‐Geek‐ 好きこそモノの上手なれ











「パレッタさん、貴女を「想造」の爾落人にして「G」の探求家、そして至高のクリエイターと見込んで、一つ頼み事をしていいですか?」




数時間後、ニューヨーク会談中に起こった異形の「G」・ゼノモーフ達の襲撃により、会談に出席していた仲間の身を案じた一樹は退席。
桐生もパレッタから聞いた父・篤之の話を元に、父の「G」研究を改めて洗い出したくなった事から共に退席し、カルテットは自然に解散。
関口もまた格納庫を出て、煙草を吹かしながら近隣の駅への近道となる路地裏を歩いていた・・・何故か、パレッタ同伴で。




『なになに?どうしたの、関口君?と言うか、何処行こうとしてるの?』
「それは内緒で。まぁ、これから話す頼み事も絶対に内緒にして欲しいんですけど・・・貴女に、「G」の永久機関を造って貰いたい。」
『「G」の永久機関?』
「んで、これがそいつの設計予定図です。「G」兵器の元祖になったガンヘッドのエンジン辺りに・・・と言うか「G」兵器にならだいたい詰め込めるオールマイティーさが理想なんで。」
『ガンヘッド?うわっ、ととと!』




関口は懐から取り出した銀色の筒状の物体をパレッタに投げ、落としそうになりながらも物体を受け取ったパレッタは筒を割くように開き、表示された半透明の画面を確認する。
「「G」Reactor」と題されたその画面には、ガンヘッドの動力部に酷似した・・・だが1ヶ所だけ明らかに違う、中央部に「?」としか書かれていない設計図が描かれていた。




『「G」、リアクター・・・「「G」動力炉」?これ、ガンヘッドの動力部の設計図だよね?あたしもエアロ・ボットちゃんを造った時に参考にした事あるし・・・でも何で、エンジンの所が「?」なの?』
「そこが、貴女だからこその頼み事なんですよ。俺は「G」で永久に動き続ける無限機関、その「「G」動力炉」をいつか完成するMOGERAの心臓部として組み込みたいと思ってます。桐生さんや宮代君にそう言うクリエイティブな人にアテがあるか聞こうと思っていたら・・・貴女が来た。運命なのか因果なのか、それとも必然なのかは分からないが・・・きっと、これは貴女に頼むべき事だと思ったんです。まぁ、何をするか分からないダークホースに賭けるのも、競馬の一興ですからね?」
『うーん、競馬は知らないけど・・・何かとっても面白そう!今あたしはそう思ってるよ♪』
「そうですか。じゃあ、改めて・・・この「G」動力炉を、なるべく6年以内に造って欲しい。動力は「G」で動く永久機関のみ、しかしその永久機関をどう作るかを考えないと完成は不可能な、曼陀羅を解くかの様な無茶苦茶な頼み・・・でも俺は、だからこそ貴女に賭けてみたいと思う。
あと、さっきも言いましたが「G」動力炉の存在は極力誰にも知られないようにして欲しい。こいつが完成すれば如何なる脅威、まぁ『仮想敵』とするとしてそんなヤツが襲って来ようが、戦況をひっくり返せる存在になる・・・だが、そんな存在を敵味方に関係無く知られてしまえば、少なからずそれだけで何かしらの影響を与えてしまう。余計な情報は歴史のイレギュラーを無くすんです、良くも悪くも・・・要は造った所で歴史に残らないかもしれない、残ったとしてもいつになるかは保証出来ない。それでも、俺と相乗りしてくれますか?」




口から紫煙を吐き、上着の内ポケットから出した吸い殻入れに煙草を突っ込んだ関口は、真剣な表情でパレッタに頭を下げた。
今まで、サラリーマンとして数え切れない程に下げたどの頭よりも深く、かつ誠実に。




『・・・うん、分かった!永久機関は造った事無いけど、そろそろやってみよって思ってたし、何より今日一番関口君がマジメな感じだし・・・その相乗り、乗った!』
「あ、ありがとうございます!」
『イイって事よ♪だから面(おもて)を上げなさいな?』
「では遠慮なく、ははぁ~!」
『うんうん、でもやっぱり関口君はそう言うノリじゃないとね♪実はあたしも今「G」動力炉の話聞いて、運命とか因果とか必然を感じちゃったし☆』
「ん?それは一体どう言う事で?」
『いやね、9年前に初めて菜奈美ちゃんとコーちゃんに会った時に、あたしがいつかタイムマシンを造って2019年の菜奈美ちゃんに会いに行く、って聞いてたんだ。それからタイムマシンなんてどうすれば造れるんだろ?って考えてたら、手段はともかくエネルギーは永久機関しかあり得ないかな?って思ってたとこに、関口君から永久機関を造ってって頼まれた!これはつまり、近々あたしは永久機関を造って念願のタイムマシンを造れる!って事でしょ?』
「ううん、タイムパラドックス問題はともかく、経験としては理屈が通っているのか・・・?」
『あっ!そうそうもう一つ!「G」動力炉を造る代わりに、あたしからもお願いがあるんだけど・・・ガイガンちゃんに使われていた「G」無効化装甲の情報を、あたしに一切合切差し出しなさいっ!』
「「G」無効化装甲?別にWin-Winって事で良いですけど、何かに使うんですか?」
『いやね、15年くらい前に知り合いの蘭戸弦義って子から、何でも吸い込んじゃう愛刀の「G」を抑える鞘を作って欲しいと頼まれてさ、コンちゃんからクレプラキスタンにあったブルーストーンが「G」を無効化出来るらしいって聞いて、参考にしようと思ったらアントラーとビオランテ退治に使って行方不明になっちゃうわ、挙げ句の果てに「殺ス者」とか言うのに取り込まれちゃうわ、「G」無効化装甲を持っていたガイガンちゃんもこの時におじゃんになっちゃうわで、どうしよ?と思ってたら・・・2029年の年末に未来のあたしからのメッセージ付きで、完成した「G」を無効化出来る鞘があたしのアトリエに降って来たの!これってつまり、タイムマシンを使って過去のあたしに鞘を送ったって事だし、「G」を無効化出来る方法をあたしが知れるのって、今でしょ?』
「まぁ、そうなるか・・・じゃあ、やっぱりこの出会いは偶然じゃ片付けられないって事になりますね?」
『そだよ!あたしと関口君も「G」友のオフ友なんだから、いっそお祝いしない?』
「お祝いしたいのは山々ですが・・・ちょっとこれからヤボ用があるんで、それを片付けてからで。「G」無効化装甲のデータは必ず送りますんで、安心して下さい。じゃあ、今日は色々ありがとうございました。」
『しょうがないなぁ~。約束だよ、関口君!じゃあね~っ!!』




手を振る代わりに指切りのポーズで関口を見送るパレッタと、同じく指切りのポーズで応える関口。
パレッタに背を向け、新たな煙草を吹かしながら歩き出す関口の顔は、これから悪事をしでかそうと目論む悪童そのものであった。




ーー・・・さぁて、愛しのお姉さんを拐いに行くぞ?凱吾。
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