爾落転換
「次は!?」
「もう出ます!」
今度は以前パレッタが想造したキングジョーのようなものだった。ようなもの、というのはそのものではないからだ。それの全身を黒くした上で右腕をランチャーに付け替えた、キングジョーブラックが出てきた。
「おい!色々とアウトだろ!」
「でも…」
ブラックはランチャーで銃撃を浴びせる。反撃のビームを跳躍で躱すと、そのままギャラクトロン目掛けて急速降下。踏みつける。少しだけ装甲が凹むギャラクトロン。
着地したブラックにブレードを突くが、胴だけ分離させて回避した。さらには下半身パーツだけで足払いを決めギャラクトロンを転倒させた。その際に上半身は後頭部アームが接触するもダメージにはならず、ブラックは再合体を果たす。
「中々いいんじゃないか?」
硬い装甲と、柔軟な機動力。さらには飛び道具の破壊力を兼ね備えた傑作だ。元となったキングジョーの功績だが。
「さすが、ベースがいいと善戦してるわね」
右腕をロケットパンチのように飛ばすギャラクトロン。不意打ちだったがブラックはパーツを四つに分けて分離して回避する。そのままギャラクトロンの周りを縦横無尽に飛び回りながらビームを浴びせるが、やはり魔法陣シールドの前に効果はない。内パーツの一つが右腕とドッグファイトを繰り広げ、ビームに捕まり爆散する。
「出せるのはもう一体だけよ!」
「一体何を出せば…」
飛ばしていた右腕を回収すると、アームを逆立たせ上空に浮遊していくギャラクトロン。それを追うブラックを、一つのパーツに狙いを絞って全砲門からビームを射撃するギャラクトロン。再合体の余裕を与えず一つずつ撃破していく。
「そうだ!」
凌は閃いた。陣を丸暗記で描いていく。それに残る全てを注ぎ込むと倒れ込む。凌を受け止める瀬上と八重樫。陣からは再びロボットが這い上がってきた。それと同時にブラック最後のパーツも撃破されてしまう。
「あれは!」
「んなもんありかよ!」
「その手がありましたか…」
『パクりデス』
「だが確かに理にかなってる」
凌が生み出したのは、目の前で暴れている瓜二つのギャラクトロンだった。上空へのギャラクトロンに凌機が目と左腕、右腕の銃口からの一斉射を浴びせる。ギャラクトロンは魔法陣のシールドが展開し、ビームを防ぐ。新たな脅威の出現にギャラクトロンは地上に降りて来た。
「あれはスペック的には互角のつもりです」
「なるほど。ロボットと同じものをぶつければ拮抗した展開に持ち込めると思ったようですね」
「そ…そうです。それです」
「お前…そこまで考えてなかったろ」
「そんなことは…ないですよ…」
ギャラクトロンはビームを斉射するが、凌機は魔法陣シールドで防ぐ。今度は右腕を飛ばすギャラクトロン。凌機にビームを出しながら飛んでいく。凌機はブレードで右腕を弾き飛ばすと、右腕は本体へ戻っていき再装着した。
今度は凌機がギャラクトロンに仕掛ける。互いにビームを乱射しながらブレードを振り回して斬り結んでいく。しかし装甲がオリジナルより劣るためか両腕が機能不全に陥る凌機。
「あれもいつまで持つか」
「あの二人遅いな…」
その時、上空に発生した眩い光の中から怪物が現れた。
「見ろ!あれは!」