‐Geek‐ 好きこそモノの上手なれ
それから長い時が経った、西暦4010年。
未来の世界は今、2042年のニューヨーク決戦で銀河と共に消滅しながら、「万物」の爾落人となって蘇った男・和夜と、彼によって記憶を取り戻した蛾雷夜、夥(おびただ)しくも有耶無耶な「G」と言う意志無き駒による「月ノ民」・・・関口が予見した「仮想敵」による侵略を受け、前代未聞の危機に陥っていた。
しかし、関口による打開策として「G」動力炉と共に4010年に送られた凱吾、国境なき旅団「日本丸」として約1000年にも渡って世直しをしていた菜奈美率いる爾落人チーム、現在のユーラシア大陸全体に当たるコロニー群「連合」・アメリカ大陸全体に当たるコロニー群「帝国」の戦士達、そしていずれにも属さない爾落人達が立ち上がり、今ここに「月ノ民大戦」と呼ばれる世界大戦争が開幕した。
かつてアメリカ合衆国ニューヨーク州と呼ばれていた大陸東部の荒野にあるコロニー、「帝国」第二東岸領は「帝国」建国以前に作られた世界最古のコロニーの一つである。
3756年4月 渚ユウジ寄贈
「み・な・ご・ろ・し・・・覚えやすいな?」
その戦争の宣戦布告より少し前、さながら「万里の長城」を壁にしたと表現するに相応しい程に巨大な城壁を持つ要塞都市、「帝国」第二東岸群コロニーの城壁に埋め込まれた英文のプレートを見ながら呟くのは、2042年にニューヨークで和夜と共に消滅した際に「G」動力炉を使った反動で、「真理」を「G」動力炉に封じられながらも2000年の時を超え、再び地球に帰還した銀河であった。
それから幸か不幸か、歴史あるマフィアの一団に拾われた銀河はコロニー内に入り、マフィアと警察・軍、先のプレートを寄贈した「帝国」コロニー破壊工作活動の指名手配犯である渚ユウジなる者の第三勢力・・・三つ巴の抗争に巻き込まれ、異世界よりの剣豪・朱雀火漸や異星人の狩人・ウルフ・ザ・クリーナーとの出会い、コロニーを守護する警察のトップであるサイボーグ人間・ロボコップや軍のトップである蜘蛛男・スパイダーマンの登場、渚ユウジが送り込むアンドロイド・ターミネーターの無差別攻撃により、かつてのニューヨークであった地はカオスの様相を示していた。
「ほぅ。T-800が二体もやられるとは、なかなかやるなぁ・・・ただの「G」か犯罪者崩れの爾落人かと思ったが、久しぶりに面白いじゃねぇか?」
そんな第二東岸群コロニー地下、一面を複数のモニターが埋め尽くす無機質で不気味な空間。
そのモニタリングのちょうど中央に置かれた椅子に座りながら戦いを監視する、1人の老人がいた。
ボロボロの白衣、枝のように細い手、枯れた声は否応なしにこの男が老いの果てにいる事を示していたが、何処かエネルギッシュな雰囲気もまた感じさせ、傍らに置かれた無数の吸い殻が詰まった灰皿と空間に舞う紫煙、今まさに口に加えた煙草がこの男が老いてもなお喫煙を止めないヘビースモーカーである事を示す。
男が左手を宙で叩くと、指が叩かれた空間が一人でに点灯し、両手でキーボードを叩くかの如く慣れた手つきで空間を指で弾くとモニターの一つが拡大され、銃器が表示された。
「わしお手製のレールガン・イレイザーを相手にどうするか、見物だな?」
ーー・・・しかし、今のわしを見たらパレッタさんはさぞ怒るだろうなぁ。
お尋ね者には絶対なるな、って言われた気がするが・・・今や立派なお尋ね者だしな?
だが、わしの見立てが正しければ近い内に和夜が行動を起こし、「日本丸」にも手伝って貰う事になる。そうなれば・・・ここらが潮時、って事か。
なら、今の内にせいぜい自由なマッドサイエンティストライフをエンジョイさせて貰おうかねぇ・・・!
