‐バラガミ‐ 今によみがえる飛梅伝説(総天然色版)











「東風吹かば、匂いおこせよ、梅の花、主無しとて、春を忘るな」
[訳:春の東風が吹くようになったら、花を咲かせて香りを届けておくれ、梅の花よ。
私がいなくても、春を忘れないでいておくれ。]


(寛弘2-3年、『拾遺和歌集』巻第十六「雑春」より抜粋。)






延義元年(西暦901)。
平安京の貴族、菅原道真はその類い希な才能から藤原時平の嫉妬を買い、彼の策略によって太宰府への左遷を命じられてしまいました。
道真はとりわけ愛でて来た、屋敷内に咲く梅・松・桜の木との別れを惜しみ、上記の歌は梅の木に対して詠ったものとされています。



それから、梅と松は道真への思いを募らせ・・・遂には京を飛び去って、道真のいる太宰府を目指しました。
松は道中力尽き、摂津国に根を降ろしましたが、梅は一晩をかけて道真のいる太宰府へたどり着きました。
これを「飛梅伝説」と呼び、梅は今も太宰府天満宮で立派な花を咲かせ、松も兵庫県神戸市の須磨区板宿町にある「飛松岡」と言う丘に存在するとされています。
ですが、唯一京に残った桜は道真がいない悲しみからみるみると葉を落とし、最後には枯れてしまったとされています。






そして、今からお話するこの物語は、遥か1100年の年月を経て現代に起こった、飛梅伝説の続きとなるお話なのです・・・
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