みぎうで


「チームアルファ、交戦」


ダイスの死守するルートに大尉率いるチームが現着した。直前にコンタクトしていた輸送ヘリと合流すべく急行してきたのだ。ダイスはライフル乱射、マガジン交換とその間の手榴弾を交互に繰り返して接近を阻止する。倒さなくていい、時間稼ぎが狙いだ。例え人間相手でも数で押されるのは不利だった。


「!」


ダイスはフルオートで射撃し続ける。しかし突如としてライフルの銃声が止んだ。今までの調子から原因が弾切れではない事が分かっている。銃口内で弾詰まりを起こしたのだ。こうなればオーバーホールしなければ再使用できない。この場では致命的なトラブルだ。


「まだ行くな。様子がおかしい」


ダイスは仕方なく手榴弾を使っていきながら次の手を考える。メインアームの喪失にウォードの援護か武器の補充を求めるが、ウォードは他の兵士の迎撃に駆り出されていた。ダイスは覚悟を決めるとサブアームの自動拳銃で銃撃した。


「相手は恐らく一人だ、そろそろ仕掛けろ」


銃声の変化に弾薬が底を尽きかけているといると踏んだ大尉。ダイスは数発自動拳銃を発砲した後銃撃をやめ、物陰に隠れた。これが最後の弾倉だが、まだ弾は数発残してある。


「マイケルズ、お前が行け」


発砲が止んだことに気づいた大尉。隊員数人が陣形を組みながらダイスまで接近してくる。ダイスは捕捉で接近を感じ取りながらタイミングを待った。


「!」


ダイスは助走をつけて物陰からスライディングで飛び出す。引きつけられていた隊員は下方から飛び出してきたダイスに対応しきれず、銃撃を許してしまう。首、顔と装備では覆えない急所に確実に当てて倒していくダイス。


「殺せ!」


前衛の全滅に後方で控えていた残りの隊員が接近してくる。ダイスは倒した隊員からカービン銃を奪うと乱射して接近を阻止しようとする。倒れていく隊員だが一人だけ、仲間を盾にしながら肉薄しようとする者がいた。


「おい!」


大尉は隊員を盾にしたまま自動拳銃で発砲してきた。ダイスは手に入れたばかりのカービン銃を弾かれてしまう。大尉がカービン銃で撃ってこない違和感を感じながらも、武器を拾う間もなく再び隠れる。ダイスの手元の武装はナイフと残弾なしの自動拳銃のみ。だが先程の光景から、大尉も残弾が尽きていると確信するとすぐさま物陰から飛び出した。


「!」


隊員の遺体からカービン銃を拾おうとしていた大尉。ダイスは阻止すべくナイフを投擲し、大尉を狙う。回避するであろうその隙に距離を詰め、蹴りを入れるつもりだ。大尉は最小限の動きでナイフを回避し、咄嗟に迎撃を判断すると両腕でガードして蹴りを受け止めた。


ダイスは少し下がり、接近戦の間合いを取る。大尉は胸の鞘からナイフを取り、ダイスに上方から振り下ろした。ダイスは避け、続いて襲ってきた突きも躱す。ダイスは自動拳銃を抜き取り、振り下ろされたナイフをトリガーガードで受け止めると勢いをそのままに弾く。想定外の使い方に驚愕した大尉だがすぐに気を取り直した。ダイスの手をパトカーのボディに叩きつけ、自動拳銃を手放させる。


「……」
「……」


互いに丸腰で相対する大尉とダイス。双方出方を伺う。武器を拾おうと隙を見せた方の負けだ。二人ともそれが分かっており、互いに視線を外さない。
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