決着の日~2028~


翔子と合流してからの展開は早かった。既に殺ス者を始めとする敵主戦力は無力化していた事から岸田のティルトローター機は着陸する運びとなり、生存者は安心して病院へ搬送された。ワーカーの襲撃からようやく安堵できたのだ。ここまでスムーズに状況が好転し、把握できたのも転移の力だけではないと皆が理解した。南極、東京、日本各地、果ては全世界でいくつもの爾落人が協力しあった結果なのだ。


今日という日が後に爾落人の間で語り継がれる大事件だったのはこの時から予見できたようだ。事実「G」が公式に発見された年に次ぐターニングポイントだったと、後年ある組織は分析している。しかしその情報交換の場はまた改める事となった。とにかく今は爾落人も人間も休息が必要だった。それほどまでに今回は疲弊しきっていたのだ。全世界に潜む”機関”という膿を出すには少し時間がいる。
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