「GR-1」と印字された巨大な一つの黒い球体が背後に鎮座する中、まるでゲームをプレイする子供のように無邪気に、だが不敵に笑う老人。
この老人こそが、件のお尋ね者にして自称「帝国」一の発明家・渚ユウジであり・・・
「俺は、ここにいる・・・だから、もういいんですよ。関口さん。」
「後藤君・・・」
2046年の沼津防衛戦より自らの存在を殺し、「渚ユウジ」と名を変え、かつて運命的に出逢いながら自分を庇って息耐えた「身尽」の女性(ヒト)・村崎明に与えられた寿命を使い、約2000年間生き永らえていたあの男・・・関口亮であった。
『・・・すまないが、会話に割り込ませて貰うよ?』
『ホーリーナイト!』
『レイア、無事で何よりだ・・・これより、君達と全地球人類に対して、我々「月ノ民」は宣戦布告をする。目的は人類の抹殺とレイアの引渡し。そして、後藤銀河との決着だ。』
「どういうことだ?アイツはニューヨークで死んだんだろ?」
『確かに、一時的にはな。俺も含めて。』
「え?」
『なぜ、我々が君が現れた時に行動を起こしたと思う?
・・・答えは、これだ。』
「なっ!?お前はニューヨークで後藤銀河と戦った、和夜とか言う爾落人!」
「そういうことか!だから、今になって行動を!」
『これで、俺がお前が現れたと同時に再び動き出したか、理解出来ただろう?』
「あぁ・・・」
『レイア・・・いや、レイア・マァトよ。お互い演技は終わりだ。』
『その様ね。私もやっとあんたの監視から解放されて清々するわ?』
『相変わらず、口が減らないな・・・だが、それも今だけだ。「デス・スター」は惑星一つを破壊するだけの力を持つ。勿論、地球も例外では無い。』
「!」
『俺はデス・スターで待つ。猶予は24時間!それまでに後藤銀河が俺との決着を着けられなかった場合、または「月ノ民」による攻撃で貴様らが全滅した場合は猶予前に地球を破壊し、全人類を抹殺する。』
「つまり、24時間以内に俺達が生き残るか、銀河がお前に勝てばいいんだな?」
『そうだ。もしくは後藤銀河が完全に死ぬか、レイアが無条件降伏して俺に服従を誓った場合も、同様に一切の攻撃を中止しよう。』
「あくまでも中止か・・・」
『お前達、もしくは後藤銀河と24時間以内に会えることを、楽しみにしている!では!』
その後、「帝国」の支配者「ホーリーナイト」こと和夜による宣戦布告が世界中に流れ、銀河は関口とウルフ、平行同位体である朱雀と共鳴して目覚めた四神・ギャオスと共に日本・J.G.R.C.沼津支社跡地へ向かい、2000年間MOGERAのボディを守りながら銀河の帰還を待っていたガラテアと再会。
「連合」極東コロニー代表・ローシェ達、「帝国」極東コロニーの代表となっていたレイア、「日本丸」を出て単独行動をしていた瀬上の協力を得て、「G」動力炉を沼津に持ち込んでいた凱吾とも合流。
和夜の、自らの野望を果たさんと再び沼津に現れた蛾雷夜・・・オルガの出現に、「G」動力炉の搭載とOSとしてMOGERAの中で2000年間眠っていたムツキの目覚めにより、遂にMOGERAが起動。
「・・・ムツキさんよ、そこになんでいるんだ?」
『関口さんに頼まれて、MOGERAのOSを引き受けました。』
「いつ?」
『2046年のあの戦いの最中です。』
「松田明日香に破壊される前にか?」
『はい。』
「「・・・」」
「いやぁ、言ったつもりだったが・・・どうやら忘れてたみたいだ。ほら、あの時かなり場が混乱していたし・・・」
「そもそも俺達はあんたが生きていることすら知らなかったんだが?」
