War Is Over
3
凱吾が地面に着地し、X星人達に視線を向けた。真スーツの赤く丸い眼がX星人達を捉える。
「流石は「月ノ民」を倒した地球人なだけあるな。だが、我々の力はまだこの程度ではない!」
完全に劣勢に追い込まれている状況だが、X星人達は強気だ。まだ戦いを諦めていない。
『面白い。力を見せろ』
突如、X星人達の前にウルフ・ザ・クリーナーが姿を現した。光学迷彩で姿を見せず、音もなく忍び寄ってきたウルフにX星人達は驚く。
「な、何者だ! そんな仮面をつけて!」
『ふっ』
X星人の言葉に静かな笑みで応じ、ゆっくりと無機質な仮面に両手を添え、その素顔を彼らに晒した。
『この意味、わかるな』
「なんて醜い顔なんだ」
「地球人ではないな。……ま、まさか!」
「聞いたことがあるぞ。醜い顔の宇宙人が決闘相手と見込んだ相手にのみ素顔をみせる。……あの伝説の戦闘種族、その名は確か」
『プレデター』
「「「「「「「ひぃぃぃっ!」」」」」」
X星人達は声を揃えてウルフから距離をとる。
ウルフは身構える。
X星人の一人が彼の前に出た。
「……」
そのX星人は無口で小脇に猫を抱えたまま、ウルフに睨み付ける。眉間に皺がよっており、ウルフとは違う意味で怖い顔である。
彼はソードを構え、ウルフもそれに応じて武器を構える。
「にゃー」
猫の鳴き声を合図に二人は動いた。
双方、全く譲らぬ戦いを繰り広げるが、X星人の小脇から猫が殺気から耐えきれずに離脱した。
「あぁ!」
刹那、X星人はソードを床に置いた。敗けを意味している。
「……」
『……』
無口なX星人はそのまま後ろへ下がった。ウルフも無口なので、二人とも静かに距離を取った。
「あいつの顔、マジでやべぇーよ。てゆうか、猫が逃げちゃったよ。あれ預かってる猫なのに不味いよ。戦うのめんどくせぇー。いいや、これで何か勝負ついた感じだし、いいよねー。と、彼は内心で呟いていました」
無口な戦いの真実をハイダが言いつける。
それを聞いた菜奈美と宮代一樹が苦笑する。
「意外とフランクな饒舌家だったんですね」
「というか、何だったの? 今の茶番」
そんな日本丸に通信が入った。
一樹が出ようとすると、先にムツキが応じる。
「船長ぉ、「帝国」の第二東岸領妃の三島芙蓉さんがこっちに到着するそうですよ」
「三島さん? あぁ、彼女も呼ばれていたのね」
「モスラっていうんでしたっけ? あの紺碧って精神の怪獣体。あれでこっちに向かってるみたいです。既にレーダーに感知しています」
菜奈美はムツキの報告を聞いて、クーガーを見る。
「だから私は何も心配をしていないんですよ。三佛とレリックがいない今、この世界で最も脅威に近い力を持つのは、ゾグ・ビーストの召喚を含めた我々と「聖地」の四聖、そして三島さん方、後は長い眠りについている四神くらいですからね。そのほとんどがこの新極東コロニーに集まっているので、今このコロニーは地球で最も落としにくい城といえます。……なるほど。まだX星人にも秘策があるみたいですが、我々にも更なる戦力が加わるようです。……これは見応えありますね」
クーガーがニヤニヤと笑いながら、他の面々に伝えた。
それを裏付けるように、更に通信が入る。今度は早押しクイズのボタンを押すような素早い動きで一樹が応答した。
「ハァハァ……、僕が、通信士の宮代です! こちら、日本丸!」
しかし、一樹のしたり顔は一瞬であった。すぐに通信を終え、一同に伝える。
「三島さんの到着より、一足先に新しい「帝国」の統治者が到着し、事態の収拾に協力するとのことです」
「三島さんよりも先に? その人も空を飛べるの?」
「いいえ」
一樹は菜奈美に首を激しく振った。
「馬でこちらに向かっていると!」
「馬?」
直後、レーダーが雪原を疾走する白馬に乗った男を感知した。
そして、クーガーの目には、白い雪原を背景に、白い馬に跨がり、白い衣を纏った男の姿がはっきりと見えていた。その男の正体も、含めて。
「なっ、なんだっ!」
「鳥だ!」
「飛行機だ!」
「いや、馬だ!」
「白馬に乗った男だ!」
「は、早いぞ!」
X星人達もその急接近してくる男の存在に気がついた。
その余りにも神々しい存在感に驚き、壁から着地する。
「えぇい! 行くぞ、お前達!」
X星人達は武器を持って、白馬の男を迎え撃つ。
一斉に光線銃の光が男を襲うが、そのすべてが男の剣劇に弾かれる。
「嘘だぁぁぁー!」
