このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

温泉行こうよ



「こーすけえ」
「あ、有馬こっち来た」
「お前先入ってろよ、俺弁当見るからさあ。それとももう終わる?」
「っ」
「いぎっ、ってえな!なにすんだよ!」
「なに、って、シャワー落としただけじゃん、ひっかけ、これかけなきゃ、俺」
「シャワーかけるやつそんなとこにねえよ!つかなに焦ってんの?」
「ほれ弁当、貸してみ」
「あ、え、うん」
「なんだ、もうあとあっち行くだけじゃん。早く行こ、こっちこっち」
「いあ、待っ、手、あの」
「有馬、当也すぐ転けるから気をつけろよ」
「だいじょぶ、弁当そこ段差」
「うん」
「っこ、こーすけっ」
「うお、なに、伏見どうし」
「伏見くんなんで逃げるのお!なんにもしないってば!隣でお湯に浸かるだけ!」
「たすけ、た、小野寺どっか行っ、航介っ」
「あー……朔太郎、しっしっ」
「邪魔すんなよ航介!」
「……ここ危ねえからあっち行くか」
「あ、はい」
「ここからお湯な」
「うん、ありがと、あの、もう手離しても、っうわあ」
「わああああ!ほらあ!まだ手離しちゃダメじゃん!」
「っご、ごめん、有馬平気だった?」
「おー、びっくりしただけ。段差三つあるぞ、気をつけろな」
「……なんか、いろいろ、ごめん」
「ん?別に、出たくなったら言えよ。ここ結構いろいろあるし、危ないし」
「そ、っか。ありがと」
「滑って転んで頭打って大怪我とか洒落になんねえもん。はあ、きもちい」
「……あの、いつまで手を」
「ん?」
「あ、いえ……」
「目悪いのも大変だなあ」
「でもぼんやりは見えるし、近づけばどうにかなるし」
「例えばさあ、その状態で人に会ったらどうすんの。わかんないじゃん」
「案外なんとかなるよ、声とか背格好とかで」
「俺と航介が黙ったまま並んで立ってたら、背とかほとんど違わないけど分かる?」
「えっ、あ、有馬は、分かる」
「なんで?」
「……うるさいから」
「黙ってんのに!?」


8/13ページ