本編
翌朝、3人が目元に隈を浮かべて特捜課に戻ってきた。
「…戻りました。」
「あぁ、皆お帰り。大変だったらしいね、特に東條君は。」
疲労困憊の2名他1名を、コーヒーを煎れている倉島が出迎えた。
「係長、このスーツ経費下りますよね?」
凌はパックリ切り裂かれた袖をアピールしつつ問う。
「多分ね。」
「まさか行動初日で出くわすなんて思いませんでしたよ。それに東條君の機転が無ければ私も今頃死体袋の中で―――」
綾は席に着きながら倉島へ口頭で報告を始める。
一樹はその間に例の指紋の照合を始めていた。
「凌。」
倉島の煎れたコーヒーを味わっていた凌を手招きで呼ぶ一樹。
「例の刀の指紋の照合が終わったぞ。」
「流石に早いな。どうだった?」
「あの指紋に犯罪歴はなかった。結局何者だったのか分からず仕舞いさ。」
「あの人影、本当に何がしたかったんだろうな…」
2人は疑問に思うも答えが思い浮かばずただ時が過ぎるのを待つ事しかできなかった。