爾落転換


一同の前に現れたのは、不可思議な突起物が生えた球体だった。体色は赤と青が混ざり合った不気味なカラーリング。鎧と融合した一樹とパレッタはここにきて違和感を覚える。


……あれ、これゾグと違う気がする…
……なんでかしら?


「なに…あれ」
「新たな敵か?」
「違うわ。あれは融合した一樹とパレッタよ」
「ゾグはどうした?」
「あの二人じゃ力が不完全でゾグは召喚できなかったみたい。あれの名前はブルトンね」


……そんなぁ!
……そんなことより、あのロボットが増えてるわ!


「安心しろ。もう一機は東條が想造した機体だ」


……そう…


「あれ、大丈夫なのか?」
「仮にも時空の鎧だから大丈夫だとは思うけど…」


……行くしかないわ。一樹。
……え?そ…そうすね。


今、初めてパレッタに名前で呼ばれた気がする。深くは気にしなかったが、パレッタも焦っているのだろうか。


……オレは一樹トリニティ。三つの絆と時空をむすび今、立ち上がる!


腹を括ったブルトンは転がってギャラクトロンへ接近する。凌機は戦線から後退した。ギャラクトロンはブルトンを新たな脅威とし、ビームを発射するも寸前に空間の歪みに受け流され着弾することはない。


「おぉ!」


飛び道具は効かないと踏んだギャラクトロンは接近してブレードで斬りかかるも、次の瞬間には転移で背後を取られ触れる事すらままならない。振り向き様に突きを見舞うも、ブレードだけ転移させられそのまま自分へと跳ね返ってくる。自分の攻撃が自分を傷つけていた。ギャラクトロンがブルトンに翻弄されている。


「すげぇ!さすが時空の化身だな!このままあれを生け捕りに…」


……これで決める!トリニティィウゥム…
……早くケリをつけるわよ。


ブルトンの突起物の穴から針金のような特殊器官が迫り出してきた。それが一度だけ、眩く発光する。そるだけでギャラクトロンは爆散し、時空の歪みにバラバラになりながら吸い込まれていく。


「馬鹿野郎ぉぉぉ!」


ギャラクトロン(注意・残骸)は、瀬上の叫びと共に時空の彼方に消滅していった。夕日が呆然とする一同を照らす。
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