本編
「やった…か。」
「終わったな?」
電柱の陰から出現した一樹が何事も無かったかの様に凌に歩み寄ってきた。
凌はそれを気にも留めず綾に駆け寄った。
「綾さん…」
「ちょっと…無理したかも…」
「休んでいてください。係長への連絡は俺がやります。」
凌は携帯電話を取り出し、一樹は何処かよそ見をする。
この間、全員がツルクの死骸から目を離した。
倉島への電話の途中、ツルクの死骸に近寄った人影を凌は察知した。
「おい! 何してる!」
人影はツルクの刀に触れると走って逃げていった。建前上それを追う一樹だったが見失ったらしく直ぐに帰ってきた。
「あれは何がしたかったんだ?」
「さぁな。分かった事と言えば走り方が女だった事ぐらいか。一先ずコイツの写真を撮って刀からも人影の指紋を採ろう。」
漸く警察官らしい職務を果たした一樹と、疲労が残る凌と綾は最後の人影が気になりつつも本庁へ戻った。