爾落転換
「!」
一樹は転移で凌を避難させた。パレッタから見て死角の木の陰に隠す。仕方なくパレッタは時間拘束を解いた。
「(ナイスよ一樹!)パレッタ、どうすれば元に戻れるのかしら?」
「…あのロボットがオリジナルと同等のスペックであれば、同じことをさせて能力の移動させればいいと思うわ」
「なるほど!」
「二人ずつロボットの近くに送り込んで交換させるのを繰り返せばそんなに苦労はしないはずよ」
「なら、早速やりましょう。まずは一樹と世莉から」
「はい!」
一樹は世莉以外の一同を遠くへ転移させる。もちろんその際に凌とパレッタを離れさせるのも忘れない。遠くから皆が見守る中、凌機は鐘の音で能力を交換させた。
「…成功だな」
「これが捕捉?なんか酔う…うっ」
世莉に空間が戻り一樹に移った捕捉。見かねた世莉は一樹にエチケット袋を転移で渡した。間一髪間に合った様子の一樹。瀬上は菜奈美に促した。
「とりあえず時空を優先した方がいいな。次はお前とパレッタを移そう」
「それはそうだけどパレッタの時間は後よ。一旦でも私の視解が渡れば凌の居場所が割れてしまうわ」
「おい、なんかめんどくせぇよ」
「我慢して」
世莉は凌機から退避し、一樹の隣に八重樫を送り込む。
「八重樫さん、電磁のままのがいいんじゃないすか?」
「名残惜しくないと言えば嘘にはなるな」
「いや、八重樫さんに電磁までついちゃったらチートになっちゃいまオロロロロ…」
「おいおい…」
八重樫に捕捉が戻り、電磁が一樹に移る。気分が持ち直した一樹。今度は八重樫と入れ替わりで瀬上がやってきた。
「お前…大丈夫か?」
「大丈夫すよ…」
電磁が瀬上に戻り、思念が一樹に移った。世莉によって瀬上とハイダが入れ替わりで転移する。
「…大丈夫ですか?」
「大丈夫すよ…」
ハイダに思念が戻り、一樹に光撃が移る。ハイダと凌が入れ替わりで転移する。
「お前ぇ…パレッタ怒らすなんてすごいね」
「何も言わないで…」
凌に光撃が戻り一樹に想造が移る。凌とパレッタが入れ替わりで転移してくる。
「……」
「……」
パレッタに想造が戻り、一樹に時間が移る。パレッタと入れ替わりで菜奈美が転移してきた。
「パレッタどうします?」
「どうしても支障があるならほとぼりが冷めるまで時間を進めるわ」
時間が菜奈美に戻り視解が一樹に移った。菜奈美と入れ替わりでクーガーが転移してくる。
「クーガー、視解じゃなくなった途端にあまり喋らなくなオロロロ…」
「おやおや、視解で酔ってしまうとは」
クーガーに視解が戻り、一樹に変化が移る。クーガーとガラテアが入れ替わりで転移してくる。
「一樹トリニティ殿、大丈夫か?」
「なんかオレだけ入れ替わりのメドレーになっちゃってるけど大丈オロロロ…」
ガラテアに変化が戻り一樹に電脳が戻った。これで一件落着だ。パレッタの件以外は。
『あのおじさん…だいじょうぶデスか?』