男はそのまま彼らの目の前で止まった。白馬の上から男は、じっとX星人達を見据える。
「ソチらがこの華々しい日に不届きな行いをしているという宇宙人達か!」
「貴様、何者だ?」
X星人の言葉に、男は刀を納めて白馬から降り立ち、白馬を一撫ですると体を向き直して名を名乗った。
「余は「帝国」総領主、氣導の爾落人、名は徳川吉宗と申す。かつて地球の危機を救ったこの地に集う者達には余も恩がある。此度の争い事に居合わすことになったのも縁だ。助太刀致す」
吉宗の名乗りに驚いたのは、日本丸の面々であった。
「徳川吉宗?」
「爾落人だったのか!」
「本物の八代目将軍様?」
「マジかよ」
日本出身の面々は驚いているようすであったが、ガラテアが最も興奮気味である。
「あの方が銀河殿の話していた江戸時代の日本を治めていた伝説の爾落人か!」
「そちが唯一日本に残り、駿河の国でMOGERAを先の戦までの2000年近く守り続けた変化の爾落人か。かつて、そちの主である後藤銀河殿には世話になった」
「いいえ! そんなことはございません! 上様にお会いできて光栄に思います!」
ガラテアは膝をついて、吉宗に頭を控えた。
ガラテアは銀河の話や影響を受けていただけでなく、沼津にいた2000年弱、関口の残した時代劇のコレクションを娯楽として鑑賞してきた為、生粋の時代劇好きになっており、現在も密かな趣味として鑑賞をしていた。ちなみに、彼女の一番好きな時代劇は暗殺チームが悪を始末するシリーズである。
「えぇい! どんな偉い奴だろうと関係ない! 覚悟ぉ!」
「良かろう! 成敗!」
X星人はガラテアと吉宗の会話を無視して、吉宗に一斉に襲いかかる。
X星人達の体に黄色い電撃が帯びる。
しかし、吉宗は抜刀すると、その剣圧だけでX星人達を吹き飛ばす。
一対多数を全く感じさせない殺陣でX星人達は次々と倒していく。斬られたX星人達は地面で苦しむ。血液は出ない種族らしく、煙と黄色い光が傷口から立ち上る。
「案ずるな、峰打ちじゃ」
吉宗はそう言い、最後の一人に刀を構える。
X星人は苦虫を噛み潰したような表情で叫んだ。
「グゥゥゥ……かくなる上は! 変身っ!」
X星人は両手を交差させて叫んだ。
刹那、他のX星人達の体が黄色い光に変わり、全てのX星人の体が一つの黄色い光に集合、合体し、巨大な怪獣の姿に代わる。
二足歩行で、龍のような頭部と両肩にも同じ頭部がついた怪物の姿になったX星人は、巨大な足で吉宗を一蹴する。
吉宗は受け身を取り、その身に氣を纏って衝撃を耐えるが、その体は遥か後方へ吹き飛ばされる。
「ハハハ! これが我々の力だ! このモンスターXの前に、敵うものはいない!」
しかし、吉宗は不敵な笑みを浮かべる。
「確かに、余の力では敵わぬな。だが、そちの好きなようにはさせぬ!」
「何ぃ?」
「三島!」
吉宗は空に向かって叫んだ。
吉宗の声に呼応して、空から巨大な蛾の姿になった紺碧が巨大な包みをつかんで飛来してきた。
着地と同時に、包みが外れる。
そして、中から巨大な直立二足歩行の人型ロボット兵器が姿を現した。
「ジプシー・デンジャーだ! 第二東岸領の地下から発見された関口氏の遺産じゃ。これが今回の新極東コロニー完成に際しての「帝国」からの記念品だ」
吉宗はジプシー・デンジャーを見上げて言うと、凱吾とウルフを見てニヤリと笑う。
「そして、二人操縦だ」
「ウルフ!」
『有無』
凱吾とウルフは頷き合い、ジプシー・デンジャーの搭乗口に向かい、操縦室に入る。
モーションシンクロ操縦を採用しており、二人は素早く操縦方法を把握する。
『「起動!」』
ジプシー・デンジャーは起動し、拳をモンスターXに構える。
二体は同時に動いた。ジプシー・デンジャーの拳がモンスターXの肩を捉える。しかし、モンスターXはその肩の口から黄色い電撃を放ち、拳を弾き飛ばし、更に拳をジプシー・デンジャーの腹部に入れる。
火花が散り、ジプシー・デンジャーは後退する。
「やるな! ウルフ、エルボーロケットを起動させるぞ!」
『了解』
ジプシー・デンジャーは片手で再びモンスターXの肩を掴みかかる。
再びモンスターXの肩の口から黄色い電撃を放つが、今度は衝撃を受けるよりも早く反対の拳を構え、肘のロケットブースターに火がともる。
「『ロケットォォォーパァァァーンチッ!』」
ジプシー・デンジャーのロケットパンチがモンスターXの頭部に重い一撃を加える。
