‐Geek‐ 好きこそモノの上手なれ









「最終確認も済んだ・・・本当は今、後藤君の「真理」が覚醒するってのが理想なんだが、贅沢も言っていられない。」
『ガハハハハハ!!所詮は、駒が作った道具に過ぎん!我には敵わぬわ!』
「くっ・・・ジジイ!何とかならねぇのか?」
「・・・待たせたな!今がその時だ!MOGERAの真の姿を見せてやろう!
GR-1!MOGERAと合体しろ!超ラ級のエンペラーでZEROなファイナルフュージョンで天元だろうが何だろうが突破しやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」




地球では、MOGERAがオルガ相手に劣勢となっていた・・・が、ここで関口が奥の手を発動。
関口の最高傑作であるナノマシン製ロボット・GR-1こと「ジャイアント・ロボ」が粒子と化してMOGERAと一体化し、それをトリガーとしてMOGERA内の「G」動力炉がフル稼動。
それと同時に、MOGERAに搭乗していた銀河・凱吾・ウルフ・ムツキはそれぞれの声が直接脳内に聞こえるようになったり、自らがMOGERAの目となったかのように外が見えたり、MOGERAをまさに自分の手足として操縦出来るようになっていた。
とどのつまり、銀河達とMOGERAが一つになったのだ。




『な、何が起こってるんだ?』
『何が起こった?』
『凱吾の声が直接頭に聞こえるぞ?』
『本当!信じられないわ!』
『つまり、意識をこの機体のシステムの一部にした訳だな。完全な生体ネットワークという事か・・・』
『『『ウルフ!』』』
『ふっ・・・驚くことはない。種が違えども、意識という概念においては何も変わらない。面倒な翻訳システムを介さぬならば、互いの意思疎通も容易い。』
『・・・ウルフ、結構話すんだな?』
『銀河、何か文句でもあるのか?』
『・・・いや?』
「どうだ?これが真MOGERAの力の一つ、言うなればシンクロだ。」
『如何にも関口さんらしい発想だ・・・一つってことは、他にもあるんだろ?如何にもな力が?』
「当然だ。今MOGERAの機体はGR-1と一体化している。つまり、ナノマシン状態は不可能だが、その他のことなら大体の事が可能だ。残弾数も形状も一切制限はない。要はパレッタさんの「想造」と似たようなもんだ!全てはお前らの「想像力」が武器になる!間違っても、マシュマロを食べたいなんて想像するんじゃないぞ!」
『悪いが、ふざけるつもりはないぜ・・・!あの創造主気取りの化け物に、引導を渡してやらなきゃならねぇからな!』
『あぁ!俺達は生きている!決して駒なんかじゃねぇ!』
「よし!なら、見せてやれ!お前らの本気を!人の根性って奴を!」
『雑魚が幾ら集っても雑魚だ!ただの「人」に成り下がった「佛」など、我の脅威になるものか!!』
『だったら、味わうんだな・・・お前が作り出し、道具とし続けた「人」の力を!!』




真MOGERAの力・・・一つは、「G」動力炉内の緋色真珠の四大元素を引き出す為に「時間」と「空間」の相互力を、四神と巫子・巫師とを繋ぐ勾玉のリンク能力を参考にして擬似的に再現した事による、パイロットとMOGERAとのシンクロ能力。
もう一つは、パレッタ曰くの「隠し味」・・・彼女の「想造」を再現した粒子と、「時間」「空間」機構によって緋色真珠が無限に生み出す四大元素に加え、朱夏が残したバタフライエフェクト発生システムにより、パイロットの「想像力」をあらゆる形で具現化する能力・・・パレッタが名付けたその能力の名は、「クーソーゾー」。




「いいぞ!一気に畳み掛けろ!必殺技だ!」
『必殺技?』
「とりあえず、お前らの意志を一つにすりゃいいんだよ!根性でどうにかなる!」
『そんな無茶苦茶なぁ!』
『ふっ・・・つまり、四人で攻撃のイメージを一つにして、その技を実行すればいいんだな?』
「そう言うことだ!しかし・・・本当によく話すなぁ?」
『だったら、手っ取り早い!巨大なドリルであいつに風穴を開けてやればいい!』
『わかったわ!』
『了解した!』
『御意!』
『よっしゃぁぁぁ!理屈なんざどうでもいい!蛾雷夜ぁぁぁっ!!これが、俺達の力だぁぁぁぁぁぁ!!』
「技名は思いついたものを並べりゃいいぞ!重要なのは意志を一つにすることだ!」
『ファイナァァァルッ!!』
『ジャイアントッ!』
『レバレッジ!』
『スパイラルゥゥゥ・・・インパクトォォォォォォォォォォォッ!!
蛾雷夜よ、砕けちれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』
『人間がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!』




凱吾達のイマジネーションが「クーソーゾー」で形となった、真MOGERAの天をも貫く巨大なドリルがオルガを穿ち・・・創造主・蛾雷夜は自らが生み出した駒・人間の思いの力の前に、敗れ去ったのだった。




『おおおおおおおっ!!これがモゲちゃんの・・・もぐもぐ。「G」動力炉の、真の力なのね!!あたしはこれをずっとずっと見たかったのよ・・・!もぐもぐ。』
「ねぇ、食べるか叫ぶかどっちかにしたら?」




