こりゅさに(未満、風含む)
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小竜→さにの付き合わないこりゅさに
「これは?」
何の脈絡もなく審神者に手渡された小さなソレを不思議そうに眺めて、小竜景光は審神者に問うた。
「お守り」
表情も変えずにそう答えた審神者に、小竜景光は呆れ顔を浮かべた。答えになっていてない。口を紐で閉じられた白い小さな袋は、日本にルーツを持つモノであれば皆一様に見覚えのある形のものだ。青色の同じ形のものを、小竜景光は審神者に持たされている。
「それは見たらわかる」
今の返答では不満だったかと、審神者はほんの少し逡巡して斜め上を見た。ややあって作った、と再び口を開いた。が、そういうことでは無い。
「それもまあ、見ればわかるよ」
審神者の霊力でこの世に身を降ろされた刀剣男士は、自らを顕現した主の気配には敏感だ。このお守りに何が入れられて____込められているのか、具体的なモノまでは特定できずとも、これが審神者の何かしらによって生み出されたものであることは、よくよく感じずともわかった。
「じゃあ、それだけだよ」
それ以上何が知りたいのかと、さも当然のように言う審神者に、小竜景光は苦笑いを浮かべた。そうだった、俺の主は少しズレた所がある。
「いやいや、俺は動機を聞いているんだぜ?」
お守りから審神者に視線を移してそう言えば、審神者はそういうことかと得心いったようだった。
「百年」
開かれた口から紡がれたのは、単語だった。小竜景光は思わず聞き返す。
「え?」
「小竜が大事に持っていてくれたら、貴方たちみたいに私になるかもしれないと思って」
審神者の視線は小竜景光の手中に収まったお守りに注がれている。やはり審神者が何を考えているのかはよくわからなかった。
「話が見えないな」
小竜景光が詳細を求めると、審神者はなんでもない顔のまま続けた。
「この間、小竜が告白してくれたから」
「んん!?」
待ってくれ。静止しようとして小竜景光が噎せた。その様子を眺めている審神者は相変わらず表情を変えずに、突然噎せた小竜景光の背をさすっていた。
「大丈夫?」
「あ、ああ……まあ……」
ようやっと落ち着いた小竜景光の声は消え入りそうなものだった。
「キミ、気付いてたのかい」
「まあ……口下手イコールにぶちんではないから」
あんまりだ、と小竜景光は思った。先日酒の席で、こっそりと、曖昧に伝えた好意。本人に正しく届かなくても良いと思っていたし、実際その返答は有耶無耶なものだった。てっきり、伝わっていないものだとばかり思っていたのに……
「私は小竜の想いに答えられないから」
曖昧にしておくことで美しい思い出に閉じ込めておこうと思った恋心を明確なものにすり替えられ、今こうしてはっきりと断られた。
長船派の祖たる一振の言を借りるのであれば、何たる無様な、と言った所だろう。
「せめて代わりに、ってぇ……?」
こんな惨いことがあるかと、ずるずると、力なく小竜景光がしゃがみこむ。
「うん、まあ、そんなところ」
その様子を目線だけで追っていた審神者は、一人百面相する小竜景光に頷いた。
「私は審神者だし、なにより誰かひとりに心を注ぐことはできない。もうそういう生き物なんだと思う、私は」
でも小竜の気持ちは嬉しかったから。
「だから、何が返せるかなと思って」
ぽつり、と零れたそれに、小竜景光はのろのろと視線を上げた。ようやっと視線が絡む。何と返せば良いのかわからなかった。寂しくて苦しいような、それでも嬉しくて胸の辺りが暖かくなるような。
小竜景光は、この心を伝えるための言葉を必死に探していた。
「時の政府が用意したお守りみたいに、命を繋ぐ機能も何も無い自己満足のお守りだけど、小竜が次の恋に進むまでで良いから、持っててくれたら嬉しい」
それが、主である審神者が出した答えだった。
あくまで真摯に、真っ直ぐに。
そうだ、俺はこの娘のこういう所に惚れたんだ。そう思った。だから、うん。紡ぐ言葉は、シンプルで良いのだ。真っ直ぐに、誠実に。
「神ってのはさ、一途なんだよ」
キミが思っているよりずっと。
人間の一生なんかでは図りきれないほどに。
「だから、そうだな……百年と言わず、この身朽ち果てようとも、大切にさせてもらうよ」
このお守りが本当にキミになるかも、気になるしね、と小竜景光は笑った。
