爾落転換


『あれもかわいい!コピーしちゃおっと』


一方こちらは女性陣。世莉の持つカメラからムツキは気に入った服を見つけては自分のデータに複製して保管している。聞けばこれから着ていくのだという。
ハイダとガラテアは二人して食材を見ていた。そして菜奈美はというと集団からはみ出ていくパレッタを連れ戻しにいく繰り返しだ。


「また瀬上から転移依頼か。もう何度目だ全く」
『男って衝動買いが過ぎるよねぇ』


世莉とムツキの一幕。洋服にカメラを向けるのが思いの外大変で、自分の服を見辛い世莉。


「きっと後先考えずに買っているんだろう。まぁ、酒なら多いに越したことはないよ」
『そうかな?お酒飲めないから分かんない』
「飲めないなら飲めないで…?」


今、現地人とすれ違い様に甘い匂いがした。だがお菓子屋さんなんてなかったような気がした。


『どうしたの?』
「なんでもない」


周辺を見渡すと露店だった。
その露店には気怠そうな人面の「G」が売らていた。まるで頭頂部が禿げた中年男性のよう。大小様々なサイズのものが吊るされている。客引き用だろうが衛生的には少し不安だった。
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