番外編 孤高の空


翌朝
シーモア・ジョンソン空軍基地
救護施設


「………」


ハワードは覚醒し、先程の飛行が夢だったと認識した。
あの夢以外でバルティ・クレイズが出てきたのは久しぶりだ。それこそ、あの出撃で彼が戦死した時以来だった。


「起きたな。」


隣のベッドで新聞を読んでいたらしいスコットに大した怪我はなく、本人は元気そうだ。
しかし脱出に成功したとされるスーパーXⅢのパイロットは部屋に見当たらない。


「マクドネル少佐は…助かったのか?」
「ああ。少佐は対策会議に出席なされた。」
「対策会議…殲滅戦か。」
「そうらしい。JCS作戦部の連中が来てるが、打開策があるかは疑わしい。」
「確かに。あれだけの「G」をどう始末する作戦を立てるか、見物だな。」


ハワードは窓から、ハンガーに誘導されるJCSの人員輸送機を一瞥する。


「あぁそうだ。お前が寝てる間に「G」のコードネームが決まった。」


スコットが続いて情報を言うが、ハワードにとって「G」の名前など正直どうでも良かった。だが今後のブリーフィングの為にも聞いておく必要がある。


「何だ?」
「俺達が遭遇した「G」のコードネームはアリゲラ。後に出現したらしい巨人はネクストだ。」
「ネクストか……巨人のネーミングは手抜きだな。」
「ゆっくりコードネームをつける余裕がないんだろうよ。それに、敵にわざわざ豪勢な名前を与えるのも杓だしな。」


敵。その指す存在を知っているハワードにすればこの単語に違和感を感じ得ない。確かに、客観的に見ればネクストもアリゲラと同じ軍にとっての脅威である。


「(敵…か。)」
「ついでだがアリゲラの翼は新型爆撃機撃墜時の衛星写真に写っている翼と同一とされ、他国への警戒は無意味だとして……」


ハワードは助けられたとは言え、゙彼゙=ネクストが敵か味方か判断しかねる。少しは信用しても良い気がしたがそれもまだ早い気がした。
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