」
「うみ、ぴかちゅーみた。あとー、でんしゃして、こーちゃんとおはなしした」
「いいねいいねー」
「さくちゃんもつぎはみよおね」
「寝なければね」
「我慢しろよ」
「航介だってバスは寝るじゃんかさ」
「……だって勝手に進んでくれるから」
頭上の案内に従っていると、そんなに待たずに沖縄行きの飛行機は来た。今度は転ばないように、飛行機に向かう道でもちゃんと手を繋いでたんだけど、どたばたする海は俺の手に一度完全にぶら下がっていた。わーお!うわーお!じゃない。どたばたしないでくれ。
「しーとべうとして」
「ぎゅー」
「ふむ」
「……おえーしないの?」
「うみもうこわくない」
「あらそう……」
どこで何のスイッチが入ったのか、座席に座ったらきりっとした海が、びしっと座っている。シートベルトの確認のアナウンスにも、非常時の逃げ方のアナウンスにも、いちいちびくってなってたけど。しかしながら、巫山戯ず、騒がず、踊らず、口をぎゅっとして待っているようだ。何故に。本人の心持ち的に、きりっとしたら怖くないのだろうか。びくびくしてる時とか、ライオンの真似してたりするしな。
「……………」
「……………」
「……………」
「……こーちゃん……」
「ん」
「おてて……」
「はい」
駄目だったようだ。無理しなくていいけど。


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