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日常



「育くん的にはさあ、横峯くんと町田くんが仲良しなのはどうなん?」
「んえ」
パン米会、番外編。といっても、元々はこれなんだけど。育くんがご飯行こーって言ってくれて、でも育くんの人気的にレストランは予約しなきゃだから、ちょっと日は空いてしまった。まあ、おいしいからよし。次みんなで集まれるのいつかなあって話から、すんげえうまい。なんだこの肉。
それで、まあ。なんとなくそう聞いたのだが、間の抜けた声の後、ものすごい難しい顔で固まられてしまった。地雷だった?
「ぐぬ……」
「え、や、深い意味はないんだけどさ。町田くんと育くんが仲良かったわけで、町田くんも弟分って言ってたの聞いたし」
「そお。ありがたいことに」
「でも横峯くんたち?のことが好き?じゃん。育くん」
「好き」
「あの二人割とちゃんと仲良いやんな」
「良い……」
「嫉妬したりすんの?」
「……………」
「顔が全部物語ってる……」
「正直に言って良い?」
「いいよ」
「ゆーやくんたちに言いつけない?」
「しないよ」
「……んもお……ものっすごい……羨ましい……」
「わはは。素直に吐いた方がいいぞ」
顔を覆って絞り出された声に、普通に面白くて笑ってしまった。かわいいな。耳まで真っ赤だし。だあってさあ!とでっかい声を出して顔を上げた育くんが、捲し立てだした。
「まずさあ!?名前で呼ぶのとか超仲良さそうじゃん!?俺っ、ゆーやくんはそりゃまあゆーやくんだけど、よこみねくっ、ゆ、ゆっ、名前で呼んでも良いってゆってくれたけどさあ!そんな恐れ多いことできるわけないしさあ!?」
「初めてできた彼女を名前呼びする直前みたいなときめきを感じる」
「あとあの二人っ、二人でご飯食べ行ったりすんだよ!?いいなあ!俺も行きてえよ!よこみねくんと二人ご飯!」
「行ったことないの?」
「ない」
「俺ある〜〜〜〜」
「ンギー!!!!!」
「いった!いたっ、石田も後から合流だよ!二人っきりじゃない!ていうかあの人誘えば来るぞ!?」
「ゆーやくんとよこみねくんは二人でカラオケも行ったってゆってたあ!」
「それは楽しそうだわ」
「俺も行きたい!よこみねくんと二人でお出かけしたいいい」
「町田くんが羨ましいってことでオッケー?」
「そお……俺も……俺だってよこみねくんと、一緒にアイス食べたり……あと一緒に……一緒にスポッチャ行ったり……あと……あとなんか……服を見たり……したい」
「フワッフワ……」
「……あんまり人とそうやって……どこに遊びに行ったことがないから……わかんないけど……!」
「かわいそう……」
「や、俺もよこみねくんと自分は仲良しだと思ってんだけどさあ……ゆーやくんは人と仲良くなるのマジではちゃめちゃ上手いから……」
「あー。それは分かる。いつのまにか馴染んでるのすごいよな」
「うん……」
「こないだ会った時なんて石田にも普通に話しかけるから、あいつ面食らって「えっあっおっおお…」ってなってたよ」
「ひろくんが圧されるってなかなかないよ」
いいなああ…と絞り出した育くんが、どさりと机の上に倒れ伏した。叫ぶのは体力を使うらしい。しばらくそのままぼそぼそと話していたけれど、急にむくりと起き上がった。
「あでもね、みっくんにこの前キレられた。みちぴと二人で会いたいんだって。俺今度ご飯食べるっつったら怒ってた」
「いいよそんな嘘……」
「ほんとだよお?」
「俺にまで気を使うなって。俺なんかなんであの場に混ざれてるのかまだ不明なんだから」
「自己評価マジ低いよねみちぴ……今度みっくんと二人で会う場所整えてあげるから、そしたら会ったげてね」
「絶対無理。息できなくなる。死ぬ」
「大袈裟」
「無理。あっあっあっあっしか言えなくなる」
「いいじゃん。多分みっくんも同じ感じになるよ」
「地獄じゃん……?」

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