「以上」
「振袖着てないじゃん」
「これはその次の日。寝ていた当也にやちよが奇襲をかけて振袖を被した写真」
「この振袖どうなったの？」
「当也が引きちぎろうとした。非力だから無理だったけど」
「はははは」
「しばらく八つ当たられたし」
「これは？」
「これは、お餅つきで航介が杵持った瞬間に何故かおじさんがどっか行っちゃって、でかい杵をどうすることもできずに戸惑いながらなんとか落とさないようにキープする航介の写真」
「こっちは？」
「記録的な大雨の時になんとか家まで辿り着こうと必死になるものの、家の目の前で傘が逆さまになって一瞬で全身びちゃびちゃになる航介と当也の写真」
「なんで二人の写真こんなにあるの？」
「やちよにおねだりするとくれるんだよ、焼き増しして」
「これ朔太郎も一緒に写ってん、ちっさい！」
「中学生の時はミニさくちゃんだったんだ」
「急に伸びたの？」
「急に伸びたの。おもしろいよね」
「へえー」
「遊園地だ。これ航介？」
「そう。お目当てのポップコーンが売り切れていて食べられなかったことに15にもなって拗ねてる江野浦航介」
「ぷひーっ」
「なにこの土まみれの弁当」
「牧場に遊びに行ったらしいんだけど、でかい犬の散歩体験したらスピードについて行けなくて引きずり回されてた、って聞いた」
「誰から？」
「やちよ」
「弁当母なんでも教えてくれんな」
「可愛いね！若いね！結婚して！息子も旦那も素敵！って褒めまくるといいよ、超ちょろいから」
「今度会ったらやろ」
「やめてよ朔太郎！伏見にそういうこと教えないで！やりかねないから！」
「でも伏見くんはぶーちゃんだった時の航介見てるし……もう今更なに見たって……」
「えっ？ぶーちゃん？」
「なにそれ？」
「いやあ、なにって」



「人間の頭からあんなに血が噴き出すところ俺初めて見た」
「俺も」
「弁当ってホラー駄目じゃなかったっけ」
「……グロは見るよな？バイオハザードとか」
「そっか」
「１発ずつ強く強く殴ってたな……」
「朔太郎帰ったの？」
「風呂入ってる」
「あんなに血出たのに？」
「弁当は包丁研いでる。ほら」
「……………」
「……………」
「……殺されるのでは……？」
「記憶喪失になったふりすれば大丈夫だよ」
「こ、航介どこ行ったの」
「外の倉庫になんか取りに行った」
「完全に殺されるじゃん！」
「有馬ちゃんと二人にお礼言った方がいいよ」
「土下座しな」
「うん……めり込むまで土下座する……」