決着の日~2028~
「陸上幕僚監部の女池です。今日からよろしくお願いします」
「お待ちしておりました。今日から五日間、お願いします」
翌日、Gnosisのオフィスを訪れた女池を一同は出迎えた。まず挨拶したのは責任者である験司。今日はオフィサークラスの制服を着込み、不躾な口調を調整しながら挑む。対する女池も階級章が目立つ制服を誇示するかのような立ち振る舞いである一方、慢心どころか抜け目のなさを滲ませていた。
「かけて下さい。資料はこちらに用意してあります」
蛍も験司と同じくオフィサークラスの制服にスカートを穿き、タブレット端末を片手に臨んでいる。その表情には憐太郎や紀子には見せた事のない凛々しさを垣間見せていた。そして二人の背後にはやや居心地の悪そうなコンドウと岸田を含めた他のメンバーが控えている。様々な資料を作り疲労困憊を隠せない面々。
「……」
そしてオフィスの隅にもう一人、メンバー達を盾に女池から隠れるようにして気配を殺している凌がいる。光学迷彩で姿を消した上、警備の自衛隊員の一般用迷彩服と装備を身につけており、験司から偽装のIDを用意してもらっていた。万が一女池が行動した際にメンバーを護衛するため、本人が志願したのだ。現時点で女池に殺人の容疑があるため監査は別の意味でも緊迫している。女池が能力で危害を加えてこないか、暴れ出した場合は凌の行動に全てがかかっていた。
「…では、臨時防衛監察を始めます」
女池は何かを思慮していたがすぐに諦めると眼前に並べられた、メンバーの汗と涙の結晶、ファイルに向かう。分厚い紙の資料が十数冊にも及ぶため全てに目を通すとは思えないが万全を期している。
「では1冊目をご覧ください。これは我々が今までマークしてきた「G」の…」