本編


3年前


「ライフル魔はアパートの2階に立て篭もっている。人質に中年男性がいるという情報もあり、交渉にも応じない。マニュアル通り手堅くやれ。」


隊長の指示でブリーフィング通りの位置に待機する隊員達。その中には凌の姿もいる。


やがて突入開始の号令が発令されアパートの部屋に催涙弾が撃ち込まれた。
煙が充満したのを見計らい隊員達は玄関から、窓から、ベランダのガラス戸から突入した。


「銃を捨てろ!」
「……」


中年男性は既に銃殺され、台所に俯せで倒れていた。
さらにライフル魔の男性に催涙弾が効いていない。煙でよく見えないがショットガンの類と思われる銃を持っていた。
男性はショットガンを隊員に向けると即座に発砲する。まるで感情など持っていないかのように。
隊員は着弾と同時に吹き飛ばされ壁に激突した。


「構わん撃てぇ!」


隊員達はライフル魔を銃撃した。が、弾丸が鉄に食い込む音が聞こえたかと思うと、銃創から弾丸が巻き戻されたかの様に排出され、スクラップに変わり果てた弾丸が床に落下した。


目の前の光景に驚愕する隊員達は、銃撃の報復とばかりに次々と撃たれる。遂には凌のみが残されてしまった。
その時、催涙弾の煙が晴れ男性の詳しい全容を目視できた。
ライフル魔はよく見たら銃を持っておらず、手が直接銃身に変形していた。「G」だ。


「G」は凌に近寄りながら本来の姿――アルギュロスに戻る。その姿はスマートなローマ甲冑に近い容姿だ。
アルギュロスの銃口が恐怖に怯える凌を捉えた時、アルギュロスの顔が笑った様に見えた。
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