反撃の電撃を放ったはずのモンスターXが後ろに倒れ、コロニーの壁に打ち付けられる。
対するジプシー・デンジャーは、その拳に電撃を受け、煙を立てるものの、そのダメージは軽微で次の攻撃に繋げる。
「プラズマキャノン砲、展開!」
拳を変形させ、砲口を展開させる。
チャージは既に完了しており、即座に発射モーションに切り替える。
モンスターXが反撃をする前に、ジプシー・デンジャーはプラズマキャノンをその腹部に向けて放つ。
肉片が飛び散り、その破片は黄色い光の粒子となって、消える。
モンスターXは咆哮を上げ、3つの口から黄色い電撃をジプシー・デンジャーに放つ。
衝撃を受けた隙を突いて、モンスターXは飛び上がり、ジプシー・デンジャーの頭部に強烈な膝げりを食らわせる。
頭部が損傷し、コックピットに大きな衝撃を受ける。凱吾とウルフは火花の飛び散るコックピットで、バランスを保ち、ダメージを持ちこたえる。
モニターが機体損傷箇所を表示する。頭部の計器を大きく損傷し、同一のユニットに属するコックピットも危険な状態になったことを示す。
しかし、体勢を整え直した二人は、手早くコックピット内の上昇した温度を、機体冷却用の液体窒素を室内に強制的に排出させ、同時に室内の気圧を上げて、一気に換気する。常人では即死してもおかしくない、劣悪な温度と気圧変化が彼らを襲うが、真スーツを着た凱吾とウルフはそれに耐え、再びジプシー・デンジャーの操縦を再開する。
「チェーンソード起動! プラズマキャノン最大出力でチャージ! この一撃で決めるぞ!」
『了解!』
ジプシー・デンジャーの熱を帯びた腕からチェーンソードを展開し、もう一方の腕にプラズマキャノンの砲口を展開させる。
そして、チェーンソードを水平に構える。
「この一撃は重たいぜ! ブースター最大出力で点火!」
ジプシー・デンジャーの背部及び下肢のブースターが一斉に点火し、高機動性だけにものを言わせた突進をする。
更に、チェーンソードの腕の肘を引く。
「エルボーロケット起動!」
十分にモンスターXとの距離を詰め、肘のブースターが点火した。
刹那、エルボーロケットの勢いが加わったチェーンソードがモンスターXの頭部を貫き、壁に突き刺す。両肩の顔が悲鳴を上げて、電撃をジプシー・デンジャーに無差別な乱射を浴びせる。
しかし、ジプシー・デンジャーはその攻撃を捨て身で受け、もう一方の腕のプラズマキャノン砲をモンスターXの胸部に突き付ける。
「『発射ぁぁぁーっ! 撃って撃って撃ちまくれぇぇぇーっ!!』」
零距離からの最大出力プラズマキャノンの連射がモンスターXの胸部を容赦なく猛威を振るう。巨体が一発一発の衝撃ではねる。
そして、遂に胸部が完全に吹き飛び巨大な風穴が開くと、モンスターXの巨体は全身を光の粒子に包まれ、消滅した。
ジプシー・デンジャーは、オーバーヒートを起こし、全身から冷却用の液体窒素を噴射させ、一気に白い霜を立てて沈黙した。
光の粒子が消え、モンスターXがいた場所にはX星人達が倒れていた。
凱吾とウルフがジプシー・デンジャーから降りて彼らの身柄を取り押さえると、吉宗と三島、それに続いて日本丸の面々とクロー、アーサーが駆け寄ってきた。
「こんなもんでいいか?」
ジプシー・デンジャー内にあった予備のワイヤーをロープがわりに使って拘束されたX星人達は最早虫の息で、これ以上の抵抗は考えがたい。
その姿を確認しつつ、吉宗が凱吾に話しかける。
「この者らの処遇はそちら「連合」に委ねよう」
「と言っても、侵略宇宙人の処遇なんてどうするんだ? ローシェ?」
凱吾は真スーツを解除し、通信のモニターを空中に表示させてローシェに問いかける。
ローシェもモニター越しで当惑する。
「私にも判断がつきません。サーシャ様?」
「と言っても、捕獲したところで通常の犯罪者のように扱えないですからね。現実的な手段では、死刑、研究的解剖、凍結、亜高速航行可能な宇宙船を作って追放くらいですか。最後のは人道的ですが、準備期間中の捕縛に問題があります」
「まぁ、それくらいなら私の結界に閉じ込められるぞ」
世莉が横から言うが、それなら転移や菜奈美と力を合わせて次元の彼方に追放した方がいいのでは、と議論は纏まらない。
しかし、そこにサーシャの横にいたトーウンと日本丸から降りてきたクーガーが口を挟んだ。
「その心配はありません」
「彼らの身柄を引き取る為に来ている者がこのコロニーの中にいます」
