爾落転換



男風呂に向かうクーガー。日本丸内に置いて、楽しみの一つ。だが台無しにするかのように、脱衣所から疲労感漂う一樹が出てきた。


「ガラテアさんに随分と扱かれましたね」
「あ!」


クーガーに気づいた一樹は恨めしそうだ。


「クーガーも戦うべきなんだけどなぁ。弱点分かるとか最強なんだけどなぁ」
「いえいえ。私なんかが頑張ろうと電磁や時空には及びませんから。視解した情報を皆さんに伝えて実行してもらった方が効率的でしょう」
「俺の分も口巧く八重樫さんとガラテアに言ってくれないかな」
「あなたには可能性がありますし、ね。そうそう、ダイスが今度は装備を背負って一緒に行軍しようと考えているようですよ」


そう言って脱衣所に入っていくクーガーをジト目で見る一樹。それを知ってか知らずか飄々と消えていった。


「ふぅ…」


服を脱ぎシャワーを済ましたクーガー。ゆっくりと湯船に浸かる。しばらく堪能していると八重樫が入ってきた。彼を視界に捉えたクーガーは湯船から出る。


「もうあがるのか?」


クーガーは八重樫から目を逸らした。鍛えられた身体に刻まれたいくつもの傷跡。それらを見てしまうだけで負った時の状況が視えてしまう。


「夕食前に視るものじゃありませんから」


クーガーは脱衣所まで出ていった。これから当直で一人になるのに、凄惨な情報まで知りたくもないのだ。
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