本編
荒木を覆面パトカーに乗せる直前、事態を静観していた伊吹が立ちはだかる。
「待て、そいつは俺達が追っていたホシだ。」
「しかし能力者であった時点で罪状が何であれ私達の領分になり、公安に引き渡します。それに先に現行犯逮捕したのは私達です。」
「チッ…刑事風情が…。勝手にしろ。」
伊吹は木内を連れて覆面パトカーで去る。特捜課の三人も、荒木を覆面パトカーに乗せた。
自分達が捜査し続けていたヤマを他の部署に持っていかれる悔しさを、綾と凌はよく分かっていた。だからこそ荒木を現行犯逮捕し、せめてもの口実を作ったのだった。
車内。先の戦闘で裂けたスーツの袖を気にする凌がハンドルを握り、後部座席に座らされた荒木の横に綾が座っている。終始無言だった車内で、綾は逮捕直後から気になっていた疑問をぶつけた。
「…聞かせて。変身の能力を持っているなら何故、適当な人間に変身して殺さなかったの?」
「…私の能力は…「G」と、「G」の力を持つ人間にしか変身できない。」
「…これで謎が解けたわ。誰でも変身できるって話は嘘ね。」
「…えぇ。」