その言葉に驚いていると、クーガーが壁の出入口を指差した。
「ほら、来ました」
門の扉が開き、コロニーの中からローブを深々と被った人物が前かご付きの自転車、通称ママチャリに乗って出てきた。
呆然とする一同を他所に、ママチャリは彼らに近づき、ママチャリから降りる。
ローブを脱ぐと、黒い仮面を被った男らしき人物であった。
『スー…ハー…俺の名はダース・ベイダーだ。スー…ハー…この姿で失礼。スー…ハー…地球の大気は俺にとって毒なのだ。スー…ハー…俺は宇宙の平和を守るギャラクシーポリスの者だ。スー…ハー…このX星人達は全宇宙取り締まり対象の指名手配犯で、長らく捕まえるチャンスを狙っていた』
ダース・ベイダーは、呼吸音を挟みながら話す。
「確かに厄介な奴らだったが、そんなに強敵とは言えなかったが?」
ジプシー・デンジャーがオーバーヒートを起こしているにも関わらず、凱吾はそのことを棚に上げてダース・ベイダーに言う。
『スー…ハー…強さはモンスターXを含めてこの宇宙の驚異ではなかったが、逃げ足が早いのと、ギララを含めた宇宙怪獣を使った攻撃を使い、様々な惑星であと一歩のところで倒せずに逃げられていたのだ』
「なるほど。あの一撃で一気に決めたのは正解だったのか」
『スー…ハー…地球人のX星人を倒した姿は全宇宙を見ても見事だった。スー…ハー…流石は、宇宙最強の星だ。スー…ハー…既に全宇宙連合は、地球を2000年近く前から宇宙最強と認識し、監視を続けており、故にプレデターの関与、介入はありつつも内戦と判断された先の「月ノ民」との戦いは異なるが、概ね全宇宙連合の範囲下にある文明が地球に侵略行為をすることを防止していた。スー…ハー…つまり、地球は最重要危険惑星であり、全宇宙連合保護区に指定し、今日に至るまで極力我々は接触をさけ、観察と恒星系外での保護活動を行ってきたのだ』
「つまりは、宇宙人の認識では地球そのものが「聖地」みたいにみなされて、太陽系の外で侵略者の接近を防止していた訳だな。通りで「G」の数に対して宇宙からの「G」の数が少ない訳だな。佛については?」
凱吾はダース・ベイダーの話に追い付いているらしく、さらに質問を投げ掛ける。適応力が異様に高い凱吾は兎も角、他に話に追い付いているのは、吉宗、そもそも視て理解しているクーガーと通信モニター越しのサーシャとトーウンだけだ。同じ宇宙人のウルフと広義で地球外出身の紺碧も、内容はわかる様子だが、興味がないらしい。離れたところで休憩をしている。
『スー…ハー…宇宙誕生の三柱神として一部の文明で信仰対象となっている。意思ある存在としての彼らではなく、能力の神格化がニュアンスとしては近い。スー…ハー…あちらにいる四禍神の存在も信仰対象の一つとして、歴史の長い文明に神格化されている。地球人の誕生から先日までの間が宇宙時間単位では特異な状況であり、佛なる力に三柱神が戻った今が全宇宙連合としては安定している状態にあるとしているのだ。スー…ハー…我々のことと宇宙からの地球の位置関係、状況は理解できたかな?』
「まぁな。ようは、佛共が地球を舞台に続けていた喧嘩が終って、地球の文明もあんた達の全宇宙連合と交流可能な段階になったから、今回のX星人の侵略行為を良いきっかけとして利用して、あんたが代表して接近をしてきたということだろ? ここ数日、コロニー内を彷徨いていたのは知ってる。そのカゴの中の奴は? いや、その中の奴が所謂使者、それなりに地位のある者で、お前はその護衛も兼ねている。全宇宙連合的には、そいつと俺達が接触、交流をしたとするんだろう?」
凱吾の言葉に、ダース・ベイダーは反応した。
そして、ママチャリのカゴにあった布ががさがさと動き、子どもの大きさのE.T.が顔を出した。
「大使、よろしく」
E.T.は指を差し出して挨拶をする。全宇宙連合の大使らしい。
凱吾は頷き、吉宗とクローを見た。二人が頷くのを確認すると、モニターのローシェとサーシャを見た。
「彼らをこちらにお連れしてください。幸いにも、ここに地球の主要となる勢力の者が揃っています。桧垣さんも、日本丸「旅団」の長として、同席下さい。中華コロニー群などの独立したコロニー群の代表には、通信で同席を依頼します」
菜奈美は嘆息しつつも、サーシャの提案を呑み、吉宗とクローと共にファーストコンタクトという外交会談に同席する為、コロニーの中に入っていった。
他の面々はX星人の監視の為、その場に残ることになった。