「いや、それは戦略的な事情で蒲生との秘密にした。ちなみにパレッタさんと桐生さんにも教えていたんだが、蒲生と桐生さんは墓まで持ってったみたいだなぁ・・・」
「「・・・」」
『関口さん?これでは言い逃れできませんね?』
「あんた、思っていたより詐欺師の素質があったんだな?」
「後で元刑事として、パレッタに根掘り葉掘り問い質してやる・・・」
関口の2000年にも及ぶ嘘と秘密が暴かれる中、オルガと激戦を繰り広げる事となった・・・
『意志を持たない「G」ばかりを和夜は送り込んだようですね?』
「そんなもんは分かりきっているさ。しかし、形勢は変わった。ここまでの和夜は、あくまでもあんたと銀河を引っぱり出す為の戦争を行なっていたからな。」
『・・・手段を選びませんね?相手が手段で起こした戦争を本当の戦争にさせたわけですか。最低ですよ?』
「中途半端な事をされては、こっちがいくら戦略を練っても相手の心臓を貫くことは出来ない。同じ土俵に出て貰わなきゃな。敵も、味方も・・・瀬上さん、桧垣さん達は上手くやってくれたかね?」
「俺に聞かれても知るわけないだろ。ずっとここにいるんだからな・・・まぁクーガーもいる。ミスはしていない筈だ。」
『どういう事ですか?』
「このジジイの策略さ。自分が生きて戦いに参加することなんざ、一切俺達に黙っておいて、2000年も前にこの戦いの大筋を作り上げていたんだ。それがあったから、俺は凱吾と「G」動力炉を追って極東コロニーに現われた訳だ。菜奈美の「時間」で凱吾を見つけるよりも、レギオンの数で「G」動力炉を見つける方が早いからな?」
『しかし、それなら生きていることを我々に伝えてもいいだろう?』
「俺は和夜にとって元共犯だ。生きていることが万が一事前に知られれば、利用されるか、消されるかのどっちかだ。俺の得ている情報はあくまでも断片的な未来の事象についてのものだけだ。細かな戦況の変化までは知りえない。相手の懐に飛び込んで仕掛けを施すには別人になっている方が都合がいいからな?」
2000年の幾星霜を経て大地に立ち、蛾雷夜が送り込んだイリス変異体を苦も無く撃破したMOGERAの姿を目にしながら、関口の脳裏に浮かんだのは・・・今なお忘れ得ぬ、2000年前の初代J.G.R.C.社長・麻美帝史との共謀の記憶。
全てはあの日、自分のせいで命を落とした村崎を取り戻す為の術であったが、関口はそれを麻美のバックにいる和夜がいつか起こす戦いから未来を守る為の術としても使う事にし、村崎の細胞を「時空」の赤子の素体として草体に組み込んで「レイア」と言う存在として村崎を実質転生させ、2000年掛けて自らをも作戦の駒として張り巡らせた策謀が、いよいよ結実の時を迎えようとしていた。
「・・・五月、面倒なフィルタリングはもういい。蛾雷夜と和夜の繋がりを完全に遮断し、代わりに中華コロニー群にいる桧垣さん達と空間を繋げてくれ。」
『もう畳みかけるんですか?』
「まだ、こちらの手の内全てを晒しはしないさ。それに強襲は相手を必要以上に刺激する。目的は終戦交渉、ないし行動の掌握だ。勿論、落とし時まではそれを気づかせないのも戦術だ・・・」
ーー・・・さぁて、いよいよ再会の時だ。
それを察した関口はある「覚悟」を決め、沼津防衛戦中に後の自分自身によって2022年の元紀・五郎の元に届けられ、彼らの子として育てられた際の名前「五月」でレイアを呼び、指示する。
レイアは言われるまま「時空」の力で時空間の歪みを生成し、遠く離れた中華コロニー上空にいる「日本丸」と旧沼津のJ.G.R.C.開発部跡地とが、裂け目一つで繋がった。
