本編







命からがら生き残った隊員が告げたその「G」は確かに円盤のように力強く回転しながら、マッハの速度で住宅地に向かっていた。
クモンガと憐太郎・紀子がいる、あのマンションを目指して。






キャキャァッ・・・




だが、餌を通り越して憎しい存在になった憐太郎と紀子を潰す事に夢中で、迫る「G」に気付く事の無いクモンガはその爪を2人に突き立てようとしていた。
勾玉からの光に阻害されながらも、もう振り降ろせば2人に当たる距離である。




「「・・・!」」




が、それでも2人は真っ直ぐに見据えた目を閉じなかった。
2人は信じていたからである。希望の「G」が、ここに来てくれる事を。




キュキャァ・・・!




今まさに、振り上げた爪を降ろそうとしたクモンガだったが、それは背後からの衝撃に阻まれた。
衝撃に弾き飛ばされたクモンガの体はマンションから大きく離れ、空き地に叩きつけられる。
衝撃の主はクモンガのいた場所にそのまま降り、ジェットのように凄まじい四つの炎を地面に吹き付けて停止したかと思うと、周囲が炎の煙と舞い散る雪に包まれ、軽い地震が起こる。




「「うっ・・・」」




これには流石に憐太郎と紀子も顔を背けるが、勾玉の光はまだ消えておらず、勾玉の中の光が炎のような形に変わる。




「・・・勾玉の、この光の形・・・!レン!」
「うん・・・来た!」




やがて煙が晴れ、2人の前に「G」がその姿を見せた。




グォウウウウウ・・・!




まず見えたのは、空を覆い隠しそうなくらいに大きな深緑の甲羅。
無数の鱗が形成しているかのような甲羅は何者も寄せ付けないと同時に、何者も守る堅牢さを感じさせる。
次に体のバランスを取るしなやかな尾と、何か噴出口に似た物が入っているように見える逞しい二本の足と手が見え、掌は多少大きいものの、人間の掌にも似た形をしていた。




「・・・これが・・・!」




「G」は振り返り、紅き炎の紋章が刻まれた玄の色の腹を2人に見せる。
そして口の脇から生えた二本の鋭い牙、翠の瞳を持った精悍ながらも柔和で優しい雰囲気を持った顔を2人に見せた「G」は、まるで2人に語りかけるかの如く咆哮を上げた。




ヴォウァァァァォォオン・・・!




「・・・ガメラ!」




「G」を見て、憐太郎は歓喜の声色で叫ぶ。
もはや「怪獣」と言えるまでの姿になっていたが、これこそが玄武・・・ガメラが完全に成長した姿であったのだ。






「か・・・かっけぇーっ!!」
「ねぇ・・・拓斗。あれってまさか!」




何事かと背後を見た拓斗と透太もつい立ち止まり、まじまじとガメラを眺める。




「か・・・亀だ!」
「おおきいわねぇ・・・」
「なぁ、兄ちゃん。あの亀って何なんだ?」
「おう、あれはな・・・」
「ぼくらの、友達さ。」
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