The ending of a hero
数日後、凌は郊外の雑木林にて潜伏していた。まだまだ深緑の葉が生い茂るここは普段から人気が少なく待ち伏せには持ってこい。これから荒っぽい行動を起こす場所としても都合の良い場所といえる。
「……」
ターゲットは買い物に出たら平均50分で帰ってくるのはリサーチ済みだ。今日の買い物袋の中身も生物は入っておらず多少足止めしたところで問題はないはず。こちらに付き合わせる都合で食品を腐らせ、ご家族が迷惑しないように配慮はしたつもりだった。
「ふあ〜」
やがて現れた。だらしなく大口を開けて欠伸をかますターゲットの前に、凌は着地する。音もなく湧いて出てきた凌と対面した半袖半ズボンのターゲット。視界に捉えた途端、もう何度目かとなるエンカウントに心底面倒くさそうな表情になった。誇張なしで。
「げぇ!もう勘弁しろよ何度目だよ…」
げんなりするターゲットに凌は構わず声をあげた。
「瀬上!勝負だ!」
FIN