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うみ



「海だー!いえーい!」
「小野寺」
「うん」
「伏見なにしてんの?」
「日焼け止め。背中届かないから塗らしてる」
「塗らされてる!」
「えー、早く海入りたい、早く」
「赤くなって痛くなるの嫌なの。先に一人で行って溺れ死ねば」
「……弁当も伏見も上になんか着てる」
「水に入る時は脱ぐでしょ?」
「脱ぐよ」
「暑くねえの」
「暑いけど、直で陽に当たるよりはまだまし」
「ふうん」
「……それに、お前らみたいに、こういう、ものが、ついて、ないから、な!」
「いた、あいた、伏見、痛いよお」
「腹が硬えんだよ!削げろ」
「俺もちょっとある!見て、ほら」
「見せんな削ぐぞ」
「ひっ」
「……………」
「……航介が一番かっこいい体してるよね」
「……まだなにも言ってない」
「伏見ああなりたいの?」
「まだなにも言ってない!」
「じゃあまず寝る前にアイス食べるのやめないと」
「眼球に日焼け止めを塗りこまれたくなかったら黙って」
「はい……」
「俺の背中に日焼け止めを塗れてる事実を小野寺はもっと光栄に思った方がいい」
「はい……」
「ねえ、伏見、俺の腹筋。頑張って割った」
「80個くらいに割れたら褒めてやるよ」
「気持ち悪!80!?」
「背中塗り終わったの?」
「終わったよ」
「弁当と航介とビーチボールふくらましてこよっと」
「先に海の方行っててもいい?」
「いいよ」
「いえーい!行こ!小野寺!」
「うん」
「朔太郎!海に入るぞ!」
「うえ、えっ、あの海……」

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