「伏見、あの」
「何」
「歩きづらい……」
「……お前、俺をあれから守るって言ったじゃん……」
「言ってない、仲良くしろとは言った」
「無理、不可能」
「俺トイレ行ってくるからね」
「えっなんで、なんでやだ、俺も行く」
「だめでーす」
「なんで今トイレだよ！お前、あれだろ、俺のこといじめたいんだろ！変態！」
「違いますう、生理現象ですう。ほら、弁当のとことか行ってれば」
「う、え、マジで行くの、ねえ……あ、べんとお……」
「ふーしーみくんっ」
「……………」
「あっ、違うよ！別に何かするつもりはないよっ、ただ一緒にお風呂入ろーって」
「……………」
「あれ？どこ行くの？湯船はあっちだよ、俺と入ろうよお」
「……俺、湯船浸からない教の敬虔な信者なんで」
「じゃあサウナにする？」
「あーやっぱもう上がるとこでしたすいません」
「やだなあ、敬語なんてやめてよ、そんでもってこっち向いてよお」
「……………」
「伏見くん！お風呂場は走ったら危ないんだよ！もう！うっかりさん！」
「ひっ、ついてきた、怖」
「あっじゃあ背中流しっこしよ！俺上手いよ！タオル無いから手だけどっ」
「きもちわる、小野寺っ、なんでこういうときにっ、いないんだよっ」
「さっき有馬くんの声が聞こえちゃったんだけど、伏見くんお腹ぷにぷになんだってね！俺も見してほしいなあ！俺もね、あんまり筋肉とかなくてね、おんなじだね伏見くんっ」
「……なんで走りながら話しかけてくんだよ……っ」
「二の腕も触らして！お腹も！ていうかもういっそ全部！全部余すところ無く見せて！」
「あ、っこ、こーすけっ」
「うお、なに、伏見どうし」
「伏見くんなんで逃げるのお！なんにもしないってば！隣でお湯に浸かるだけ！」
「たすけ、た、小野寺どっか行っ、航介っ」
「あー……朔太郎、しっしっ」
「邪魔すんなよ航介！ちょっと伏見くんと触れ合えたからって調子乗るなよ！」
「怖がってるだろ！なんだってお前はそう加減が無いんだ！」
「だって伏見くんに触りたいんだもん……」
「……気持ちが悪い……」
「朔太郎、触るのは無しに出来ないのかよ」
「……寄り添って二人、楽しくお喋りをする」
「あれでどう、伏見」
「死んじゃう」
「駄目みたいだけど」
「やだあ！伏見くんとべたべたしたい！航介なんか家にまで連れ込んだくせに！」
「その言い方やめろ！」