凱吾が地面に着地し、X星人達に視線を向けた。真スーツの赤く丸い眼がX星人達を捉える。
「流石は「月ノ民」を倒した地球人なだけあるな。だが、我々の力はまだこの程度ではない!」
完全に劣勢に追い込まれている状況だが、X星人達は強気だ。まだ戦いを諦めていない。
『面白い。力を見せろ』
突如、X星人達の前にウルフ・ザ・クリーナーが姿を現した。光学迷彩で姿を見せず、音もなく忍び寄ってきたウルフにX星人達は驚く。
「な、何者だ! そんな仮面をつけて!」
『ふっ』
X星人の言葉に静かな笑みで応じ、ゆっくりと無機質な仮面に両手を添え、その素顔を彼らに晒した。
『この意味、わかるな』
「なんて醜い顔なんだ」
「地球人ではないな。……ま、まさか!」
「聞いたことがあるぞ。醜い顔の宇宙人が決闘相手と見込んだ相手にのみ素顔をみせる。……あの伝説の戦闘種族、その名は確か」
『プレデター』
「「「「「「「ひぃぃぃっ!」」」」」」
X星人達は声を揃えてウルフから距離をとる。
ウルフは身構える。
X星人の一人が彼の前に出た。
「……」
そのX星人は無口で小脇に猫を抱えたまま、ウルフに睨み付ける。眉間に皺がよっており、ウルフとは違う意味で怖い顔である。
彼はソードを構え、ウルフもそれに応じて武器を構える。
「にゃー」
猫の鳴き声を合図に二人は動いた。
双方、全く譲らぬ戦いを繰り広げるが、X星人の小脇から猫が殺気から耐えきれずに離脱した。
「あぁ!」
刹那、X星人はソードを床に置いた。敗けを意味している。
「……」
『……』
無口なX星人はそのまま後ろへ下がった。ウルフも無口なので、二人とも静かに距離を取った。
「あいつの顔、マジでやべぇーよ。てゆうか、猫が逃げちゃったよ。あれ預かってる猫なのに不味いよ。戦うのめんどくせぇー。いいや、これで何か勝負ついた感じだし、いいよねー。と、彼は内心で呟いていました」
無口な戦いの真実をハイダが言いつける。
それを聞いた菜奈美と宮代一樹が苦笑する。
「意外とフランクな饒舌家だったんですね」
「というか、何だったの? 今の茶番」
そんな日本丸に通信が入った。
一樹が出ようとすると、先にムツキが応じる。
「船長ぉ、「帝国」の第二東岸領妃の三島芙蓉さんがこっちに到着するそうですよ」
「三島さん? あぁ、彼女も呼ばれていたのね」
「モスラっていうんでしたっけ? あの紺碧って精神の怪獣体。あれでこっちに向かってるみたいです。既にレーダーに感知しています」
菜奈美はムツキの報告を聞いて、クーガーを見る。
「だから私は何も心配をしていないんですよ。三佛とレリックがいない今、この世界で最も脅威に近い力を持つのは、ゾグ・ビーストの召喚を含めた我々と「聖地」の四聖、そして三島さん方、後は長い眠りについている四神くらいですからね。そのほとんどがこの新極東コロニーに集まっているので、今このコロニーは地球で最も落としにくい城といえます。……なるほど。まだX星人にも秘策があるみたいですが、我々にも更なる戦力が加わるようです。……これは見応えありますね」
クーガーがニヤニヤと笑いながら、他の面々に伝えた。
それを裏付けるように、更に通信が入る。今度は早押しクイズのボタンを押すような素早い動きで一樹が応答した。
「ハァハァ……、僕が、通信士の宮代です! こちら、日本丸!」
しかし、一樹のしたり顔は一瞬であった。すぐに通信を終え、一同に伝える。
「三島さんの到着より、一足先に新しい「帝国」の統治者が到着し、事態の収拾に協力するとのことです」
「三島さんよりも先に? その人も空を飛べるの?」
「いいえ」
一樹は菜奈美に首を激しく振った。
「馬でこちらに向かっていると!」
「馬?」
直後、レーダーが雪原を疾走する白馬に乗った男を感知した。
そして、クーガーの目には、白い雪原を背景に、白い馬に跨がり、白い衣を纏った男の姿がはっきりと見えていた。その男の正体も、含めて。
「なっ、なんだっ!」
「鳥だ!」
「飛行機だ!」
「いや、馬だ!」
「白馬に乗った男だ!」
「は、早いぞ!」
X星人達もその急接近してくる男の存在に気がついた。
その余りにも神々しい存在感に驚き、壁から着地する。
「えぇい! 行くぞ、お前達!」
X星人達は武器を持って、白馬の男を迎え撃つ。
一斉に光線銃の光が男を襲うが、そのすべてが男の剣劇に弾かれる。
「嘘だぁぁぁー!」
