番外編 孤高の空


男は目が覚めた。


電灯の消えた天井が目に入った時、男は夢だと気付いた。いや、あれは最初から夢だと気付いていたのかもしれない。


相棒を失ったあの出来事を、1年経った今でも夢という形で蘇る。自分は吹っ切ったつもりだがどこか心に引っ掛かっているのだろう。
生還したパイロット、アクセル2ことハワード・レイセオンはあの時、初めて被撃墜を経験し、初めて相棒を失ったのだ。


ハワードは自分以外に誰も居ない自室を見回した。
寝る前と変わらない整理整頓された部屋。生活に必要最低限な物しか置かれていない広い空間。目につく物と言えば軍服とパイロットスーツがハンガーに掛けられている事くらいか。


それからまた横になるも寝付けない。聞き慣れた轟音に立ち上がって窓まで移動してみれば、夜間警灯が点灯している戦闘機が目に入る。


戦闘機は低空で着陸態勢に入った。そのままタッチダウンしたのを見るとある事に気付き苦笑い。あの時出撃したのと同じ機種だったのだ。


ハワードは駐機するのを見届けると再びベッドに潜り、眠りについた。
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