「これは?」
何の脈絡もなく審神者に手渡された小さなソレを不思議そうに眺めて、小竜景光は審神者に問うた。
「お守り」
表情も変えずにそう答えた審神者に、小竜景光は呆れ顔を浮かべた。答えになっていてない。口を紐で閉じられた白い小さな袋は、日本にルーツを持つモノであれば皆一様に見覚えのある形のものだ。青色の同じ形のものを、小竜景光は審神者に持たされている。
「それは見たらわかる」
今の返答では不満だったかと、審神者はほんの少し逡巡して斜め上を見た。ややあって作った、と再び口を開いた。が、そういうことでは無い。
「それもまあ、見ればわかるよ」
審神者の霊力でこの世に身を降ろされた刀剣男士は、自らを顕現した主の気配には敏感だ。このお守りに何が入れられて____込められているのか、具体的なモノまでは特定できずとも、これが審神者の何かしらによって生み出されたものであることは、よくよく感じずともわかった。
「じゃあ、それだけだよ」
それ以上何が知りたいのかと、さも当然のように言う審神者に、小竜景光は苦笑いを浮かべた。そうだった、俺の主は少しズレた所がある。
「いやいや、俺は動機を聞いているんだぜ?」
お守りから審神者に視線を移してそう言えば、審神者はそういうことかと得心いったようだった。
「百年」
開かれた口から紡がれたのは、単語だった。小竜景光は思わず聞き返す。
「え?」
「小竜が大事に持っていてくれたら、貴方たちみたいに私になるかもしれないと思って」
審神者の視線は小竜景光の手中に収まったお守りに注がれている。やはり審神者が何を考えているのかはよくわからなかった。
「話が見えないな」
小竜景光が詳細を求めると、審神者はなんでもない顔のまま続けた。
「この間、小竜が告白してくれたから」
「んん!?」
待ってくれ。静止しようとして小竜景光が噎せた。その様子を眺めている審神者は相変わらず表情を変えずに、突然噎せた小竜景光の背をさすっていた。
「大丈夫?」
「あ、ああ……まあ……」
ようやっと落ち着いた小竜景光の声は消え入りそうなものだった。
「キミ、気付いてたのかい」
「まあ……口下手イコールにぶちんではないから」
あんまりだ、と小竜景光は思った。先日酒の席で、こっそりと、曖昧に伝えた好意。本人に正しく届かなくても良いと思っていたし、実際その返答は有耶無耶なものだった。てっきり、伝わっていないものだとばかり思っていたのに……
「私は小竜の想いに答えられないから」
曖昧にしておくことで美しい思い出に閉じ込めておこうと思った恋心を明確なものにすり替えられ、今こうしてはっきりと断られた。
長船派の祖たる一振の言を借りるのであれば、何たる無様な、と言った所だろう。
「せめて代わりに、ってぇ……?」
こんな惨いことがあるかと、ずるずると、力なく小竜景光がしゃがみこむ。
「うん、まあ、そんなところ」
その様子を目線だけで追っていた審神者は、一人百面相する小竜景光に頷いた。
「私は審神者だし、なにより誰かひとりに心を注ぐことはできない。もうそういう生き物なんだと思う、私は」
でも小竜の気持ちは嬉しかったから。
「だから、何が返せるかなと思って」
ぽつり、と零れたそれに、小竜景光はのろのろと視線を上げた。ようやっと視線が絡む。何と返せば良いのかわからなかった。寂しくて苦しいような、それでも嬉しくて胸の辺りが暖かくなるような。
小竜景光は、この心を伝えるための言葉を必死に探していた。
「時の政府が用意したお守りみたいに、命を繋ぐ機能も何も無い自己満足のお守りだけど、小竜が次の恋に進むまでで良いから、持っててくれたら嬉しい」
それが、主である審神者が出した答えだった。
あくまで真摯に、真っ直ぐに。
そうだ、俺はこの娘のこういう所に惚れたんだ。そう思った。だから、うん。紡ぐ言葉は、シンプルで良いのだ。真っ直ぐに、誠実に。
「神ってのはさ、一途なんだよ」
キミが思っているよりずっと。
人間の一生なんかでは図りきれないほどに。
「だから、そうだな……百年と言わず、この身朽ち果てようとも、大切にさせてもらうよ」
このお守りが本当にキミになるかも、気になるしね、と小竜景光は笑った。
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