男はそのまま彼らの目の前で止まった。白馬の上から男は、じっとX星人達を見据える。
「ソチらがこの華々しい日に不届きな行いをしているという宇宙人達か!」
「貴様、何者だ?」
X星人の言葉に、男は刀を納めて白馬から降り立ち、白馬を一撫ですると体を向き直して名を名乗った。
「余は「帝国」総領主、氣導の爾落人、名は徳川吉宗と申す。かつて地球の危機を救ったこの地に集う者達には余も恩がある。此度の争い事に居合わすことになったのも縁だ。助太刀致す」
吉宗の名乗りに驚いたのは、日本丸の面々であった。
「徳川吉宗?」
「爾落人だったのか!」
「本物の八代目将軍様?」
「マジかよ」
日本出身の面々は驚いているようすであったが、ガラテアが最も興奮気味である。
「あの方が銀河殿の話していた江戸時代の日本を治めていた伝説の爾落人か!」
「そちが唯一日本に残り、駿河の国でMOGERAを先の戦までの2000年近く守り続けた変化の爾落人か。かつて、そちの主である後藤銀河殿には世話になった」
「いいえ! そんなことはございません! 上様にお会いできて光栄に思います!」
ガラテアは膝をついて、吉宗に頭を控えた。
ガラテアは銀河の話や影響を受けていただけでなく、沼津にいた2000年弱、関口の残した時代劇のコレクションを娯楽として鑑賞してきた為、生粋の時代劇好きになっており、現在も密かな趣味として鑑賞をしていた。ちなみに、彼女の一番好きな時代劇は暗殺チームが悪を始末するシリーズである。
「えぇい! どんな偉い奴だろうと関係ない! 覚悟ぉ!」
「良かろう! 成敗!」
X星人はガラテアと吉宗の会話を無視して、吉宗に一斉に襲いかかる。
X星人達の体に黄色い電撃が帯びる。
しかし、吉宗は抜刀すると、その剣圧だけでX星人達を吹き飛ばす。
一対多数を全く感じさせない殺陣でX星人達は次々と倒していく。斬られたX星人達は地面で苦しむ。血液は出ない種族らしく、煙と黄色い光が傷口から立ち上る。
「案ずるな、峰打ちじゃ」
吉宗はそう言い、最後の一人に刀を構える。
X星人は苦虫を噛み潰したような表情で叫んだ。
「グゥゥゥ……かくなる上は! 変身っ!」
X星人は両手を交差させて叫んだ。
刹那、他のX星人達の体が黄色い光に変わり、全てのX星人の体が一つの黄色い光に集合、合体し、巨大な怪獣の姿に代わる。
二足歩行で、龍のような頭部と両肩にも同じ頭部がついた怪物の姿になったX星人は、巨大な足で吉宗を一蹴する。
吉宗は受け身を取り、その身に氣を纏って衝撃を耐えるが、その体は遥か後方へ吹き飛ばされる。
「ハハハ! これが我々の力だ! このモンスターXの前に、敵うものはいない!」
しかし、吉宗は不敵な笑みを浮かべる。
「確かに、余の力では敵わぬな。だが、そちの好きなようにはさせぬ!」
「何ぃ?」
「三島!」
吉宗は空に向かって叫んだ。
吉宗の声に呼応して、空から巨大な蛾の姿になった紺碧が巨大な包みをつかんで飛来してきた。
着地と同時に、包みが外れる。
そして、中から巨大な直立二足歩行の人型ロボット兵器が姿を現した。
「ジプシー・デンジャーだ! 第二東岸領の地下から発見された関口氏の遺産じゃ。これが今回の新極東コロニー完成に際しての「帝国」からの記念品だ」
吉宗はジプシー・デンジャーを見上げて言うと、凱吾とウルフを見てニヤリと笑う。
「そして、二人操縦だ」
「ウルフ!」
『有無』
凱吾とウルフは頷き合い、ジプシー・デンジャーの搭乗口に向かい、操縦室に入る。
モーションシンクロ操縦を採用しており、二人は素早く操縦方法を把握する。
『「起動!」』
ジプシー・デンジャーは起動し、拳をモンスターXに構える。
二体は同時に動いた。ジプシー・デンジャーの拳がモンスターXの肩を捉える。しかし、モンスターXはその肩の口から黄色い電撃を放ち、拳を弾き飛ばし、更に拳をジプシー・デンジャーの腹部に入れる。
火花が散り、ジプシー・デンジャーは後退する。
「やるな! ウルフ、エルボーロケットを起動させるぞ!」
『了解』
ジプシー・デンジャーは片手で再びモンスターXの肩を掴みかかる。
再びモンスターXの肩の口から黄色い電撃を放つが、今度は衝撃を受けるよりも早く反対の拳を構え、肘のロケットブースターに火がともる。
「『ロケットォォォーパァァァーンチッ!』」
ジプシー・デンジャーのロケットパンチがモンスターXの頭部に重い一撃を加える。