「え・・・関口さん?」
「よう。上手くやってくれたみたいだな?今は『そこ』を隠すだけにしているんだよな?」
『お久しぶりです・・・ほほぅ!そういうことですか。中々やりますね、関口さん?』
「話の早い奴がいてくれて助かる。んで、どうなんだ?」
『はい。全て計画通りです。現在、我々の行なっているのは「隠す」のみです。』
「じゃあ、「思念」のお姉さん・・・ハイダさんと、パレッタさんもそこにいるんだな?」
『こちらの情報は把握済みというわけですね?』
「まぁ、今現在「旅団」の代名詞が蛾雷夜一派か、あなた達だったからな?」
『そうですね・・・ハイダさん?パレッタさん?』
『はい?』
『・・・あっ!関口君だ!超おひさ~☆』
クーガーに呼ばれ、彼の横にやって来たハイダとパレッタ。
突然のご指名に困惑するハイダに対し、一目で老人が関口だと分かったパレッタは喜びの余り、満面の笑みで裂け目を越えようとする。
菜奈美が慌てて制止するが、こうしてクリエイティブ仲間な「マブダチコンビ」は約1964年振りに、唐突に再会した。
『もぅー、いいじゃん。あたしの転送装置かどこでもドアみたいなものでしょ?』
「いや、原作のドラえもんよりよっぽど意地悪だ。」
『・・・空間閉じましょうか?』
「・・・まぁ、本題に入ろう。細かい経由はクーガーさんに「視解」して貰って聞いてくれ。重要事項だけを伝える。ハイダさんには八重樫さんと一緒に「真理」の爾落人・後藤銀河のフリをして欲しい。既に、第二東岸領の「心理」の爾落人に後藤銀河役をやって貰っている。」
「つまり、情報を混乱させるわけね?」
「そう。その瞬間に恐らく大量の「G」が送り込まれるが、戦力的に対応可能で?」
「2046年の戦いよりも過酷?」
「あの時とは状況がまるで違う。防御ではなく、攻撃だ。それに、30分と要さずに次の段階に進める。」
「次の段階?」
「・・・本物の後藤君を出す。」
それから、銀河によって「心理」の爾落人としての自分を取り戻したロボコップことアレックスと、ハイダの「思念」と八重樫の「捕捉」を使い、「「真理」の爾落人が帰還した」と偽装。
その情報がブラフだとも知らず、銀河の帰還に焦った和夜は関口の策にまんまと嵌まり、大量の「G」を送り込むも銀河・ガラテアが習合(シンクレティズム)せし「真理」の鎧・宇宙戦神は一向に現れず、再び目覚めたギャオス以外の四神達や黄を始めとした異界の神々、そして爾落人達の奮闘によって続々とただ自分の駒だけが無駄に消費されて行く現状に和夜は怒り、戸惑う事しか出来なかった。
『・・・っ!なにっ?怪獣?これは地球に存在している「G」・・・いや、まさか「ヤツら」が現れたとでもいうのか?』
宇宙空間に浮かぶ、機械仕掛けのもう一つの月「デス・スター」の中枢部。
その中で何処か蛾雷夜の面影を感じる、細い目が特徴的な美麗白眉の少年・・・「万物」の爾落人・和夜は今もまた、人がいない筈の大西洋上に待機させていた巨大「G」までもが謎の巨大「G」によって次々に倒され、更に数体の巨大「G」が世界中で続々と自分の巨大「G」を倒していると言う結果だけを知り・・・それはレイアによって蛾雷夜との通信が不可能になり、地球側の情報が掴みにくくなった和夜にとって、その事実は詳細不明の・・・いや、考えうる限りで最悪の想定が的中したと言え、確かめる為に和夜は自らの意識を大西洋上で今まさに死を迎えようとする巨大「G」・ライジュウへと飛ばした。
「『ブレイ・・・インパクトォォォォォォォォッ!!』」
