爾落転換


八重樫は瀬上と一樹を呼び寄せると世莉に連絡を入れた。


『どうした?』
「四ノ宮の周辺に「G」がいるかもしれない。何か異変はないか?」
『いや、ツインテールが露店で売られているだけだ』
「ツインテールではない。もっと違う何かがいる」
『…そういえば菜奈美がパレッタを連れ戻しに行ったきり戻ってこない』
「待て」


八重樫は一樹に菜奈美とパレッタの携帯端末に呼びかけさせるが、彼女らからの応答はない。悪い予感がする瀬上。


「俺達の現在位置を送る。迎えに来い」
「二人を転移で呼び出せないの?」
『さすがに居場所が分からないと、人は呼び出せない。待っていろ』


そう言って世莉は通信を終わらせた。一樹は端末を操作して世莉に送信し、瀬上は焦燥感に駆られる。


「…あいつ、変なところで抜けてるから…」
「菜奈美さんなら大丈夫すよ。どうせパレッタさんにいいように連れ回されているだけでしょ」
「日本丸にはこれだけの戦力が揃っているんだ。初期対応が早ければ心配はない」


八重樫なりに励ましたつもりだが、言い方が悪かったのか、瀬上に不安を煽っただけのようだ。失言を悔いる間もなく世莉と到着した。言うよりも先に、世莉は八重樫に装備を転移で着せ付けた。仕事が早い。


「早く行くぞ」


急かす瀬上。男性陣三人は世莉に連れられてこの場を後にした。現地に着くと既に凌もガラテア達と合流していた。


「揃ったな」
「ダイス、二人の居場所は捕捉できているのですか?」
「あぁ。近いぞ」


八重樫はヘルメットのバイザーを下ろした。一同は世莉の転移でその場から姿を消した。
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