反撃の電撃を放ったはずのモンスターXが後ろに倒れ、コロニーの壁に打ち付けられる。
対するジプシー・デンジャーは、その拳に電撃を受け、煙を立てるものの、そのダメージは軽微で次の攻撃に繋げる。
「プラズマキャノン砲、展開!」
拳を変形させ、砲口を展開させる。
チャージは既に完了しており、即座に発射モーションに切り替える。
モンスターXが反撃をする前に、ジプシー・デンジャーはプラズマキャノンをその腹部に向けて放つ。
肉片が飛び散り、その破片は黄色い光の粒子となって、消える。
モンスターXは咆哮を上げ、3つの口から黄色い電撃をジプシー・デンジャーに放つ。
衝撃を受けた隙を突いて、モンスターXは飛び上がり、ジプシー・デンジャーの頭部に強烈な膝げりを食らわせる。
頭部が損傷し、コックピットに大きな衝撃を受ける。凱吾とウルフは火花の飛び散るコックピットで、バランスを保ち、ダメージを持ちこたえる。
モニターが機体損傷箇所を表示する。頭部の計器を大きく損傷し、同一のユニットに属するコックピットも危険な状態になったことを示す。
しかし、体勢を整え直した二人は、手早くコックピット内の上昇した温度を、機体冷却用の液体窒素を室内に強制的に排出させ、同時に室内の気圧を上げて、一気に換気する。常人では即死してもおかしくない、劣悪な温度と気圧変化が彼らを襲うが、真スーツを着た凱吾とウルフはそれに耐え、再びジプシー・デンジャーの操縦を再開する。
「チェーンソード起動! プラズマキャノン最大出力でチャージ! この一撃で決めるぞ!」
『了解!』
ジプシー・デンジャーの熱を帯びた腕からチェーンソードを展開し、もう一方の腕にプラズマキャノンの砲口を展開させる。
そして、チェーンソードを水平に構える。
「この一撃は重たいぜ! ブースター最大出力で点火!」
ジプシー・デンジャーの背部及び下肢のブースターが一斉に点火し、高機動性だけにものを言わせた突進をする。
更に、チェーンソードの腕の肘を引く。
「エルボーロケット起動!」
十分にモンスターXとの距離を詰め、肘のブースターが点火した。
刹那、エルボーロケットの勢いが加わったチェーンソードがモンスターXの頭部を貫き、壁に突き刺す。両肩の顔が悲鳴を上げて、電撃をジプシー・デンジャーに無差別な乱射を浴びせる。
しかし、ジプシー・デンジャーはその攻撃を捨て身で受け、もう一方の腕のプラズマキャノン砲をモンスターXの胸部に突き付ける。
「『発射ぁぁぁーっ! 撃って撃って撃ちまくれぇぇぇーっ!!』」
零距離からの最大出力プラズマキャノンの連射がモンスターXの胸部を容赦なく猛威を振るう。巨体が一発一発の衝撃ではねる。
そして、遂に胸部が完全に吹き飛び巨大な風穴が開くと、モンスターXの巨体は全身を光の粒子に包まれ、消滅した。
ジプシー・デンジャーは、オーバーヒートを起こし、全身から冷却用の液体窒素を噴射させ、一気に白い霜を立てて沈黙した。
光の粒子が消え、モンスターXがいた場所にはX星人達が倒れていた。
凱吾とウルフがジプシー・デンジャーから降りて彼らの身柄を取り押さえると、吉宗と三島、それに続いて日本丸の面々とクロー、アーサーが駆け寄ってきた。
「こんなもんでいいか?」
ジプシー・デンジャー内にあった予備のワイヤーをロープがわりに使って拘束されたX星人達は最早虫の息で、これ以上の抵抗は考えがたい。
その姿を確認しつつ、吉宗が凱吾に話しかける。
「この者らの処遇はそちら「連合」に委ねよう」
「と言っても、侵略宇宙人の処遇なんてどうするんだ? ローシェ?」
凱吾は真スーツを解除し、通信のモニターを空中に表示させてローシェに問いかける。
ローシェもモニター越しで当惑する。
「私にも判断がつきません。サーシャ様?」
「と言っても、捕獲したところで通常の犯罪者のように扱えないですからね。現実的な手段では、死刑、研究的解剖、凍結、亜高速航行可能な宇宙船を作って追放くらいですか。最後のは人道的ですが、準備期間中の捕縛に問題があります」
「まぁ、それくらいなら私の結界に閉じ込められるぞ」
世莉が横から言うが、それなら転移や菜奈美と力を合わせて次元の彼方に追放した方がいいのでは、と議論は纏まらない。
しかし、そこにサーシャの横にいたトーウンと日本丸から降りてきたクーガーが口を挟んだ。
「その心配はありません」
「彼らの身柄を引き取る為に来ている者がこのコロニーの中にいます」