ヴォウァァァァォォオン・・・
視界に飛び込んで来たのは、少年・ソウと少女・ネウの重なる叫びと共に海中で火球を放つ、亀に似た巨大「G」・・・かつてと若干違う岩山の様な姿をした四神・玄武にして、約2000年前に人々から「守護神」と讃えられし者・ガメラの姿であり、ライジュウはガメラの火球「ブレイ・インパクト」によって全身を滅却され、同時に和夜の意識が元に戻る。
『玄武・・・!馬鹿な、地球が・・・「ガイア」がまた、俺の邪魔をするというのか?』
ガメラの姿を目の当たりにして、アトランティス文明の支配者「アトラス王」、またの名を「ゴゥダヴァ」としての太古の忌まわしき記憶を呼び起こされ、唇を噛み締める和夜。
やや自棄気味になった和夜は、巨大「G」が続々と倒されているポイントへと意識を飛ばし・・・
「今度こそ、俺は守り抜く・・・ゴジラと共に。
鳴神龍神流剣術・・・激龍剣!」
ディガァァァァァァァァオオン・・・
「連合」中央コロニーの海岸では、弦義と共に青龍・ゴジラと「真なる呉爾羅(ゴジラ)」の青き熱線がゼノモーフを一掃。
『行くぞ、ギャオス・・・百式、改!!』
ギャァオォォォォ・・・
日本・旧沼津市では二つの朱雀・・・火漸とギャオスの斬撃が、巨大ジラ達を真っ二つにする。
「この感じ、2000年振りだな!だろ、アンバー!」
ーーはい。
再び貴方と身も心も一つとなるこの刻を、わたくしはずっと心待ちにしておりました・・・!
わたくし、心が躍ります!
『私と隼薙、そしてアンバー殿による究極の三位一体・・・止められるものならば、止めてみせろ!』
「そう言う事だ!だから大人しく、やられときやがれぇぇぇぇぇぇ!!」
グウィウォォォォォウン・・・
旧オーストラリア大陸・グレートバリアリーフ上空に浮かぶ「UMA」コロニーでは、白虎・アンバーと隼薙・アークが繰り出した台風クラスの嵐によって巨大「G」・バランガスの群れは瞬く間に遥か空へと舞い上がった。
『・・・!』
一応はこの地球で生まれながら、宇宙中の「G」を取り込む為に地球を去り、万年の年月を経て・・・1980年、月から巨大な蓮に似た舟に乗ってやって来た「かぐや姫」を気取り、地球に帰還すると共にまだ小学生であった麻美と接触したからか、それとも今は2042年のニューヨーク決戦後にウルフの故郷の星で再誕した正真正銘の「宇宙人」だからか、はたまた現在進行形でデス・スターの中で宇宙から地球を眺めているからか、母なる地球(ガイア)から排除すべき「外敵」と認定されてしまった、哀れな「万物」。
無論、彼の最大の罪はゴゥダヴァとして愛した女・神官マイトレヤこと、未来より贖罪の為にやって来たレイアを今度こそその手にし、マイトレヤを彼女の思惑通り殺し「た事になっ」た男・後藤銀河・・・かつてのアトランティスの神官ジェフティに復讐する。
そんな身勝手極まりない理由でこの地球に住む者達総てを危機に陥れた、その傲慢さである。
『中華コロニー群跡地の上空に現われた「旅団」に後藤銀河がいる。生存者を導いた。』
『ふざけている!後藤銀河がゴジラみたいに第二、第三と現われてたまるか!本物は・・・どこにいる?』
今もまた、コロニー間の通信で交わされたフェイク情報に惑わされ、第二東岸領コロニーにいる筈だと思い込んでいる銀河が、中華コロニーに現れた・・・つまり、新たな後藤銀河が現れたと解釈し、苛立ちを強くする和夜。
「神」になる筈だった男は、まるで仏陀の掌の上で踊らされる孫悟空のように、ただ長く生きているだけの「人」の頭脳戦に踊らされていた。