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温泉行こうよ



「……………」
「……………」
「……つべた」
「どした」
「なんか落ちてきた……」
「水滴かなあ」
「ていうかさっきあいつらが出てったせいで冷気が入ってきたんだけど」
「この寒いのに外は無いわ」
「露天にしたってもうちょっと、ねえ」
「雪が見えるのが売り!とかテレビでやってんじゃん、あれもきっとクソ寒いぜ」
「かといって夏もやだし」
「……適度な寒さの冬」
「それだな」
「航介肩冷たい」
「あ、悪い」
「伏見、あんまくっつくと魚くさいよ」
「おいこらやめろ!風呂場なのにそんなわけねえだろ!」
「んんー?」
「嗅ぐな!伏見ちょっ、嗅ぐなつっつってんだろ!」
「石鹸の匂いしかしなかった」
「今はまだ平気なんじゃない、まだ」
「当也、おい、こっち向け、見えねえから避けれねえだろ、おら」
「わ、んぐ、っやめろ、クソヤンキー」
「ちょっと、ねえ、真ん中に俺いるんだけど、かかってんだけど」
「ああ、ごめんごめん」
「んー」
「七三分けー」
「……真ん中分け」
「ちょ、え、なに?な、なにするの、伏見」
「航介が俺のこと七三分けにするから、弁当は真ん中分けにしてやろうかなって」
「あっそう……」
「見たい?」
「……ちょっと」
「どんくらい?」
「ねえ、近い」
「でも近づかなきゃ弁当見えないじゃん」
「あ、あー、何となく分かった。ふふ」
「なに笑ってんだよ」
「当也お前また目悪くなったんじゃねえの」
「なっ、た、かなあ……」
「前はこんぐらいだったろ」
「遠い、見えない」
「絶対悪化してるって」
「大人になると視力の低下って止まるんじゃないの?」
「俺もそれ聞いたことある。弁当の目悪いのって遺伝?」
「父親はあんまり目良くはないけど」
「仕事柄じゃねえの?それ」
「お前のこれみたいにかー!」
「っちょ、ふし、うははっ!くすぐってえ、やめ、離せよお」
「いいなあ腹筋、二の腕もさあ、いーいーなー」
「欲しいの?」
「欲しいよ。弁当欲しくないの?」
「……そりゃあ、ちょっとは」
「じゃあ外出ろ、外」
「出てるよっ」
「あのねえ、航介には分からないかもしんないけど、弁当とか俺はさあ」
「あの、喋るか触るかどっちかにしてくんね、伏見」
「運動しても筋肉になんないし、つーかそもそも弁当なんか体力が無いし」
「うるさいな」
「まあさ、俺はね。弁当よりは体力あるから、筋肉はつかないけど体力ならあっ」
「このっ」
「あっやだ、ふぁ、っはははは!ひゃめ、っやめて、離しっ、ひ、ゆるしてえ!」
「重い!おいっ、当也!伏見ごと俺に乗ってるんだよ!このっ、降りろってば!」
「あ、待って、無理、見えない、どこに降りたらいいの、ねえ待ってどうしよ」
「あっは、はははは!べんっと、も、はなしっ、やめて、あははっ」
「ちょ、あぶね、危ないから!降りろ!とりあえず俺から降りろって!」
「あー無理、バランス崩れたら俺落ちる、航介そのままお湯から上がれないの」
「無理だよふざけんな!」

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