その言葉に驚いていると、クーガーが壁の出入口を指差した。
「ほら、来ました」
門の扉が開き、コロニーの中からローブを深々と被った人物が前かご付きの自転車、通称ママチャリに乗って出てきた。
呆然とする一同を他所に、ママチャリは彼らに近づき、ママチャリから降りる。
ローブを脱ぐと、黒い仮面を被った男らしき人物であった。
『スー…ハー…俺の名はダース・ベイダーだ。スー…ハー…この姿で失礼。スー…ハー…地球の大気は俺にとって毒なのだ。スー…ハー…俺は宇宙の平和を守るギャラクシーポリスの者だ。スー…ハー…このX星人達は全宇宙取り締まり対象の指名手配犯で、長らく捕まえるチャンスを狙っていた』
ダース・ベイダーは、呼吸音を挟みながら話す。
「確かに厄介な奴らだったが、そんなに強敵とは言えなかったが?」
ジプシー・デンジャーがオーバーヒートを起こしているにも関わらず、凱吾はそのことを棚に上げてダース・ベイダーに言う。
『スー…ハー…強さはモンスターXを含めてこの宇宙の驚異ではなかったが、逃げ足が早いのと、ギララを含めた宇宙怪獣を使った攻撃を使い、様々な惑星であと一歩のところで倒せずに逃げられていたのだ』
「なるほど。あの一撃で一気に決めたのは正解だったのか」
『スー…ハー…地球人のX星人を倒した姿は全宇宙を見ても見事だった。スー…ハー…流石は、宇宙最強の星だ。スー…ハー…既に全宇宙連合は、地球を2000年近く前から宇宙最強と認識し、監視を続けており、故にプレデターの関与、介入はありつつも内戦と判断された先の「月ノ民」との戦いは異なるが、概ね全宇宙連合の範囲下にある文明が地球に侵略行為をすることを防止していた。スー…ハー…つまり、地球は最重要危険惑星であり、全宇宙連合保護区に指定し、今日に至るまで極力我々は接触をさけ、観察と恒星系外での保護活動を行ってきたのだ』
「つまりは、宇宙人の認識では地球そのものが「聖地」みたいにみなされて、太陽系の外で侵略者の接近を防止していた訳だな。通りで「G」の数に対して宇宙からの「G」の数が少ない訳だな。佛については?」
凱吾はダース・ベイダーの話に追い付いているらしく、さらに質問を投げ掛ける。適応力が異様に高い凱吾は兎も角、他に話に追い付いているのは、吉宗、そもそも視て理解しているクーガーと通信モニター越しのサーシャとトーウンだけだ。同じ宇宙人のウルフと広義で地球外出身の紺碧も、内容はわかる様子だが、興味がないらしい。離れたところで休憩をしている。
『スー…ハー…宇宙誕生の三柱神として一部の文明で信仰対象となっている。意思ある存在としての彼らではなく、能力の神格化がニュアンスとしては近い。スー…ハー…あちらにいる四禍神の存在も信仰対象の一つとして、歴史の長い文明に神格化されている。地球人の誕生から先日までの間が宇宙時間単位では特異な状況であり、佛なる力に三柱神が戻った今が全宇宙連合としては安定している状態にあるとしているのだ。スー…ハー…我々のことと宇宙からの地球の位置関係、状況は理解できたかな?』
「まぁな。ようは、佛共が地球を舞台に続けていた喧嘩が終って、地球の文明もあんた達の全宇宙連合と交流可能な段階になったから、今回のX星人の侵略行為を良いきっかけとして利用して、あんたが代表して接近をしてきたということだろ? ここ数日、コロニー内を彷徨いていたのは知ってる。そのカゴの中の奴は? いや、その中の奴が所謂使者、それなりに地位のある者で、お前はその護衛も兼ねている。全宇宙連合的には、そいつと俺達が接触、交流をしたとするんだろう?」
凱吾の言葉に、ダース・ベイダーは反応した。
そして、ママチャリのカゴにあった布ががさがさと動き、子どもの大きさのE.T.が顔を出した。
「大使、よろしく」
E.T.は指を差し出して挨拶をする。全宇宙連合の大使らしい。
凱吾は頷き、吉宗とクローを見た。二人が頷くのを確認すると、モニターのローシェとサーシャを見た。
「彼らをこちらにお連れしてください。幸いにも、ここに地球の主要となる勢力の者が揃っています。桧垣さんも、日本丸「旅団」の長として、同席下さい。中華コロニー群などの独立したコロニー群の代表には、通信で同席を依頼します」
菜奈美は嘆息しつつも、サーシャの提案を呑み、吉宗とクローと共にファーストコンタクトという外交会談に同席する為、コロニーの中に入っていった。
他の面々はX星人の監視の為、その場に残ることになった。