決着の日~2028~


翌日。防衛省の敷地内で二台の車輌に分乗するGnosisと女池。先頭車輌に蛍、丈、歩、引田、凌が乗車した。


「東條さん、バックアップはどうかしら」
「宮代だけ待機してますよ。二階堂さんと八重樫さんは別件で動いているので同行はしないですけど」


後部座席で両サイドを角兄弟に挟まれ、窮屈そうな凌。二人の縦横に秀でた体格による圧迫感。凌も鍛えられてはいるが、二人に挟まれるとどうしても高校生程度にしか見えなくなってしまう。


「そうですか。何事もなければいいけれど…」
「いや既に俺に何事か起きかけてるんですけど」
「ごめんなさい。透明な凌さんを助手席に乗せたりすると明らかに怪しいから」
「気にするな弟よ。東條殿もその辺りは理解している」
「それはそうだけど…」


後続車輌。後部座席に女池を招き入れ、運転手の岸田、験司が乗車した。


「到着まで40分ほどです」
「では頼みます」
「はい。出発します」


昨日女池に牽制したらしい逸見は他の手を打つと言っていたが、それまで追求を凌げるかがカギだった。今日は安全だと安堵していた岸田を運転手に抜擢した験司は、早くも車内で厳しい追及に遭っている。


「Gnosisは兄弟や夫婦揃っての人事が目につきますね」
「それはですね…」
「(うわぁ…あんなに歯切れの悪いリーダー初めてだ…)」


分かりきっている事をあえて質問してくる女池はやはり意地が悪い。繰り広げられる追及に岸田は聞こえないふりをしながら先頭車輌の先導に従った。
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