‐バラガミ‐ 今によみがえる飛梅伝説(総天然色版)




『どうしたん?せっかく会いたいって言ってた、愛しのさくらはんが飛梅みたいに来てくれてんから、もっと気の利いた事言わなあかんどすえ?』
「ど・・・すえ?」
「お、お梅さん?バランの話はいいの?」
『かまへん、かまへん。』



・・・し、信じられません。
真ちゃんの肩に、妖精さんが乗ってます・・・!
しかも京都でも中々お目にかかれない、完璧な着物美人な妖精さんです・・・
バラン様は信じられるのに、と思うかもしれませんが・・・不思議です・・・




『あんさんが、さくらはんやな?うちは真はんの知り合いの、「お梅」っちゅうもんどす。よろしゅうに。』
「は・・・はい。あっ、わたし嵯峨野さくらです!」
『サガノ・・・綺麗な桜が咲く平安のあの地が由来になった、ええ名字やわぁ。あぁ、ちなみにさっきバランはんを捕まえてたんはうちなんよ。なんせ、さっきのバランはんはほっといたらとんでもない事をやらかしそうやって・・・まぁ、全部思い出せば分かる話どす。
真はんとさくらはん、ちょっとこれ見て。』




するとお梅さんはおれからしたら小さめで、お梅さんからしたら大きめな、牛の顔が彫られたサビだらけの青銅の鏡を取り出し、おれとさくらに向けて見せた。
でも鏡には普通に、おれとさくらが写っているだけだ。




『鏡は真実を、ありのままを写し出す道具・・・さぁ、これで前の自分を思い出しやす・・・』



・・・でも、裏返して見せた反対側の鏡にはおれとさくらじゃない、教科書で見るような平安貴族みたいな男の人が写っていた。



「・・・!!」



そして、その瞬間・・・おれの頭の中に、ものすごい数の誰かの記憶が流れ込んで来た。







桜と、梅と、松の木。


こっちを指差して怒鳴って来る、平安貴族達。


いるだけで嫌になりそうな、あちこち古ぼけた屋敷。


抱き付いてる、お梅さん。


お梅さんと、一緒にいる顔に見覚えがありそうな子供達・・・




目眩がしそうになる・・・
こんなの絶対知らないはずなのに、なんでか覚えてる・・・
なんでだ・・・?




「ま、まこと、ちゃ・・・!?」



鏡に写った平安時代の男の人を見たわたしは、真ちゃんの様子が変になった事を気にする間もなくなるくらい・・・涙があふれて来ました。
どうしてでしょう・・・?この人を見ていると、涙が止まらないのは・・・
悲しいからではなくて、嬉しいからあふれるこの涙は・・・一体、なんなのでしょう?







――・・・ウメ、御前は若しや既に出会って居たと言うのか・・・?
ドウシンに・・・!




『そや。出会い自体は偶然やったけど・・・必然やったって事どすな。あとは、あの2人が全部思い出すだけや・・・』






・・・やっと、分かって来た気がする。
きっとおれは、生まれ変わりなんだ・・・











あの、菅原道真の・・・!
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