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2010年2月28日、南極(G発見地点)。


調査隊が慌ただしく引き払ったそこに、一人佇む男がいた。
190㎝近い長身を黒づくめの防寒着で覆い、隙間から少し長めの濡れ羽色の髪が覗いている。
何も無い氷雪地獄から顔を上げると、彼の目にはまだ当分は漆黒の闇に覆われる事の無い空が見えた。
―――実にお誂え向きではないか。


「行こうか"白夜"。
いつか"その時"が来るまで共に」



踵を返して歩き出した男――東斗の瞳は、まるでホワイトオパールを嵌め込んだような色をしていた。










to be next…
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