ホーリーライトニング伝説

閑話休題


その④ 教えてクーガーさん(女神と異世界)

「おい瀬上! 立ち上がるな! そして、画面にへばりつくな! 見えないし、それは空間の力で私が繋げているから何かイヤだ! 気持ちが悪い!」
「あなた、座って! 恥ずかしいから!」
『まぁまぁ、落ち着いてください』

 ひぃちゃんのはじめての冒険を鑑賞する保護者御一同。
 既にはじめてのホームビデオ鑑賞会の様相となっていた。

「…………しかし、あの勇者の話だけど」
「女神、考えるまでもないだろう。大体の原因は三佛だ」
「瀬上が言うと説得力があるな」
「大概巻き込まれてたものね……」
「つうか、他所の世界でも色々と火種になっていたのかよ。しかも女神なんて」
『女神と名乗り、並行世界と呼べる程に近いこの世界と近い別世界も次元としては並列なので、ある種彼女の管轄といえなくはありません。しかし、あの女神像は別ですよ』
「確かに勇者の話ではむしろモスラを連想するわね」
「ってぇことは、奴さんはアイツらが関与した世界から来たのか?」
『それも違いますね。類似した別個体というべきか、同じ位置付けにある存在というべきか。兎に角、別の方です。ギドラ同様に高次元の合理的な形、モスラもその一つです。加えてこの存在は鎧を纏っていたと思われ、三佛の鎧と同じような位置にいたと考えられます』
「つまり、私達の世界とかなり近い世界ということなのね?」
『そうです』
「それにしてはファンタジーが過ぎる気がするぜ? 平面世界だろ? あれか、まだ地球は平らなんだと考えている文明レベルなのか?」
『いえ、独特の歴史と社会構造はしていますが、文明レベルは低くありません。紛れもなく、彼らの生存圏は平面世界なのです』
「物理法則無視も甚だしいな、さすがは魔法ってことか?」
『瀬上さんの仰りたいことは最もですが、それはあくまでも彼ら住民の視点での話です。厳密にいえば、平面でなく僅かに凸状になっています。つまり、巨大な球の一部です』
「…………はい?」
『正確な歴史までは異世界なので視えませんが、勇者の平面世界とされるところは惑星でなく、「教団」の母星のように人工的に造られた、または作り変えられたものです。サイズとしてはそうですね、太陽系よりも少し小さいくらいのサイズで、恒星をそのまま核とした人工惑星といえばいいでしょうか。その地表部をプレートで組み上げようとしていた文明が遺した大地が平面世界の正体です』
「一気にファンタジーがSFになったな………」
「つまりは、超巨大な人工惑星か宇宙コロニーの成れの果てが平面世界というファンタジーということ?」
『流石、世莉さん。理解が早い』
「馬鹿にしていないか?」
『気のせいです。魔法も宇宙空間に生物を生存させる環境を作るにはそれ相応のシステムが必要です。その一つがあちらの世界での「G」であり、あちらは魔法と呼んでいる力を生み出す存在です。ひぃちゃんさんが見えているので、量子として存在しているとなります』
「ファンタジー世界はどこかに消えたな」
「それより、続きを私も観たいから料理は適当につまんでね!」
「いつの間に食事が………。こんなことに時間止めたのかよ」
「重要事項! 私も見たいのよ!」
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