見事蛾雷夜を討ち取った真MOGERAの勇姿を、約2000年振りに陽の目を見た「G」動力炉の真のパワーを目の当たりにした「想造」主・パレッタは沸き上がる歓喜を抑えられず、時空の裂け目の間を跳ね回りながら絶叫し、菜奈美から半ば強引に許可を貰って食堂から持参したお菓子を口にする。




『それにしても、「G」動力炉の力を完璧に引き出すなんて流石は関口君ね!見た目は残念になったけど、頭はキレキレにキレてるね・・・もぐもぐ。』
「だから、ナイスミドルと呼んで下さいって!そんなわしが言うのも何ですが、アレはよくばりセット過ぎる・・・その隠し味を完璧に引き出す為に、宇宙戦神を解析した予備機のGR-1を用意する事になりましたからね?紛い物だろうが「真理」でも無ければ不可能でしたよ。」
『そりゃそうよ!だってあたしの・・・もぐもぐ。』
「まぁそのお陰で蛾雷夜を倒せましたし、これから立ち向かう和夜にも一矢報いる事が出来るかもしれない・・・改めて、感謝します。」
『よいぞよいぞ☆苦しゅうない・・・もぐっ。
あっ、それから確認なんだけどさ・・・あの「帝国」の超お尋ね者の渚ユウジって、やっぱり関口君?』




お菓子を食べ終えたパレッタは先程までのハイテンションさとは一転した、少しの不安と怒りと悲しみ・・・様々な感情が入り交じる真剣な眼差しを向けながら、関口に問う。
関口もまた、約2000年の悲願と策略が実を結び、支配者面をした邪悪な者達への逆襲が成されて行く様を何処か楽しんでいる様子であった先程までの蛾雷夜戦とは違う、これより裁きを受ける罪人を思わせる真剣な様子でパレッタと目を合わせ、一言返した。




「・・・だと言ったら?」
『やっぱり?うんうん、あたしの勘もまだまだいけるわね♪そっか・・・2000年間、色々お疲れ様☆
・・・それと、おかえり。』
「・・・ただいまです。」




こうして、「好きこそモノの上手なれ」・・・「Geek」な者同士は、笑顔で真の再会を果たしたのだった。








『光になれぇぇぇぇっ!!
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』
『闇にかえれぇぇぇっ!
おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』
『『まだだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』』




その後、デス・スター内で「真理」を取り戻した銀河は月面で和夜と死闘を繰り広げ、その果てに2人は人を超越せし神に近しい存在「佛」へと昇華(アセンション)し、「組織者」が不在になった事で烏合の衆に変わり果てた月ノ民側の「G」は全滅。
「月ノ民大戦」は、人類側の勝利に終わった。






「じゃぁ、俺もそろそろ行くかな?」
『行くって・・・どちらへ?』
「まぁちょっとな。このまま1人で死ぬっての寂しいから、少し婚活してくる。」
『はぁ?』
「五月、終わったか?」
『えぇ。今、凱吾に伝えることも伝えたので、ここでやるべきことは全て。』
「わかった。じゃあ・・・俺も道中、少しの間だけでいいから連れて行ってくれ。」
『どういうことだ?』
「まぁ長生きしすぎたからな。死に場所を作りに行くだけだ。そのついでに伝言があるから、2042年にも寄ってくれ。」
『いいですよ。』
『もしかして、関口殿が凱吾殿を送る前に言っていた「未来からのメッセージ」は、関口殿自身からのものなのか?』
「あぁ。事実なんてそういうもんさ。」
『その後は、いつに行くつもりなんだ?』
「・・・平安時代だ。
・・・さ、五月。連れて行ってくれ。」
『ふふっ。では、皆さん、お世話になりました。』
「あと・・・パレッタさんに、宜しく言っといてくれ。それじゃあ・・・」






・・・パァァウォォォウゥ・・・




ーー・・・おいおい、クリスマスはとっくに終わっただろ?
チャンスなら沢山あったのに、最後にお前を見たのは何百年振りだったっけか・・・
なぁ、コンドウ君。パレッタさん。




そして、関口は数ヶ月遅れの最後のクリスマスプレゼントを受け取った後、レイアと共に過去への旅に出掛け、その後二度とパレッタ達の前に現れる事は無かった。






『・・・も~!何が「パレッタさんによろしく」、よ!今度はあたしに黙って過去に行っちゃうなんて!やりたい事やり尽くしたみたいだし、どうせもう帰って来る気ないんでしょ!最後の最後まで自分勝手なんだから!菜奈美ちゃんに頼んだり、またタイムマシンを作ったら昔のキミには会えるけどさ・・・「今」のキミじゃないと、会っても意味無いのっ!
・・・だから、せめてむ~かしむかしでゆっくり幸せに暮らしてね?関口君。
じゃあ・・・バイバイ!』




戦いが終わり、ガラテアとムツキを新たなメンバーに加えた「日本丸」の甲板。
菜奈美お手製のおにぎりを右手に、平安時代に大中臣清麻呂に支えた謎の老人「渚の翁」の資料を左手にして、パレッタは漸く晴れた快晴の青空を見上げながら、今度は涙一つ流す事無く・・・「マブダチ」へ贈る、別れの言葉を叫んだ。






そう、パレッタは決して忘れない。
彼と過ごした日々を。
彼と分かち合った喜びを。
そして、彼との「約束」を。










『・・・あ、おかえりついでに2000年前の「超お尋ね者になるな」って約束破っちゃった罰として、今すぐハリセンボン飲ませるからよろしくね☆』
「・・・・・・ゑ?」






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