本編


翌朝、一同は夜勤終わりの荒木に接触すべくアパートの前に覆面パトカーを停めて待ち伏せていた。
程なくして荒木が徒歩で向かって来るのをサイドミラーで確認した一同は一斉に車から降り立った。


「あなた…」


見知らぬ車2台から一斉に降りた5人の前に思わず立ち止まってしまう荒木。
しかし彼女は5人の中から凌の姿を確認すると不敵な笑みを浮かべ凌に近寄った。


「握手してください。」
「え?」


訝しげに思う凌の手を強引に握手する荒木。その光景に戸惑う一同、特に綾は警戒の眼差しで荒木を一瞥する。
この妙な空気を最初に打ち破ったのは伊吹だった。


「荒木美香さん、上原氏殺害の事について重要なお話があります。ここじゃ何です、移動しませんか?」


一同は近くの空き地に歩いて移動し伊吹は話を続ける。


「勝手ながらあなたの指紋と上原氏の自宅にあった第三者の指紋を照合しました。」
「…それで?」
「一致したんですよ、指紋が。荒木さん、あなたは上原氏の自宅に上がった事があるんじゃないですか?」


伊吹の核心を突かない追求に黙り込んでしまう荒木。


「…私がやりました。」


しかし彼女は観念したかの様に事実を述べ始める。あまりにもあっさりと自供した荒木に伊吹は誰よりも驚いた。


「…恥ずかしながら私は少し前まで金銭的に余裕のない生活を送っていました。
そして職場での商品品出しの時に……出来心で食料品をいくつかをくすねてしまったんです。それを偶然店長に見られてしまい…あの人は私が金銭に困っているのを知っておきながら…解雇されたくなければ関係を持てと……脅されました。それに加えていつの間にやら証拠のビデオも撮られていて…
当時私は…生活に困り解雇されるのだけはどうしても避けたかったんです…だからあの人と………それからしばらくして生活は安定して次の就職先の目星がついたので辞表を出しました。すると今度は警察に通報すると言われ――」


自供を続ける荒木。それに段々漠然とした不安を覚える伊吹と綾。


「私思いました。このままだとあの人の良いおもちゃだって。」
「だから…殺した?」
「…はい。」


荒木美香は自供した。後は本庁まで任意で同行してもらい調書を作成し送検するだけだ。


「だけどあなたたちはこれを報告する事はできない…」


荒木は一番近くに居た木内に聞こえるか聞こえないかの声量で呟いた。


「え?」


今、荒木は何と言ったか?木内は我の耳を疑った。


「何故なら貴方達はここで「G」に惨殺されるから!」


突如、荒木の語尾が強まり彼女の全身が閃光に包まれたかと思うと、人型の生物がそこにいた。

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