みぎうで
「クリア。ウォードスアレスは来い」
指揮官を自分の手で射殺したダイス。遠隔地から援護に配置していた二人にそう命じる。ベイルは嬉しそうに勘定を漏らした。
「これでまた一儲けだな。気前のいいクライアントだぜ」
今のダイスたちは他の傭兵グループと交代しながら割り振られた場所で迎撃するのが仕事であった。米国陸軍が家探しやパトロールをする情報をクライアントから受け取り待ち伏せる。それを延々と続けていた。出動毎に報酬が発生するのもあって五人のモチベーションは高い。
「つくづくいい時代になりやがった。重い武装背負ってた時代がアホみたいだ」
そう呟くワーカー。何がおかしいのか口元が緩んでいる。
「戦争のために技術が発展していくのは人類の性だな」
「…もっと戦争になぁれ」
「……」
「…なんてな」
引くベイルと流すダイス。ワーカーがハッタリをかますのはもう慣れたが、言っていいこと悪いことがある。
「お前の言うアホみたいなノウハウは忘れるな」
剣を振り回して間近で殺しあっていた戦闘はとっくに終わり、銃を腕で構えながら人差し指で引き金を引くだけの淡白なものに様変わりしていた。今や遠くから如何にして相手を仕留める位置取りができるか、互いに物陰に隠れながら弾を撃ち合い、今までと勝手が異なる組織的連携によって生死が決まる戦闘にシフトしている。
それによりダイス達にも役割分担が発生し、敵の配置を捕捉しながら指揮を執るのがダイス、捕捉した敵の武装を透視で偵察するウォード、投影を利用した陽動錯乱斥候のワーカー、補佐や援護のベイルとスアレスに決まっている。
そしてこの五人全員がデザート迷彩の野戦服に帽子やヘルメット、ゴーグル、ブーツ、ニーパッド、防弾ベスト、タクティカルベルトを装着。ある程度の狙撃がこなせるカスタムが施されたライフルをメインアームに、自動拳銃をサブアーム。手榴弾に、護身最後の砦、ナイフ。この四つは皆の共通武装にしていた。その上で個人が好みの武装を各自携帯している。ダイス、ベイル、スアレスは銃身を切り詰めたSMG等汎用的な武装を揃えて柔軟に対応できるようにしている。