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うわさばなし




「かくてこの写真です」
「ぷひーっ」
ぴ、と朔太郎が取り出した一枚の写真には、三人並んで非常に不服そうな顔で全員てんでんばらばらにそっぽを向いている様子がばっちりしっかり映っていた。伏見は一目見ただけでもんどり打ってびくびくしている。いやあ、すげえな、中学生だろ。みんな揃って眉上だよ。どういうことだよ。これは弁当と航介に見られたらマジで怒られるやつだ。
「二人がいない内にみんなには見せてあげようと思って持ってきたんだ。おもしろアルバム」
「……ばれたらどうなるの?」
「まず俺は八つ裂きにされること間違い無し」
淡々と八つ裂きの未来を確定させた朔太郎が、これもおもしろいよ、と次の写真を指差した。さっきまでのしょんぼりはもういいのか、と伏見に突っつかれたけれど、切り替えが早いのが長所なんだから、ほっといてくれ。そういうのを脳みそすっからかんって言うんだ、とせせら笑う悪口が聞こえたけど無視した。目先の面白いことに飛びついて何が悪いんだ。朔太郎だって、元気付けようとしてこの話を始めてくれたんだぞ。そんなことを考えているうちに、ページの端にあった写真を指差した小野寺が朔太郎に聞いた。
「……なんで航介の頭からひまわりが生えてるの?」
「これは俺が刺した」
「なんで朔太郎はひまわり刺したの!?」
「切り花で綺麗なのをもらったから、航介にも見せてあげようとしたんだけど、あんまり喜んでくれなかったからむしゃくしゃして」
「だめだよ!」
「小野寺くん意外と良い子でつまらぬ」
「ええ……そんなこと初めて言われた……」
「なんで弁当着物被ってんの。この写真」
「あー、これ。深い訳があってね」

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